ノートンの定理とは、任意の線形2端子回路網は、その出力端子から見て、等価な電流源と等価な抵抗の並列回路に置き換えられるというものです。回路問題を解く学生にとっては、複雑な回路網を、負荷から見た電圧や電流を変えずに、より簡単な回路に置き換えられるという意味があります。
回路網が線形で、同じ2つの端子を保つなら、その置き換えはそこに接続されるどんな負荷に対しても同じ端子特性を与えます。ノートン形は、特に負荷電流を求めたいときに便利です。
ノートンの定理を一文でいうと
線形2端子回路網は、外部回路から見て次のように置き換えられます。
ここで、 は出力端子を短絡したときの短絡電流、 は回路網を見込んだときの等価抵抗です。
同じ線形回路網のテブナン等価回路がすでに分かっているなら、
となります。この近道が使えるのは、両方の等価回路が同じ線形2端子回路を表している場合だけです。
等価回路で保たれるもの
回路の内部そのものが同じままになるわけではありません。保たれるのは、2つの端子で測った電圧と電流の関係です。
この違いは重要です。なぜなら、内部構成が大きく異なる2つの回路でも、負荷から見れば等価でありうるからです。その端子に接続されるあらゆる負荷に対して、同じ端子電圧と端子電流を与えるなら、その端子に関しては等価です。
ノートン等価回路の求め方
次の手順で進めます。
- 負荷を外し、2つの端子を確認します。
- その端子を短絡して流れる電流を計算し、 を求めます。
- 独立電圧源を短絡、独立電流源を開放に置き換えたうえで回路を見込み、 を求めます。
- 回路に従属電源が含まれる場合は、単純にすべてをオフにしてはいけません。試験電源を使って有効抵抗を求めます。
- ノートン等価回路を描き、負荷をつなぎ直します。
数値を使った例題
元の回路網がすでにテブナン形で与えられているとします。理想 電圧源と 抵抗の直列回路です。ノートン等価回路を求め、その後に の負荷を接続します。
まず、電流源の電流を求めます。
したがって、ノートン回路は の電流源と、これに並列な
です。
次に、負荷 を接続します。電流源、 の枝、 の負荷はすべて並列なので、まず2つの抵抗を合成します。
すると、両方の枝にかかる電圧は
となります。負荷にも同じ がかかるので、負荷電流は
です。
これは元の回路の負荷のふるまいと一致します。これこそがノートンの定理の要点です。内部の形は違っても、端子から見たふるまいは同じになります。
学生がよくする間違い
よくある間違いの1つは、独立電源をどう扱うかを明示せずに、動作中の回路からそのまま を求めてしまうことです。この手順では、独立電圧源は短絡、独立電流源は開放にします。
もう1つの間違いは、ノートン形がどんな回路にも使えると思い込むことです。標準的な定理が適用できるのは、線形2端子回路網です。回路が非線形なら、この単純な等価回路がすべての動作条件で成り立つとは限りません。
3つ目の間違いは、電流源の電流と負荷電流を混同することです。ノートン回路では、電流源は並列回路全体に電流を供給し、負荷電流はそのうちの1つの枝電流にすぎません。
ノートンの定理が役立つ場面
ノートンの定理は、負荷が変わるたびに枝電流をすばやく計算し直したいときに役立ちます。また、大きな回路の一部を簡略化したいときや、電圧分割より電流分割のほうが自然なときにも便利です。
また、テブナンの定理と対になる自然な考え方でもあります。2つの形は同じ端子情報を含んでいますが、計算によっては一方の形のほうが短く済みます。
似た問題に挑戦してみよう
のノートン電流源と の並列回路を考え、そこに の負荷を接続してみましょう。まず端子電圧を求め、次に負荷電流を求めます。その後、同じ回路をテブナン形に変換し、負荷の結果が同じになることを確かめてください。