二項定理を使うと、 のような式をすばやく展開できます。学校の代数で使う標準的な形では、 が 0 以上の整数のときに成り立ちます。
を手で何度も掛ける代わりに、展開全体を 1 つのパターンで表せます。
この公式を見ると、各項の係数と、展開の中で と の指数がどう変化するかがわかります。
二項定理の公式とパターン
展開の各項は
という形をしています。
ここで は から まで動きます。
つまり、係数は で、 の指数は から へ下がり、 の指数は から へ上がります。どの項でも、指数の和は常に です。
たとえば のとき、係数は
になります。
これはパスカルの三角形の第 行と同じ数です。
なぜこの係数になるのか
を展開するということは、実際には 個の同じかっこそれぞれから 1 つずつ項を選ぶことです。
を含む項を作るには、ちょうど 個のかっこから を選び、残りから を選ばなければなりません。その選び方の数が なので、それがそのまま係数になります。
このことから、真ん中あたりの係数がふつう最も大きくなる理由もわかります。端よりも中央付近のほうが、選び方の数が多いからです。
二項展開の例:
指数が なので、二項定理をそのまま使えます。係数は
です。
一般形に当てはめると、
となります。
では、項ごとに整理します。
したがって、展開結果は
です。
ミスをすばやく見つけるには、2 つの確認が役立ちます。各項の指数の和が になっていること、そして第2項が なので符号が正しく交互になっていることです。
二項定理でよくあるミス
最も多いミスは、 を としてしまうことです。一般にはこれは成り立ちません。途中の項が重要だからです。
もう 1 つのミスは、係数は合っているのに指数の付け方を間違えることです。どの項でも、2 つの部分の指数の和は元の指数 になるはずです。
負号でも間違えやすいです。 では第2項は単なる ではなく です。そのため、この因子の奇数乗は負のままで、偶数乗は正になります。
二項定理を使う場面
二項定理は、完全な多項式展開が必要なとき、展開の中の特定の 1 項だけを求めたいとき、または繰り返し掛け算せずに係数をすばやく読み取りたいときに使います。
最初は代数で学び、その後は確率、級数、微積分の近似でも出てきます。指数が 0 以上の整数でない場合、この有限の公式では多項式にならないので、別の形の考え方が必要です。
似た展開をやってみよう
を展開してみましょう。整理する前に 2 つ確認します。係数は になること、そしてどの項でも 2 つの部分の指数の和が になることです。
もう一歩進めたいなら、ソルバーで自分の式でも試してみて、まず真ん中の項を比べてみてください。係数や符号のミスは、たいていそこに最初に表れます。
よくある質問
- 標準的な二項定理の公式はいつ使えますか?
- 指数 $n$ が 0 以上の整数のときに、標準的な有限の公式を使えます。それ以外の指数では、展開は通常有限個の多項式にはなりません。
- 展開の係数はどこから出てきますか?
- 係数は二項係数 $\binom{n}{k}$ から来ます。これはパスカルの三角形の第 $n$ 行の値と一致します。