二重積分は、二次元の領域全体で関数を足し合わせるものです。 なら、その領域の上で の下にある体積を与えます。 が正負に変わるなら、代わりに符号付きの正味の体積を与えます。
通常は次のように書きます。
ここで は 平面内の領域、 はごく小さな面積要素です。実際には、初歩の二重積分の問題では主に2つのことが大切です。領域を正しく読むことと、その領域に本当に対応する積分範囲を選ぶことです。
二重積分の意味
読むべき部分は3つあります。
- は足し合わせる関数です。
- はその関数を足し合わせる領域です。
- は小さな面積のかけらを表します。
したがって、 は「 の中のすべての小さな面積要素にわたって の値を足し合わせる」という意味です。 なら、結果は単に の面積になります。これは、二重積分が曲面の下の体積だけでなく、面積上での蓄積量を測るものだと分かる便利な確認です。
二重積分が累次積分になることが多い理由
多くの微積分の問題では、二重積分を2つの一重積分に直して計算します。長方形領域ではもちろん、より一般に領域上で連続であるなど標準的な条件のもとでは、1つずつ変数について積分できます。
長方形 に対しては、
または、そちらの方が簡単なら、
積分の順序は、設定のしやすさや計算のしやすさに関わります。通常の授業で扱う条件のもとでは、どちらの累次積分も同じ量を表しますが、片方の順序の方がずっと計算しやすいことがよくあります。
一重積分では、区間を幅 の小さな部分に分けると考えられます。二重積分では、領域を面積 をもつ小さな長方形に分けると考えます。
それぞれの小さな長方形は、およそ
だけ寄与します。
その寄与を領域全体で足し合わせると、全体の蓄積量が得られます。
長方形領域での二重積分の例
次を求めます。
ただし
この領域は長方形なので、累次積分への書き換えは簡単です。
まず について積分します。このとき は定数として扱います。
次に、この外側の式を について積分します。
したがって
これは自然な結果です。 は 上のどこでも正なので、全体の蓄積量も正になるはずだからです。
領域が長方形でないときに変わること
領域が長方形でない場合、積分範囲はもう一方の変数に依存することがよくあります。たとえば、次のような曲線で囲まれた領域が出てくることがあります。
このとき、内側の積分範囲は定数ではありません。 によって変わります。
だからこそ、領域を図にすることが大切です。学生の解答では、計算そのものは正しくても、領域の設定が間違っていることがよくあります。
二重積分でよくあるミス
- 意図した領域に合っていない積分範囲を使ってしまう。
- どの変数を先に積分するのかを取り違える。 では、内側の積分は について行います。
- 内側の積分の段階で両方の変数を同時に動くものとして扱ってしまう。そこでは外側の変数は定数として扱う必要があります。
- 関数が負の値をとる場合でも、結果をそのまま幾何学的な体積だと思い込んでしまう。その場合、二重積分が与えるのは符号付き体積です。
- 積分順序を変えるときに、積分範囲を正しく直さない。
二重積分はどこで使われるか
二重積分は、量が直線上ではなく面積全体に分布しているときに現れます。
- 幾何では、面積や曲面の下の体積を与えます。
- 物理では、密度が位置によって変わる薄板の質量を求めるのに使えます。
- 確率では、2変数の連続同時分布に現れます。
- 工学では、量が表面や断面上で変化する場合に使われます。
解釈は関数の意味によって変わります。被積分関数が密度なら結果は質量です。被積分関数が高さなら結果は符号付き体積です。
似た問題に挑戦してみよう
例を次のように変えて、自分でも試してみてください。
同じ長方形 , 上で考えます。次に積分順序を逆にして、値が同じままであることを確かめてみましょう。さらに一歩進みたいなら、三角形領域で同じような問題を考え、積分範囲がもう一方の変数に依存する場合を調べてみてください。