群論は、ある集合と演算が安定した形でうまく組み合わさるのはどんなときかを説明します。群には4つの要素があります。閉包性、結合律、単位元、そして各元に対する逆元です。部分群は大きな群の中にある小さな群で、準同型は演算を保つ写像です。

1つだけ例を覚えるなら、加法に関する整数を使うのがおすすめです。この例では群の定義がわかりやすく、きれいな部分群も見つかり、準同型の考え方も確かめやすくなります。

群の定義:4つの公理

群とは、集合 GG とその上の演算の組であり、演算はしばしば積の形で abab と書かれます。このとき、次の4条件が成り立てば群です。

  1. 閉包性:a,bGa,b \in G ならば abGab \in G
  2. 結合律:すべての a,b,cGa,b,c \in G に対して (ab)c=a(bc)(ab)c = a(bc)
  3. 単位元:ある元 eGe \in G が存在して、すべての aGa \in G に対して ea=ae=aea = ae = a
  4. 逆元:各 aGa \in G に対して、ある元 a1Ga^{-1} \in G が存在し、aa1=a1a=eaa^{-1} = a^{-1}a = e

これが群の完全な定義です。1つでも条件が欠ければ、その集合と演算は群ではありません。

なぜこの定義が重要なのか

この定義によって、元を組み合わせることができ、行った操作を打ち消すことができ、さらに括り方を変えても結果が変わらない体系が得られます。だからこそ群は、対称性、合同算術、置換、行列代数などに現れます。

演算を「許された操作」だと考えると、群とは、その操作を組み合わせることができ、何もしない操作があり、しかもすべての操作を元に戻せる体系だといえます。

例:なぜ (Z,+)(\mathbb{Z}, +) は群なのか

整数全体の集合 Z={,2,1,0,1,2,}\mathbb{Z} = \{\dots,-2,-1,0,1,2,\dots\} を、加法という演算とともに考えます。

これは群です。

  • 2つの整数の和はふたたび整数なので、閉包性が成り立ちます。
  • 整数については (a+b)+c=a+(b+c)(a+b)+c = a+(b+c) なので、結合律が成り立ちます。
  • a+0=0+a=aa+0 = 0+a = a なので、単位元は 00 です。
  • a+(a)=0a + (-a) = 0 なので、aa の逆元は a-a です。

したがって、(Z,+)(\mathbb{Z}, +) は群です。

この例が出発点として適しているのは、部分群や準同型も具体的に見えるからです。

偶数全体を使った部分群の定義

部分群とは、ある群の部分集合であって、同じ演算のもとでそれ自身も群になっているものです。

(Z,+)(\mathbb{Z}, +) の中で、偶数全体を考えます。

2Z={,4,2,0,2,4,}2\mathbb{Z} = \{\dots,-4,-2,0,2,4,\dots\}

これは加法に関して Z\mathbb{Z} の部分群です。なぜなら、

  • 偶数どうしを足すと、また偶数になる
  • 00 は偶数なので、単位元が含まれている
  • 偶数の負数はやはり偶数である

からです。

したがって、2Z2\mathbb{Z} は単なる部分集合ではありません。大きな群と同じ代数的ルールを保っています。

これが部分群の基本的な考え方です。つまり、同じ演算がそのまま使える、より小さな閉じた世界なのです。

準同型の定義:演算を保つこと

準同型とは、群から群への写像で、演算を保つものです。

f:GHf : G \to H が準同型であるとは、

f(ab)=f(a)f(b)f(ab) = f(a)f(b)

がすべての a,bGa,b \in G に対して成り立つことです。

使う記号は群によって異なります。演算が加法なら、同じ条件はしばしば

f(a+b)=f(a)+f(b)f(a+b) = f(a) + f(b)

と書かれます。

言いたいことは同じです。先に演算してから写す場合と、先に写してから演算する場合とで、結果が一致するのです。準同型はこの2つの道筋を一致させます。

具体例:Z\mathbb{Z} から Z2\mathbb{Z}_2 への偶奇写像

f:ZZ2f : \mathbb{Z} \to \mathbb{Z}_2

f(n)=n を 2 で割った余りf(n) = n \text{ を } 2 \text{ で割った余り}

で定めます。

ここで Z2={0,1}\mathbb{Z}_2 = \{0,1\} で、演算は 22 を法とする加法です。

この関数は、整数が偶数か奇数かを記録しています。これが準同型であることを確かめるには、両辺を比べます。

f(a+b)f(a+b)

は和の偶奇を表し、一方で

f(a)+f(b)f(a) + f(b)

は2つの偶奇を 22 を法として足したものです。

これらはすべての整数 aabb について一致するので、

f(a+b)=f(a)+f(b)f(a+b) = f(a) + f(b)

Z2\mathbb{Z}_2 で成り立ちます。

たとえば a=3a=3b=5b=5 なら、

f(3)=1,f(5)=1,f(3+5)=f(8)=0f(3) = 1,\qquad f(5) = 1,\qquad f(3+5) = f(8) = 0

であり、

f(3)+f(5)=1+1=0(mod2)f(3)+f(5) = 1+1 = 0 \pmod{2}

となります。

したがって、この写像は群の演算を保っています。

群論でよくある間違い

演算もデータの一部であることを忘れる

「整数は群をなす」と言うだけでは、演算が明確でない限り不十分です。整数は加法については群ですが、乗法については群ではありません。なぜなら、ほとんどの整数は Z\mathbb{Z} の中で乗法逆元を持たないからです。

どんな部分集合も部分群だと思ってしまう

部分集合が部分群であるには、単位元を含み、演算について閉じていて、逆元も含んでいなければなりません。たとえば正の整数全体は (Z,+)(\mathbb{Z}, +) の部分群ではありません。00 を含まず、加法逆元も含まないからです。

準同型をただの関数のように扱う

準同型は、集合の間の任意の写像ではありません。本質は演算を保つことにあります。この条件が成り立たなければ、群準同型ではありません。

異なる群の記法を混同する

ある群では演算が加法で、別の群では乗法、さらに別の群では合成かもしれません。準同型の条件を書くときは、左右それぞれで正しい演算を使わなければなりません。

群論はどこで使われるか

群論は、繰り返し使えて元に戻せる構造がある問題で使われます。代表的な例として、図形の対称性、合同算術、置換、線形代数、物理学の一部などがあります。

そのよさを理解するのに、高度な例は必要ありません。基本的な段階でも、群論は一見違う問題の背後に同じ構造があることを見抜く助けになります。

似た問題に挑戦してみよう

まず (Z,+)(\mathbb{Z}, +) から始めて、3の倍数全体が部分群になるかを確かめてみましょう。次に、Z\mathbb{Z} から Z3\mathbb{Z}_3 への写像 g(n)=nmod3g(n) = n \bmod 3 を考え、

g(a+b)=g(a)+g(b)g(a+b) = g(a) + g(b)

33 を法として成り立つかを確認してみてください。

もう一歩進みたいなら、正三角形の回転について同じ問いを試してみましょう。群論が単なる定義ではなく道具のように感じられるのは、そこからであることが多いです。

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