テイラー級数とマクローリン級数の違いは、ひとつの事実に尽きます。マクローリン級数は、00 を中心とするテイラー級数です。中心が a=0a = 0 ならマクローリン級数で、中心がそれ以外の値ならテイラー級数です。

名前の違いは小さく見えるかもしれませんが、中心は重要です。というのも、級数は通常、それが作られた点の近くで最も役に立つからです。

1つの公式で見る違い

関数が aa で十分な回数だけ微分可能なら、aa を中心とするテイラー級数は

n=0f(n)(a)n!(xa)n\sum_{n=0}^{\infty} \frac{f^{(n)}(a)}{n!}(x-a)^n

です。

ここで a=0a = 0 とすると、マクローリン級数になります。

n=0f(n)(0)n!xn\sum_{n=0}^{\infty} \frac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n

つまり、構造そのものは変わりません。変わるのは中心です。

なぜ中心が重要なのか

係数は、中心で評価した導関数から決まります。中心を変えると、級数に現れる数も通常は変わります。

マクローリン級数は、x=0x = 0 の近くで関数を表すために作られます。一方、a=2a = 2 を中心とするテイラー級数は、同じ関数を x=2x = 2 の近くで表すために作られます。どちらも正しいことはありますが、知りたい値によっては片方のほうがずっと実用的です。

また、問題文が許していない強い主張は避けるべきです。テイラー級数やマクローリン級数は、あくまで局所的な展開として作られます。それが実際にある区間で関数と一致するかどうかは、関数そのものと級数の収束する範囲に依存します。

例題:exe^x を2つの異なる中心で展開する

次を考えます。

f(x)=exf(x) = e^x

これは比較に適した例です。なぜなら、exe^x のどの導関数もやはり exe^x だからです。

a=0a = 0 でのマクローリン級数

a=0a = 0 では、すべての導関数の値が f(n)(0)=1f^{(n)}(0) = 1 なので、

ex=n=0xnn!e^x = \sum_{n=0}^{\infty}\frac{x^n}{n!}

となります。

最初の数項は

1+x+x22!+x33!+1 + x + \frac{x^2}{2!} + \frac{x^3}{3!} + \cdots

です。

a=1a = 1 でのテイラー級数

次に、同じ関数を a=1a = 1 を中心にします。このとき中心での各導関数の値は f(n)(1)=ef^{(n)}(1) = e なので、

ex=n=0en!(x1)ne^x = \sum_{n=0}^{\infty}\frac{e}{n!}(x-1)^n

となります。

最初の数項は

e+e(x1)+e2!(x1)2+e + e(x-1) + \frac{e}{2!}(x-1)^2 + \cdots

です。

関数自体は変わっていません。変わったのは中心だけです。これが、テイラー級数とマクローリン級数の違いを1つの例で示したものです。

マクローリン級数とテイラー級数の使い分け

00 が自然な基準点であるときや、00 での導関数が計算しやすいときには、マクローリン級数を使います。

別の値 aa の近くでよい局所近似が必要なら、その値を中心とするテイラー級数を使います。たとえば、x=3x = 3 の近くでの振る舞いを見積もりたいなら、通常は 00 のまわりで展開するより a=3a = 3 のまわりで展開するほうが適しています。

学生がよくする間違い

まったく別の考え方だと思ってしまう

これは別々の理論ではありません。マクローリン級数は、テイラー級数の特別な場合です。

中心を無視してしまう

同じ関数に対する2つの級数がどちらも正しいことはありますが、求めたい値に近い点を中心にしたほうが、通常はより有用な近似になります。

級数はいつでも関数と等しいと思い込む

それは自動的には成り立ちません。答えは関数と区間に依存します。安全な言い方は、その級数は中心のまわりでの局所展開を与える、ということです。その先まで必要なら、問題に応じて収束を確認します。

微積分でどこに出てくるか

テイラー級数とマクローリン級数は、関数を近似するとき、局所的な振る舞いを調べるとき、微分方程式を解くとき、あるいは複雑な式を扱いやすい多項式に置き換えるときに現れます。

繰り返し出てくる問いは単純です。どの点を選べば、その局所モデルが最も役に立つか、ということです。

類題に挑戦してみよう

sinx\sin x の級数を2回書いてみましょう。1回は a=0a = 0、もう1回は a=π/4a = \pi/4 です。この2つの展開を比べることは、違いを素早く定着させる最もよい方法の1つです。

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