自由物体図とは、選んだ1つの物体だけを取り出し、その物体に働くすべての外力を矢印で表した簡単な図です。物体を周囲の状況から切り離して考えられるので、別の場所に働く力を混ぜずにニュートンの法則を使えます。

いちばん手早い確認方法はこれです。今その物体を押したり引いたりしているものは何か、その力の原因は何かを考えます。原因をはっきり言えないなら、その力はまだ図に入れるべきではない可能性が高いです。

自由物体図で何を表すか

自由物体図には、ふつう次のものを入れます。

  • 物体そのもの。四角、点、または他の簡単な形で描く
  • その物体に働く外力ごとに1本の矢印
  • 重力 mgmg、垂直抗力 NN、張力 TT、摩擦力 ff、または加えた力などのラベル
  • 方向や成分を扱いやすくするための座標軸

重要な言葉は 外力 です。重力が入るのは、地球がその物体を引いているからです。垂直抗力が入るのは、面がその物体を押しているからです。張力が入るのは、ロープがその物体を引いているからです。

自由物体図の描き方

初歩的な物理の問題なら、たいてい次の4手順で十分です。

  1. 物体を1つだけ選ぶ。
  2. それを簡単な四角や点に置き換える。
  3. その物体に働く外力ごとに矢印を1本ずつ加える。
  4. 各力にラベルを付け、問題を解きやすい座標軸を選ぶ。

ここまでできれば、式を書き始めるのに十分です。力が斜めに働くなら、あとで xx 成分と yy 成分に分けてもかまいませんが、最初の図では分解する前の実際の力を示すべきです。

何を入れないか

何を省くかのところで、多くのミスが始まります。自由物体図には次のものを入れてはいけません。

  • 速度や加速度を、力であるかのように描くこと
  • 別の物体に働いている力
  • 物体が動いているという理由だけで付け加えた力
  • 選んだ物体にも働いていないのに、ニュートンの第3法則の相手側の力を入れること

たとえば、箱が机を下向きに押しているとします。その下向きの力は机に働く力です。箱の自由物体図には入りません。

例題:粗い床の上を引かれる箱

粗い床の上をすべりながら、水平なロープで右向きに引かれている箱を考えます。図は箱だけについて描き、ロープや床については描きません。

箱に働く力は次のとおりです。

  • 下向きの重力 mgmg
  • 床から上向きに受ける垂直抗力 NN
  • ロープから右向きに受ける張力 TT
  • 床から左向きに受ける動摩擦力 fkf_k

図がはっきりしたら、各方向についてニュートンの第2法則を書きます。

Fx=Tfk\sum F_x = T - f_k Fy=Nmg\sum F_y = N - mg

箱が一定の速さで動き、ロープが水平なら、加速度はゼロです。この条件では、

T=fkT = f_k

また、

N=mgN = mg

となります。これらの等式は条件に依存します。箱の速さが増しているなら、T>fkT > f_k です。ロープが斜め上向きに引いているなら、引く力の一部が鉛直方向のつり合いを変えるので、N=mgN = mg と決めつけてはいけません。

自由物体図でよくあるミス

  • 運動と力を混同すること。物体が右に動いていても、合力がゼロのことはあります。
  • 1つの物体を選ぶのを忘れること。自由物体図は状況全体の絵ではありません。
  • 接触力はいつでも自動的にあると思い込むこと。たとえば摩擦力は、接触の状態や運動の条件がそろったときにだけ現れます。
  • くせで N=mgN = mg と書くこと。これは特定の場合にだけ成り立ち、すべての問題で正しいわけではありません。

自由物体図はいつ使うのか

自由物体図は、力学のほぼあらゆる分野で使います。たとえば面上の物体、滑車、斜面、つり合い、ニュートンの第2法則の問題などです。文章題を、実際に解ける力の方程式へ変えるための重要な一歩になることがよくあります。

次に実際にやってみるなら、簡単な斜面や滑車の問題で自分で自由物体図を描いてみてください。そのうえで、力のつり合いと作用反作用の組を混同しないように、ニュートンの第2法則ニュートンの第3法則 も比べてみましょう。

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