はりのたわみ公式は、荷重を受けたときにはりがどれだけ曲がるかを表すものです。はりのたわみ公式を調べているなら、重要な点はこれです。どんなはりにもそのまま使える単一の公式はありません。正しい式は、支持条件、荷重の分布、そして曲げ剛性 EIE I によって決まります。

最もよくあるケースの一つが、自由端に集中荷重を受ける片持ちはりです。

δmax=PL33EI\delta_{max} = \frac{P L^3}{3 E I}

この公式が役立つのは、そのはりの条件が正確に一致し、さらに通常の小たわみ・線形弾性の仮定が妥当な場合に限られます。

はりのたわみは何に依存するか

物理的な考え方はシンプルです。荷重は曲げモーメントを生み、はりは EIE I によってその曲げに抵抗します。

  • EE はヤング率で、材料そのものの剛さを表します。
  • II は断面二次モーメントで、選んだ軸まわりの曲げに対して断面がどれだけ抵抗するかを表します。
  • EIE I は曲げ剛性と呼ばれます。

小さな傾きをもつ Euler-Bernoulli はりでは、曲率と曲げモーメントの関係は

κ(x)=M(x)EI\kappa(x) = \frac{M(x)}{E I}

と表されます(符号の取り方による違いはあります)。そのため、はりのたわみ公式はどれも同じような形になります。曲げモーメントが大きいほど曲がりやすく、EIE I が大きいほどたわみは小さくなります。

よく使われるはりのたわみ公式:先端荷重を受ける片持ちはり

長さ LL の片持ちはりの自由端に集中荷重 PP が作用するとき、最大たわみは先端で生じ、その大きさは

δmax=PL33EI\delta_{max} = \frac{P L^3}{3 E I}

です。

ここで、

  • PP は作用荷重
  • LL ははりの長さ
  • EE はヤング率
  • II は断面二次モーメント

を表します。

この公式を使ってよいのは、次の条件が問題設定と一致するときだけです。

  • はりは一端固定・他端自由である
  • 荷重は自由端に作用する
  • 材料は線形弾性範囲内にある
  • たわみと傾きが十分小さく、はり理論がよい近似になる
  • はりが十分に細長く、Euler-Bernoulli 理論が妥当である
  • せん断変形を無視している

注目すべきなのは L3L^3 の項です。他の条件が同じで長さだけが 2 倍になると、先端たわみは 23=82^3 = 8 倍になります。

数値を使った計算例

片持ちはりの条件が次のように与えられているとします。

  • P=120 NP = 120\ \mathrm{N}
  • L=1.5 mL = 1.5\ \mathrm{m}
  • E=200×109 PaE = 200 \times 10^9\ \mathrm{Pa}
  • I=4.0×106 m4I = 4.0 \times 10^{-6}\ \mathrm{m^4}

片持ちはり先端荷重の公式を使います。

δmax=PL33EI\delta_{max} = \frac{P L^3}{3 E I}

値を代入し、単位はすべて SI 単位系でそろえます。

δmax=120(1.5)33(200×109)(4.0×106)\delta_{max} = \frac{120(1.5)^3}{3(200 \times 10^9)(4.0 \times 10^{-6})}

(1.5)3=3.375(1.5)^3 = 3.375 なので、

δmax=4052.4×106 m\delta_{max} = \frac{405}{2.4 \times 10^6}\ \mathrm{m}

となります。

δmax1.69×104 m\delta_{max} \approx 1.69 \times 10^{-4}\ \mathrm{m}

したがって、先端たわみは

0.000169 m=0.169 mm0.000169\ \mathrm{m} = 0.169\ \mathrm{mm}

です。

これは 1.5 m1.5\ \mathrm{m} のスパンと比べると非常に小さいので、この例では小たわみの仮定は少なくとももっともらしいといえます。

はりのたわみ公式でよくある間違い

1つの公式を万能だと考える

片持ちはり先端荷重の公式は、単純支持はり、一様分布荷重、あるいは異なる支持条件のはりには使えません。正しい式は設定によって変わります。

II を取り違える

ここでの II は断面の断面二次モーメントを意味します。電流ではなく、質量慣性モーメントでもありません。

単位を無視する

はりの公式は単位に非常に敏感です。特に II の単位は m4\mathrm{m^4}mm4\mathrm{mm^4} になることが多いからです。単位が合っていないと、答えが何百万倍もずれることがあります。

仮定が成り立たないのに公式を使う

たわみが大きい、材料が降伏する、はりが細長くない、あるいは EIE I がスパン方向に変化する場合には、教科書的な単純な公式は信頼できなくなることがあります。

はりのたわみ公式はいつ使うのか

はりのたわみ公式は、強度だけでなく剛性が必要なときに使います。はりは破壊しないだけの強さがあっても、用途によってはたわみすぎることがあります。

これは構造物、機械部品、実験治具、棚、そして位置合わせや使用性能が重要な長い部材で特に重要です。実務では、応力とたわみは別の設計制約なので、技術者はその両方を確認することがよくあります。

似た問題に挑戦してみよう

同じ片持ちはりの例で、長さ LL だけを 2 倍にしてみましょう。計算する前に、L3L^3 の項から新しい先端たわみを予想してみてください。次に、支持条件や荷重の種類を変えて、公式のどの部分が変わるかを比べてみましょう。

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