薄レンズの公式は、薄いレンズで像がどこにできるかを表します。
ここで、 は焦点距離、 は物体距離、 は像距離です。初等物理では、レンズを薄いとみなせて、周囲の媒質が通常は空気であり、光線が主軸の近くを通るときにこの式を使います。
答えが変に見えるときは、たいてい符号規約が原因です。式そのものは同じでも、距離が正か負かの意味は、授業で採用している規約によって変わります。
薄レンズの公式:各記号の意味
空気中にある薄レンズで、近軸光線を考えると、この式は物体の位置と像の位置を結びつけます。
- はレンズの焦点距離です。
- はレンズから物体までの距離です。
- はレンズから像までの距離です。
初学者向けによく使われる符号規約では、次のようにします。
- レンズの前方に置かれた実物体に対して
- レンズの反対側にできる実像に対して
- 物体と同じ側にできる虚像に対して
- 収束レンズでは 、発散レンズでは
授業で別の規約を使っていても、物理の内容は同じです。ただし符号は変わることがあります。混乱はたいていここから始まります。
レンズの公式が物理的に意味すること
薄レンズの公式が便利なのは、物体を動かしたときに像の位置がどう変わるかを示してくれるからです。
- 収束レンズの前に物体が十分遠くにあると、像は焦点面の近くにできます。
- 物体が焦点に近づくと、像はより遠くに移動します。
- 物体が収束レンズの焦点距離の内側に入ると、像は虚像になり、上の規約では になります。
この最後のケースが、虫眼鏡で拡大された正立の虚像が見える理由です。
計算例:像距離を求める
焦点距離が の収束レンズがあり、物体をレンズの前方 に置くとします。上の符号規約を使うと、、 です。
まず、レンズの公式を書きます。
既知の値を代入します。
について解きます。
したがって、像はレンズの反対側に の位置にできます。 は正なので、この符号規約では実像です。
像の大きさも知りたいなら、倍率を使います。
したがって、像は倒立で、物体の高さの半分になります。
薄レンズの公式でよくある間違い
- 教科書や先生ごとに異なる符号規約を混ぜてしまう。
- 虚像でも、すべての像距離を正として扱ってしまう。
- 薄レンズの公式は近似であり、すべての厚いレンズや強く曲がったレンズ系に厳密に成り立つ法則ではないことを忘れる。
- 採用した規約を確認せずに、収束レンズの焦点距離を負、または発散レンズの焦点距離を正としてしまう。
- を正しく求めても、その符号が実像か虚像かをどう示すかを読み違える。
レンズの公式を使える場面
この式は、カメラ、虫眼鏡、顕微鏡、望遠鏡、そして目のレンズの単純なモデルなど、基本的な幾何光学で使われます。特に、レンズの厚さが問題に出てくる他の距離に比べて十分小さく、光線が主軸の近くを通るときによく成り立ちます。
実際の光学系では、レンズの厚みによる効果や収差が重要になることがあります。その場合でも、薄レンズの公式は有用なモデルですが、それだけで全てを説明できるわけではありません。
似た問題に挑戦してみよう
同じレンズを使って、今度は物体をレンズから の位置に置いてみましょう。 を求めて、符号も確認してください。像距離が負になったなら、それは像が実像ではなく虚像であることを示しています。