陰関数微分を使うと、方程式で yy が単独に表されていなくても dy/dxdy/dx を求められます。最初に yy について解く代わりに、式の両辺を xx で微分し、yyxx の関数として扱います。

陰関数微分の意味

たとえば次のような関係式から始めます。

F(x,y)=0F(x,y) = 0

この関係式が、注目している点の近くで yyxx の微分可能な関数として定めているなら、方程式全体を xx について微分し、dy/dxdy/dx を解くことができます。

基本の考え方はシンプルです。

  1. すべての項を xx について微分する。
  2. yyxx とともに変化すると考える。
  3. 新しくできた方程式を dy/dxdy/dx について解く。

生徒がいちばん見落としやすいのは 2 番目です。たとえば、

ddx(y2)=2ydydx\frac{d}{dx}(y^2) = 2y \frac{dy}{dx}

であって、単に 2y2y ではありません。

なぜ必要なのか

曲線の中には、1 本の方程式では表しやすくても、y=f(x)y = f(x) という 1 つの式に直すと扱いにくいものがあります。典型例は円です。

x2+y2=25x^2 + y^2 = 25

この方程式は円全体を一度に表しています。yy について解くと上半分と下半分に分かれてしまいますが、陰関数微分を使えば元の関係式から直接傾きを求められます。

例題:円の接線の傾き

次の式について dy/dxdy/dx を求めます。

x2+y2=25x^2 + y^2 = 25

両辺を xx について微分すると、

ddx(x2)+ddx(y2)=ddx(25)\frac{d}{dx}(x^2) + \frac{d}{dx}(y^2) = \frac{d}{dx}(25) 2x+2ydydx=02x + 2y \frac{dy}{dx} = 0

次に dy/dxdy/dx について解きます。

2ydydx=2x2y \frac{dy}{dx} = -2x dydx=xy\frac{dy}{dx} = -\frac{x}{y}

この式は、円周上で y0y \ne 0 の点では使えます。y=0y = 0 のときは yy で割れないのでこの変形は正当ではなく、この円ではその点は鉛直接線に対応します。

(3,4)(3,4) では、

dydx=34\frac{dy}{dx} = -\frac{3}{4}

となるので、その点での接線は右下がりです。

連鎖律はどこで出てくるか

yy を含む項を微分するときは、yyxx に依存しているので連鎖律が現れます。

たとえば、

ddx(y2)=2ydydx\frac{d}{dx}(y^2) = 2y \frac{dy}{dx}

また、

ddx(siny)=cos(y)dydx\frac{d}{dx}(\sin y) = \cos(y)\frac{dy}{dx}

となります。

yy を含む式を微分したのに結果に dy/dxdy/dx が出てこなければ、その計算は一度立ち止まって確認しましょう。

陰関数微分でよくあるミス

  1. y2y^22ydydx2y \frac{dy}{dx} ではなく 2y2y としてしまう。
  2. xyxy のような混合項に積の微分法が必要なことを忘れる。
  3. dy/dxdy/dx を解くときに、00 になりうる式で割っていないか確認しない。
  4. 関係式に複数の枝があるのに、1 つの導関数の式が全体でそのまま使えると思い込む。

陰関数微分はいつ使うか

陰関数微分が特に役立つのは次のような場合です。

  1. 円、楕円、等高線のように、曲線が関係式で与えられている。
  2. yy を陽に解くと複雑になったり、曲線が場合分けに分かれたりする。
  3. ある点での接線の傾きが必要である。
  4. 関連速度の問題で、時間について微分する前に変数同士の関係が与えられている。

少し難しい例に挑戦

次を考えてみましょう。

x2+xy+y2=7x^2 + xy + y^2 = 7

両辺を微分して、dy/dxdy/dx を解いてみてください。xyxy には積の微分法が必要で、y2y^2 からは連鎖律による因子が出てくるので、よい確認問題になります。

次のステップとしては、混合項を含む自分なりの式を作ってみて、それを積の微分法の場合と連鎖律の場合に分けて比べてみるのもおすすめです。

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