ヤング率は、材料を引っ張ったり圧縮したりしたときに、どれだけ硬いかを表す量です。線形弾性範囲では、応力とひずみの比として定義されます。
ここで、 は垂直応力、 は垂直ひずみです。2つの材料に同じ応力を加えたとき、 が大きいほうが長さの変化は小さくなります。
ここが重要なポイントです。ヤング率が表すのは強度ではなく、剛性です。荷重を取り除いたあとに元の形に戻る範囲で、材料がどれだけ変形するかを示します。
応力・ひずみ・弾性とは何か
応力は、面積あたりにかかる力です。
ひずみは、長さの変化の割合です。
弾性とは、荷重を取り除いたあとに材料がほぼ元の形に戻る性質のことです。ヤング率が応力とひずみを結びつけるのは、応力がひずみにほぼ比例する線形弾性領域にある場合だけです。
軸方向の荷重を受ける一様な棒では、これらの定義を組み合わせると次のようになります。
これを変形すると、伸びを求める実用的な式が得られます。
この形は、棒の断面が一様で、荷重が主に長さ方向にかかっている場合にだけ使ってください。
直感的な理解:ヤング率は直線部分の傾き
ヤング率は、応力-ひずみグラフの直線部分の傾きです。傾きが急であるほど、小さなひずみを生じさせるのに大きな応力が必要なので、その材料は硬いといえます。傾きが緩やかなら、材料はより変形しやすいです。
鋼とゴムの感触が大きく違うのはこのためです。同じ応力を受けても、鋼の長さの変化割合は通常、ゴムよりずっと小さくなります。
計算例:棒はどれだけ伸びるか
ある金属棒について、次の値が与えられているとします。
伸び を求めます。
まず、次の式を使います。
値を代入すると、
したがって、棒の伸びは
となります。
この小さな伸びこそがポイントです。ヤング率が大きい材料は、大きな力を受けても、弾性範囲にある限り、わずかしか伸びません。
ヤング率でよくある間違い
剛性と強度を同じものとして扱う
ヤング率から、その材料が耐えられる最大応力はわかりません。わかるのは、破壊を考える前の段階で、材料がどれだけ変形するかです。
弾性領域の外で を使う
応力-ひずみ曲線がすでに直線から外れて曲がっているなら、1つの一定値の だけでは、そのふるまい全体を同じように単純には表せません。
ひずみを長さそのものだと勘違いする
ひずみは単なる ではありません。 なので、元の長さが重要です。
特に断面積の単位を混同する
断面積を のままにして、応力にパスカルを使ってしまうと、誤答の原因になります。 なので、断面積の単位もそれに合わせる必要があります。
ヤング率はどこで使われるか
ヤング率は、変形が重要になる場面で使われます。棒、ワイヤー、構造部材の問題では、最初の問いが「壊れるか」ではなく、「伸びすぎるか、縮みすぎるか」であることがよくあります。
また、より大きなモデルの中にも現れます。たとえば梁のたわみや座屈の式では、 は構造が曲げや弾性的な不安定にどれだけ強く抵抗するかを決める要素になります。
似た問題に挑戦してみよう
同じ棒で、断面積だけを2倍にしてみてください。計算する前に、 がどうなるか予想してみましょう。次に、 だけを変えた場合も比べて、同じ荷重のもとでどの材料がより硬く感じられるか考えてみてください。