行列式の求め方は、まず正方行列かどうかを確認し、2×22 \times 2 なら adbcad - bc3×33 \times 3 以上なら余因子展開で小さい行列式に分けて計算する、という流れです。最初に押さえるべき点は、行列式は正方行列にしか定義されないことです。

行列式は、ただの計算結果ではありません。det(A)=0\det(A)=0 なら変換がどこかの方向につぶれていて逆行列をもちません。det(A)0\det(A) \neq 0 なら、面積や体積の倍率をもつ変換として扱えます。

行列式とは何か

行列式は、正方行列に対応する1つの数です。線形変換の見方では、図形の面積や体積が何倍になるか、向きが反転するかを表す量として理解できます。

たとえば行列式が 00 なら、平面や空間がどこかの方向につぶれていると考えられます。このとき逆行列は存在しません。逆に、行列式が 00 でなければ、その変換はつぶれておらず、逆向きにたどれます。

行列式の求め方を最短でつかむ

2×22 \times 2 行列なら adbcad - bc

A=[abcd]A = \begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix}

の行列式は

det(A)=abcd=adbc\det(A) = \begin{vmatrix} a & b \\ c & d \end{vmatrix} = ad - bc

です。まずはこの形を確実に押さえるのが出発点です。

3×33 \times 3 以上は余因子展開で分ける

3×33 \times 3 以上では、ある行または列を選んで、小さい行列式に分解していきます。これが余因子展開です。計算を短くするなら、00 が多い行や列を選ぶのが基本です。

符号は交互に変わります。左上を ++ とすると、

[+++++]\begin{bmatrix} + & - & + \\ - & + & - \\ + & - & + \end{bmatrix}

の並びで見ます。ここを崩すと答えが合わなくなりやすいです。

行基本変形を使うときは「値がどう変わるか」を区別する

行基本変形でも行列式は計算できますが、どの操作でも値がそのまま保たれるわけではありません。行の入れ替えで符号が反転し、1つの行を kk 倍すると行列式も kk 倍され、ある行に別の行の定数倍を足す操作では値は変わりません。

そのため、入門段階ではまず余因子展開を確実に使えるようにし、行基本変形は「何が保存されて何が変わるか」を意識して使うのが安全です。

例題: 3×33 \times 3 の行列式を余因子展開で求める

次の行列の行列式を求めます。

A=[120310245]A = \begin{bmatrix} 1 & 2 & 0 \\ 3 & -1 & 0 \\ 2 & 4 & 5 \end{bmatrix}

この行列は第3列に 00 が2つあるので、第3列で展開すると短くなります。

det(A)=0C13+0C23+5C33\det(A) = 0 \cdot C_{13} + 0 \cdot C_{23} + 5 \cdot C_{33}

ここで (3,3)(3,3) の符号は (1)3+3=+1(-1)^{3+3} = +1 なので、

C33=1231C_{33} = \begin{vmatrix} 1 & 2 \\ 3 & -1 \end{vmatrix}

です。したがって

det(A)=51231=5(1(1)23)\det(A) = 5 \begin{vmatrix} 1 & 2 \\ 3 & -1 \end{vmatrix} = 5(1 \cdot (-1) - 2 \cdot 3) =5(16)=35= 5(-1 - 6) = -35

よって、この行列の行列式は

det(A)=35\det(A) = -35

です。この例のポイントは、最初から全部を力で展開しないことです。00 が多い列を選ぶだけで、3×33 \times 3 の計算がほぼ 2×22 \times 2 の計算1回に近づきます。

行列式でよくある間違い

正方行列でないのに行列式を求めようとする

行列式は 2×32 \times 33×23 \times 2 のような行列には定義されません。まず形を見る習慣が必要です。

符号を落とす

余因子展開では、同じように見える項でも符号が交互に変わります。特に真ん中の項をうっかり正にしてしまうミスが多いです。

小行列の作り方を間違える

ある成分で展開するときは、その成分のある行と列を消して小行列を作ります。消す位置がずれると、途中式が全部別物になります。

行列式が 00 の意味を見ない

答えが 00 でも「たまたまそうなった」で終わらせないほうが理解が深まります。00 は逆行列がないことや、変換がつぶれていることにつながります。

行列式はどんな場面で使うか

行列式は、逆行列の存在判定、連立一次方程式の扱い、線形変換の面積や体積の倍率の確認でよく出てきます。高校から大学初級の線形代数では、行列の性質を見る入口としてかなり重要です。

特に「この行列は可逆か」を素早く見たいとき、行列式はとても便利です。正方行列について、det(A)0\det(A) \neq 0 なら逆行列が存在し、det(A)=0\det(A) = 0 なら存在しません。

次に自分で試す

上の例で右下の 5500 に変えると、行列式がどう変わるかを自分で計算してみてください。余因子展開の形がそのまま使えるので、どの成分が答えに効いているかを確かめやすいです。

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