二項分布は、nn 回の試行でちょうど kk 回成功する確率を表します。使えるのは、注目する事象について各試行の結果が2通りで、試行同士が独立であり、毎回の成功確率が同じ場合だけです。

これらの条件のどれか1つでも欠けると、計算自体はそれらしく見えても、モデルとしては誤っています。

二項分布の意味

同じ種類の試行を nn 回くり返すとします。各試行で、一方の結果を 成功、もう一方を 失敗 とします。

毎回の成功確率が pp なら、成功回数を表す確率変数 XX は二項分布に従います。

これはよく次のように書かれます。

XBin(n,p)X \sim \text{Bin}(n,p)

この記号の意味は次のとおりです。

  • nn は試行回数
  • pp は各試行での成功確率
  • XX は成功回数

これは回数を数えるモデルです。どの試行で成功したかは問いません。全体で何回成功したかを考えます。

二項分布の公式

ちょうど kk 回成功する確率は

P(X=k)=(nk)pk(1p)nkP(X=k)=\binom{n}{k}p^k(1-p)^{n-k}

です。

それぞれの部分には役割があります。

  • (nk)\binom{n}{k} は、nn 回の試行の中で kk 回の成功を並べる方法の数を表します
  • pkp^k は、その kk 回の成功が起こる確率を表します
  • (1p)nk(1-p)^{n-k} は、残りの失敗が起こる確率を表します

この公式は k=0,1,2,,nk=0,1,2,\dots,n に対して使えます。

二項分布の公式を使える条件

二項モデルを使えるのは、次の条件がすべて成り立つときだけです。

試行回数が固定されている

試行が全部で何回あるかが最初から決まっています。たとえば、コインを 88 回投げるのはこの条件に当てはまります。

各試行の結果が2通りである

追跡したい事象について、各試行は成功か失敗かに分類できなければなりません。サイコロでも、「66 が出る」を成功と決めれば当てはまります。

試行が独立である

ある試行の結果が、次の試行の確率を変えてはいけません。復元抽出ならこの条件に合うことがあります。小さい集団からの非復元抽出は、ふつうは当てはまりません。

成功確率が一定である

pp の値は試行ごとに変わってはいけません。毎回確率が変わるなら、単純な二項モデルは適切ではありません。

例題:5回投げてちょうど3回表

表が出る確率が 0.60.6 の偏ったコインを考えます。これを 55 回投げるとき、ちょうど 33 回表が出る確率は何でしょうか。

表を成功とすると、

n=5,p=0.6,k=3n=5,\quad p=0.6,\quad k=3

です。

公式を使うと、

P(X=3)=(53)(0.6)3(0.4)2P(X=3)=\binom{5}{3}(0.6)^3(0.4)^2

となります。

各部分を計算すると、

(53)=10,(0.6)3=0.216,(0.4)2=0.16\binom{5}{3}=10,\quad (0.6)^3=0.216,\quad (0.4)^2=0.16

です。

したがって、

P(X=3)=10(0.216)(0.16)=0.3456P(X=3)=10(0.216)(0.16)=0.3456

となります。

ちょうど 33 回表が出る確率は 0.34560.3456、つまり 34.56%34.56\% です。

ここで二項モデルが使える理由は、試行回数 nn が固定されていて、各試行の結果が2通りで、試行が独立であり、毎回の成功確率が同じ p=0.6p=0.6 だからです。

「少なくとも1回」の素早い求め方

「少なくとも1回成功」のような問題では、多くの項を足すより余事象を使うほうが速いことがよくあります。

たとえば、XBin(5,0.6)X \sim \text{Bin}(5,0.6) なら、

P(X1)=1P(X=0)=1(0.4)5P(X \ge 1)=1-P(X=0)=1-(0.4)^5

です。

これは、「少なくとも1回成功」が「0回成功」の余事象だからです。

二項分布の問題でよくある間違い

条件を無視する

よくある間違いは、試行が独立でないのに二項分布の公式を使ってしまうことです。典型例は、小さい集団から非復元抽出しているのに、pp が変わらないものとして扱う場合です。

「成功」の意味を読み違える

二項分布でいう成功は、必ずしも良い結果を意味しません。単に数えたいほうの結果を指しているだけです。

「ちょうど」「少なくとも」「高々」を混同する

これらの表現は、同じ実験でも計算が異なります。「ちょうど 33 回」は1項だけですが、「少なくとも 33 回」は複数の項の和になり、「高々 33 回」はまた別の和になります。

二項分布が使われる場面

二項分布は、不良か不良でないか、合格か不合格か、クリックするかしないか、表か裏かのように、はい・いいえ型の結果をくり返し数える場面で現れます。

品質管理、適切な仮定のもとの標本調査、信頼性の問題、統計における基本的な確率モデルなどで役立ちます。

似た問題に挑戦してみよう

今度は、コインを 88 回投げて p=0.4p=0.4 の場合を自分で試してみましょう。まず P(X=2)P(X=2) を求め、次に余事象を使って P(X1)P(X \ge 1) を求めてください。さらに、試行が独立でなくなったときに何が変わるかも比べてみましょう。

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