数学の文章題では、短い現実の状況を数学に置き換え、解き、その答えを文脈に沿って解釈することが求められます。上達するいちばん早い方法は、作業を「式に直すこと」と「計算すること」の2つに分けることです。
多くの生徒がつまずくのは計算そのものではありません。言葉を数学的にどう表すかで止まってしまうのです。
数学の文章題が難しく感じる理由
どの文章題にも、2つの段階があります。
- 状況を理解する。
- そこから作った数学モデルを解く。
モデルが間違っていれば、計算や代数処理が正しくても答えは間違います。
文章題を順番に解く方法
まず、ひとつの直接的な問いから始めます。自分はいったい何の量を求めようとしているのか、ということです。
次に、その量をはっきり定めます。問題に円、時間、距離、個数などが出てくるなら、その単位を見える形で意識しておきましょう。単位を見ると、立てた式が自然かどうか判断しやすくなります。
そのあとで、使える文をひとつずつ関係式に直します。「合計」「〜より多い」「〜より少ない」「1つあたり」「それぞれ」といった言葉は手がかりになりますが、それだけで機械的に決めてはいけません。同じ表現でも、文脈が違えば式も変わることがあります。
最後に、解いて確かめます。よい確認とは、数を式に代入するだけではありません。その答えが問題文の状況に本当に合っているかを考えることも大切です。答えが負の数だったり、分数だったり、あるいは本来は整数であるべき個数なのに単位が合わなかったりするなら、どこかにずれがあります。
例題:チケット販売の文章題
ある博物館では、大人用チケットと学生用チケットの2種類だけを販売しているとします。大人用は1枚 ドル、学生用は1枚 ドルで、あるグループが合計 枚を買い、代金の合計は ドルでした。それぞれ何枚売れたでしょうか。
ここでは条件が重要です。この設定が成り立つのは、販売されたチケットの種類がちょうど2種類だけだと仮定しているからです。
大人用チケットの枚数を 、学生用チケットの枚数を とします。
チケットの合計枚数より、
代金の合計より、
では、この連立方程式を解きます。1本目の式から、
これを代金の式に代入すると、
したがって、
よって、答えは大人用チケットが 枚、学生用チケットが 枚です。
問題文の2つの条件をどちらも確認します。
また、
どちらの条件にも合っているので、この解は正しいといえます。
文章題でよくあるミス
よくあるミスのひとつは、未知数を決める前に計算を始めてしまうことです。そうすると、何を表しているのかあいまいな式になりがちです。
もうひとつは、キーワードを機械的に式へ直してしまうことです。たとえば「〜より多い」という表現があっても、文に出てきた順番どおりにそのまま式を書けばよいとは限りません。大切なのは言い回しの形より、量どうしの関係です。
また、単位の確認を忘れる生徒も少なくありません。たとえば「バスの台数」を求める問題で、最終答えが になるのは、平均を聞かれているのでない限り、ふつうは不自然です。
最後によくあるのは、問題に2つ条件があるのに1つしか確かめないことです。チケットの例では、2つの数が「枚数の合計」と「代金の合計」の両方を満たさなければなりません。
文章題が使われる場面
文章題は、数学がプリントの外でどのように現れるかを示すものです。家計の計画、道のり・速さ・時間の問題、食塩水や混合の問題、図形、売上の合計、データの読み取りなど、さまざまな場面に出てきます。最終的な計算が1本の一次方程式だけでも、本当の力は「どんな式を立てるべきか」を判断することにあります。
だからこそ、このテーマは学校の勉強を超えて大切です。短い説明を正しい数学モデルに直せるようになれば、実際の場面でもより確かに判断できるようになります。
似た問題で練習してみよう
博物館の例で、チケットの値段や合計枚数を変えて、もう一度最初から式を立ててみましょう。手で解いたあとに次の一歩として役立つのは、似た問題を解き、その式が問題文のすべての条件を満たしているか確かめることです。