微分の公式は、関数の形に応じてどの微分法を使うべきかを教えてくれます。式がべき、積、商、または入れ子になった関数なら、まずはいちばん外側の形に合う公式を選びます。この習慣だけで、多くの微分の問題はかなり解きやすくなります。
主な微分の公式と使う場面
べき乗の微分法
n を実数定数とすると、
dxd(xn)=nxn−1
例:dxd(x5)=5x4。
式が x の単純なべきになっているときに使います。ただし、底が単なる x ではなく (3x+1)5 のような形なら、連鎖律も関係します。
積の微分法
f と g が微分可能なら、
dxd(f(x)g(x))=f′(x)g(x)+f(x)g′(x)
2つの変化する式が掛け算されているときに使います。どちらの因子の変化でも積全体が変わるので、微分結果は2項になります。
商の微分法
f と g が微分可能で、g(x)=0 なら、
dxd(g(x)f(x))=(g(x))2f′(x)g(x)−f(x)g′(x)
1つの変化する式を別の変化する式で割っているときに使います。g(x)=0 という条件が大切なのは、分母が 0 のところでは元の関数が定義されないからです。
連鎖律
y=f(g(x)) で、必要なところで両方の関数が微分可能なら、
dxdf(g(x))=f′(g(x))⋅g′(x)
ある関数が別の関数の内側に入っているときに使います。言い換えると、外側の関数を微分し、内側の式はそのまま残し、最後に内側の微分を掛けます。
どの微分公式を使うか見分ける方法
暗記した公式を探すところから始めないでください。まず、「この式のいちばん外側の形は何か?」と考えます。
- x7 はべきです。
- x2sin(x) は積です。
- x−3x2+1 は商です。
- (2x−1)4 や sin(x2) は合成関数なので、連鎖律を使います。
式の中に複数の構造が混ざっている場合でも、まずは外側から見ます。たとえば x(2x−1)4 は、片方の因子に連鎖律が必要でも、全体としては積です。
例題:積の微分法の中で連鎖律を使う
次の関数を微分します。
y=x2(3x+1)4
いちばん外側の形は積なので、まず積の微分法を使います。次のようにおきます。
f(x)=x2andg(x)=(3x+1)4
すると、
y′=f′(x)g(x)+f(x)g′(x)
まず1つ目の因子を微分すると、
f′(x)=2x
次に2つ目の因子は連鎖律で微分します。
g′(x)=4(3x+1)3⋅3=12(3x+1)3
両方を代入すると、
y′=2x(3x+1)4+x2⋅12(3x+1)3
これで正しい最終答案です。もっと見やすく因数分解した形にしたければ、共通因子をくくり出します。
y′=2x(3x+1)3(9x+1)
大事なのは順番です。まず外側の構造から積の微分法を選び、そのあとで (3x+1)4 の部分に必要なところだけ連鎖律を使います。
微分の公式でよくあるミス
- 実際には積や商なのに、式全体にべき乗の微分法を使ってしまう。
- 積の微分を、2項の和ではなく f′(x)g′(x) と書いてしまう。
- 商の微分法の分子にあるマイナス符号を忘れる。
- 連鎖律で内側の微分を忘れ、(3x+1)4 をただ 4(3x+1)3 にしてしまう。
- 早い段階で展開してしまい、必要以上に計算を複雑にする。
これらの公式が微積分で使われる場面
微分の公式は、変化の割合が必要なあらゆる場面で重要です。微積分の授業では、ふつう接線の傾き、運動、最適化、グラフの変化を調べるときに使います。物理では速度や加速度に現れます。工学や経済学では、ある量が別の量の変化にどう反応するかを表すのに役立ちます。
似た問題に挑戦してみよう
次を微分してください。
y=(2x−3)2x2+1
これは構造の見分け方を確認するのによい問題です。外側は商ですが、分母には連鎖律も必要です。
近い内容を続けて学ぶなら、次に Chain Rule や Product Rule を見てみましょう。