部分分数分解は、有理式をより簡単な分数の和に書き換える方法です。ふつうは分母を因数分解したあとに使い、積分や代数的な計算をしやすくします。
最初の確認は重要です。分子の次数は分母の次数より小さくなければなりません。この条件を満たす式を真分数形といいます。満たさない場合は、先に多項式の割り算をしてから、余りの部分を分解します。
部分分数分解の意味
有理式とは、多項式どうしの商のことです。たとえば
(x+1)(x+2)5x+7.
のような式です。
部分分数分解では、この1つの分数を
x+1A+x+2B.
のような和に書き換えられるかを考えます。
この2つの形が、許されるすべての x について等しければ、定数 A と B によって、同じ式をより簡単な構造で表せることになります。
部分分数分解を使えるとき
この方法は、使っている数の範囲で分母を因数分解したあとの有理式に対して使えます。多くの初等的な微積分では、実数の範囲で因数分解することを意味します。
分母の形によって、立てる分数の形が決まります。
(x−a)(x−b)⇒x−aA+x−bB
これが基本の考え方です。因数分解が間違っていたり不完全だったりすると、立式も正しくなりません。
例題:有理式を部分分数分解する
次を分解します。
(x+1)(x+2)5x+7.
分母は異なる2つの一次因子をもつので、まず
(x+1)(x+2)5x+7=x+1A+x+2B.
とおきます。
分母を払うために、両辺に (x+1)(x+2) をかけると
5x+7=A(x+2)+B(x+1).
右辺を展開すると
5x+7=(A+B)x+(2A+B).
ここで両辺の係数を比較します。
A+B=5
2A+B=7
2本目の式から1本目の式を引くと
A=2.
したがって
B=3.
よって、分解結果は
(x+1)(x+2)5x+7=x+12+x+23.
となります。
右辺をもう一度通分して、正しいか確かめることもできます。
x+12+x+23=(x+1)(x+2)2(x+2)+3(x+1)=(x+1)(x+2)5x+7.
分母が違うと立て方はどう変わるか
立て方は、いつも分母の因子から決まります。
分母が異なる一次因子をもつときは、分子は定数にします。
(x−a)(x−b)P(x)=x−aA+x−bB.
一次因子が重なっているときは、その重複の次数まで全部入れます。
(x−a)2P(x)=x−aA+(x−a)2B.
二次因子が実数の範囲でこれ以上因数分解できないときは、分子を一次式にします。
x2+1P(x)=x2+1Ax+B.
この最後のケースは、よく間違いが起こります。既約な二次因子に対しては、一般には分子を定数だけにしてはいけません。
部分分数分解でよくあるミス
- 次数の確認をしないこと。仮分数なら、部分分数分解の前に多項式の割り算をする必要があります。
- 重複因子を忘れること。(x−1)3 なら、(x−1)、(x−1)2、(x−1)3 に対応する項が必要です。
- 既約な二次因子の上に定数しか置かないこと。実数の範囲では、分子は一次式にする必要があります。
- 定数を求めたあと、通分して元の式に戻るか確認しないこと。
部分分数分解はどこで使うか
この方法は、微積分や代数でよく出てきます。微積分では、特に分母を因数分解したあとの有理関数の積分で役立ちます。代数では、有理式を整理したり比較したりしやすくなります。
どの形になるかは、その授業で何を因子とみなすかによって変わります。たとえば、実数の範囲では既約な二次式でも、複素数の範囲では因数分解でき、その場合は分解の形も変わります。
似た問題に挑戦してみよう
次を部分分数分解してみましょう。
(x+1)(x+3)3x+4.
まず
x+1A+x+3B,
とおいて、A と B を求め、最後に通分して確かめてみてください。さらに一歩進めたいなら、重複因子をもつ別の例にも取り組み、立て方がどう変わるかを見てみましょう。