部分積分は、xexx e^xxlnxx \ln x のような積の形の関数を積分するときに役立ちます。特に、片方の因子を微分するとより簡単になる場合に有効です。大事なのは、公式を使うこと自体ではありません。もとの積分を、より簡単な積分に変えることが目的です。

これは積の微分法の逆向きの考え方から出てきます。新しくできる積分が簡単にならないなら、部分積分はおそらく適切な方法ではありません。

部分積分の公式

関数 uu と微分部分 dvdv を選ぶと、

udv=uvvdu\int u\,dv = uv - \int v\,du

となります。これが部分積分の公式です。新しい積分 vdu\int v\,du がもとの積分より簡単になるときにだけ有用です。

なぜこの公式が成り立つのか

まず、積の微分法を微分形式で書くと、

d(uv)=udv+vdud(uv) = u\,dv + v\,du

となります。

両辺を xx について積分すると、

d(uv)=udv+vdu\int d(uv) = \int u\,dv + \int v\,du

したがって、

uv=udv+vduuv = \int u\,dv + \int v\,du

です。これを変形すると、

udv=uvvdu\int u\,dv = uv - \int v\,du

を得ます。

毎回これを導き直す必要はありませんが、マイナス符号が付く理由はここにあります。

uudvdv の選び方

uu には、微分すると簡単になる部分を選びます。dvdv には、あまり苦労せずに積分できる部分を選びます。

よく使われる目安の一つに LIATE があります。logarithmic、inverse trig、algebraic、trig、exponential の順です。これは厳密なルールではなく、あくまで指針ですが、複数の選び方がありそうなときによく役立ちます。

実際には、次のような形で部分積分を使うことが多いです。

  • 多項式と exe^x や三角関数の積
  • lnx\ln x のような対数関数(しばしば lnx1\ln x \cdot 1 とみなす)
  • arctanx\arctan x のような逆三角関数

手早い確認方法としては、uu を選んだあとで、dudu が明らかに簡単になっているかを考えることです。答えがノーなら、別の選び方を試しましょう。

計算例: xlnxdx\int x \ln x\,dx

これは標準的な例です。lnx\ln x は微分するとずっと簡単になるからです。まず被積分関数を積の形として書きます。

xlnxdx=(lnx)(x)dx\int x \ln x\,dx = \int (\ln x)(x)\,dx

ここでは定義域が重要です。lnx\ln xx>0x > 0 で定義されるので、その範囲で考えます。

次のように選びます。

u=lnxdv=xdxu = \ln x \qquad dv = x\,dx

すると、

du=1xdxv=x22du = \frac{1}{x}\,dx \qquad v = \frac{x^2}{2}

となります。

公式を適用すると、

xlnxdx=x22lnxx221xdx\int x \ln x\,dx = \frac{x^2}{2}\ln x - \int \frac{x^2}{2}\cdot \frac{1}{x}\,dx

です。

残った積分を簡単にすると、

xlnxdx=x22lnx12xdx\int x \ln x\,dx = \frac{x^2}{2}\ln x - \frac{1}{2}\int x\,dx

となります。

さらに積分して、

xlnxdx=x22lnx12x22+C\int x \ln x\,dx = \frac{x^2}{2}\ln x - \frac{1}{2}\cdot \frac{x^2}{2} + C

したがって、最終結果は

xlnxdx=x22lnxx24+C\int x \ln x\,dx = \frac{x^2}{2}\ln x - \frac{x^2}{4} + C

です。

確認のために結果を微分してみると、

ddx(x22lnxx24)=xlnx\frac{d}{dx}\left(\frac{x^2}{2}\ln x - \frac{x^2}{4}\right) = x\ln x

となります。この確認は、符号ミスを見つける最も速い方法です。

部分積分でよくあるミス

  1. uudvdv の選び方が悪く、新しい積分のほうがもとの積分より難しくなってしまう。
  2. uvvduuv - \int v\,du のマイナス符号を忘れる。
  3. uu の微分は正しくできていても、dvdv の積分を間違える。
  4. lnx\ln x のように、定義域の条件がある式を見落とす。
  5. 積の形なら何でも部分積分を使うと思い込む。置換積分や基本公式のほうがよい場合もある。

部分積分が有効なとき

この方法は、被積分関数が1回微分することでより扱いやすくなる構造をもつときに使います。典型的な例は次のとおりです。

  • 多項式と指数関数の積(例: xexdx\int x e^x\,dx
  • 多項式と三角関数の積(例: xcosxdx\int x \cos x\,dx
  • 対数関数や逆三角関数に、11 や別の簡単な因子が掛かっている場合

この方法で積分が簡単にならないなら、いったん立ち止まって見直しましょう。部分積分が有用なのは、公式を機械的に当てはめられるからではなく、複雑さを減らせるからです。

似た問題に挑戦してみよう

次をやってみましょう。

xsinxdx\int x \sin x\,dx

同じ考え方で進めます。微分すると簡単になる部分を選び、公式を1回使い、最後に答えを微分して確かめてください。

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