ナイキスト線図は、システムの周波数応答を複素平面上の曲線として表したものです。各周波数 ω\omega に対して G(jω)G(j\omega) を、フィードバックの問題ではループ伝達関数 L(jω)L(j\omega) を評価します。実部が横座標、虚部が縦座標になり、1つの点で大きさと位相の両方を表せます。

最も手早い読み方はこうです。各点は1つの周波数を表し、原点からの距離が大きさ、正の実軸からの角度が位相です。そのため、周波数応答の形をつかみたいだけの場合でも、ナイキスト線図は役に立ちます。

ナイキスト線図でわかること

まず、変数 ss を使った伝達関数から始めます。周波数応答を得るには、

s=jωs = j\omega

を代入し、得られた複素式をさまざまな ω\omega の値で評価します。

もし

G(jω)=x(ω)+jy(ω),G(j\omega) = x(\omega) + jy(\omega),

なら、ナイキスト線図は複素平面上で点

(x(ω),y(ω))(x(\omega), y(\omega))

が描く軌跡です。

これが重要なのは、線図の中で2つの情報をまとめて扱えるからです。

  • G(jω)|G(j\omega)| は大きさを表します。
  • arg(G(jω))\arg(G(j\omega)) は位相を表します。

1枚のグラフで、応答がどこから始まり、どう向きを変え、原点や別の重要な点に近づくかを見られます。

この曲線の直感的な見方

周波数が、複素平面上でポインタを動かしていくものだと考えてください。各周波数で、システムは1つの複素応答を返します。ω\omega が変わるとその応答も動き、その全体の軌跡がナイキスト線図になります。

システムの係数が実数なら、負の周波数側の枝は、正の周波数側の枝を実軸に関して鏡映したものになります。この条件は重要です。伝達関数の係数が実数のときだけ、鏡映対称を使ってください。

計算例: G(s)=11+sG(s) = \frac{1}{1+s}

伝達関数

G(s)=11+sG(s) = \frac{1}{1+s}

を考えます。

ここに s=jωs = j\omega を代入すると、

G(jω)=11+jωG(j\omega) = \frac{1}{1+j\omega}

となります。

これを直交形式に書き直すと、

G(jω)=1jω1+ω2=11+ω2jω1+ω2G(j\omega) = \frac{1-j\omega}{1+\omega^2} = \frac{1}{1+\omega^2} - j\frac{\omega}{1+\omega^2}

です。

したがって、実部と虚部は

x(ω)=11+ω2,y(ω)=ω1+ω2x(\omega) = \frac{1}{1+\omega^2}, \qquad y(\omega) = -\frac{\omega}{1+\omega^2}

となります。

ここまでくると、軌跡の形は簡単に読めます。

ω=0\omega = 0 のとき、

G(j0)=1G(j0) = 1

なので、線図は実軸上の点 11 から始まります。

ω\omega \to \infty のとき、

G(jω)0G(j\omega) \to 0

なので、曲線は原点へ向かいます。

正の ω\omega では虚部が負なので、正の周波数側の枝は下半平面にあります。

さらに一歩進めると、この軌跡が正確にどんな曲線かもわかります。これらの点は

x2+y2=xx^2 + y^2 = x

を満たし、これは

(x12)2+y2=(12)2\left(x - \frac{1}{2}\right)^2 + y^2 = \left(\frac{1}{2}\right)^2

と同値です。

したがって、正の周波数側の枝は、中心 (12,0)\left(\frac{1}{2}, 0\right)、半径 12\frac{1}{2} の円の下半分をたどります。このシステムは係数が実数なので、負の周波数側の枝はそれを実軸に関して鏡映したものになり、円全体が完成します。

この例は、ナイキスト線図の本質をすっきり示しています。ナイキスト線図とは、周波数を変数にもつ複素値関数が描く幾何学的な軌跡にすぎません。

ナイキスト線図を素早く読む方法

ナイキスト線図を初めて見たら、次の4つを確認してください。

  1. ω=0\omega = 0 のとき、曲線はどこから始まるか。
  2. ω\omega が大きくなると、どこへ向かうか。
  3. 正の周波数側の枝はどちらの半平面にあるか。
  4. 曲線は、その問題で重要な臨界点の近くを通るか、あるいはその周りを回るか。

基本的な読み取りなら、通常は最初の3つで十分です。単位フィードバックの閉ループ安定性では、臨界点は 1+0j-1 + 0j であり、包囲の意味は開ループ極と描かれている関数の両方に依存します。そのため、ナイキストの安定判別を使う前に、その前提を明示しておく必要があります。

ナイキスト線図でよくある間違い

普通の xx-yy グラフのように扱う

横軸と縦軸は、無関係な2つの測定量ではありません。1つの複素応答の実部と虚部です。

周波数が増える向きを無視する

軌跡の形が同じでも、経路に沿って周波数がどちら向きに増えるかがわからないと、意味が変わることがあります。

確認せずに鏡映対称を仮定する

係数が実数のシステムでは、対称性を使って負の周波数側の枝を復元できます。その条件が成り立たないなら、単純な鏡映像を仮定してはいけません。

前提を示さずに安定判別のルールを使う

ナイキストの安定判別は強力ですが、何の関数を描いているのか、また開ループ系がどんな性質をもつかに依存します。包囲数が意味をもつのは、その前提が明確にされた後だけです。

ナイキスト線図はいつ使うか

ナイキスト線図は制御工学で最もよく使われます。大きさと位相を別々のグラフに分ける代わりに、1枚の図で見たいからです。周波数応答の比較、フィードバックの振る舞いの見積もり、そしてシステムが重要な安定境界にどれだけ近いかの確認に役立ちます。

また、複素周波数応答そのものが主な対象になるときには、信号解析や回路解析でも現れます。形式的な安定性判定を行わない場合でも、周波数の変化に応じてシステムが複素平面上をどう動くかを素早く把握する方法として有効です。

類題に挑戦してみよう

次は自分で

G(s)=1(1+s)2G(s) = \frac{1}{(1+s)^2}

を試してみてください。

G(jω)G(j\omega) を計算し、実部と虚部に分け、線図がどこから始まり、正の周波数側の枝がどの半平面に入り、どこで終わるかをスケッチしてみましょう。さらに一歩進めたいなら、この軌跡がやはり単純な幾何学的形をもつかどうかも確かめてみてください。

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