相似な三角形とは、形は同じでも大きさは必ずしも同じではない三角形です。相似な2つの三角形では、対応する角は等しく、対応する辺の比は等しくなります。
これが重要なのは実用的な理由からです。いったん2つの三角形が相似だと証明できれば、1つの拡大・縮小の比からすべての対応する辺の長さがわかります。だから相似な三角形は、図形の証明、縮尺図、影の問題などでよく使われます。
相似な三角形の意味
が に相似であるとき、頂点の順序は重要です。これは、角 が角 に、角 が角 に、角 が角 に対応することを表しています。
この対応関係から、対応する辺は次を満たします。
これらの比はすべて同じ拡大・縮小の比を表しています。 から への比が なら、 の各辺は の対応する辺の2倍です。
AA・SAS・SSSによる相似条件
AA相似
1つの三角形の2つの角が、もう1つの三角形の2つの角とそれぞれ等しければ、その2つの三角形は相似です。
これは、三角形の内角の和が なので、残りの1つの角も必ず等しくなるからです。
SAS相似
対応する2組の辺の比が等しく、その2辺にはさまれた角が等しければ、その2つの三角形は相似です。
「はさまれた」という点が重要です。等しい角は、比べている2辺の間になければなりません。等しい角が別の位置にあるなら、SASは使えません。
SSS相似
3組すべての対応する辺の比が等しければ、その2つの三角形は相似です。
角の情報が与えられていないときには、これがいちばんすっきりした判定法になることが多いですが、辺の対応を正しく取れている場合に限ります。
例題:SASを使って未知の辺を求める
2つの三角形に、どちらもはさまれた角が あるとします。小さい三角形では、その角をはさむ辺の長さが と です。大きい三角形では、対応する辺の長さが と です。
まず辺の比を確認します。
はさまれた角も等しいので、この2つの三角形はSASによって相似です。
ここで、小さい三角形の3本目の辺が 、大きい三角形の対応する3本目の辺が だとします。小から大への比を使うと、
したがって、
求める辺の長さは です。大事なのは計算そのものではありません。立式の順序です。まず相似を証明し、そのあとで対応する辺に対して一貫した比を使います。
三角形の相似を証明するときによくあるミス
相似と合同を混同する
相似な三角形は形が同じです。合同な三角形は、形も大きさも同じです。合同な三角形は、比が の特別な相似な三角形だと考えられます。
対応する辺を取り違える
正しい比例式では、対応する辺どうしだけを使います。頂点の順序を間違えると、式の見た目は整っていても立式自体が間違っていることがあります。
1つの比だけを逆にする
1つの比を「小さい三角形:大きい三角形」で書いたなら、ほかの比もすべて同じ向きにそろえなければなりません。同じ式の中で向きを混ぜると、実際には相似でも答えを間違えます。
SSAを相似条件だと思ってしまう
AA、SAS、SSSは正しい相似条件です。しかしSSAだけでは、一般には相似を示すのに十分ではありません。同じ辺の情報に合う三角形が複数ありうるからです。
面積の比の扱いを忘れる
辺の長さが 倍になると、面積は 倍になります。幅が2倍の三角形の面積は、単に2倍ではありません。
相似な三角形が使われる場面
相似な三角形は、図形、地図、縮尺図、影、測量、座標幾何などで使われます。特に、ある三角形のほうが別の三角形より測りやすく、しかも形が対応しているときに役立ちます。
また、より大きな証明の中にもよく現れます。三平方の定理、直角三角形の高さに関する関係、三角比のいくつかの考え方も、相似に気づくと理解しやすくなります。
類題に挑戦
1つの三角形で辺の組が と 、もう1つの三角形で と で、どちらの三角形でもはさまれた角が等しい場合を考えてみましょう。まず相似を証明し、そのあと小さい三角形の3本目の辺が のとき、対応する辺を求めてみてください。
次の自然なステップとしては、比例式を立てる前に、与えられた情報がAA・SAS・SSSのどれに当てはまるかをまず判断する問題に取り組んでみるとよいでしょう。