絶対値とは、数直線上で からどれだけ離れているかを表すものです。実数に対しては、 は常に 以上になります。
そのため、 であり、 です。これらの数は の反対側にありますが、 からの距離は同じです。
絶対値の定義
実数 に対して、
となります。
これは、絶対値が「何でも正の数にする」という意味ではありません。 以上の数はそのままで、負の数だけ符号を変えます。
距離として考える
いちばんわかりやすい考え方は、距離としてとらえることです。 を見たら、「 から までの距離」と考えましょう。
同じ考え方で、 のような式も説明できます。これは数直線上での と の間の距離です。
たとえば、
なので、 と の距離は です。
絶対値の基本性質
よく使う性質は次のとおりです。
- 任意の実数 について、。
- となるのは のときだけ。
- 。
- 実数 , について、。
- なら、。
最後の性質では という条件が重要です。 で割ることは定義されていないからです。
例題: を解く
この方程式は、 からの距離が である数を求める問題です。
ある数が の右に だけあるなら、
したがって、
となります。
ある数が の左に だけあるなら、
したがって、
となります。
よって、解は
です。
このように2つの場合に分ける考え方が、いちばん大切なパターンです。 で のときは、 と の両方を解きます。
絶対値でよくあるミス
よくあるミスの1つは、 が負になると思ってしまうことです。これは誤りです。実数では、絶対値は常に 以上です。
もう1つのよくあるミスは、場合分けを1つしか考えないことです。上の例で だけで止めると、 から同じく 離れたもう1つの点を見落としてしまいます。
また、 と を混同する人もいます。これらは同じではありません。実際、 ですが、 は 以下です。
絶対値が使われる場面
絶対値は、向きよりも大きさが重要なときに現れます。
数直線上の距離、目標値からの誤差やずれ、方程式や不等式、向きを無視して大きさだけを残したい公式などで使われます。さらに数学が進むと、座標幾何、微積分、複素数でも登場しますが、正確な意味は場面によって少し変わります。
型の方程式の確認ポイント
のような方程式を見たら、まず右辺を確認しましょう。
なら、絶対値が負の数になることはないので実数解はありません。 なら、中身が でなければなりません。 なら、2つの場合を考えるのが基本です。ただし、両方の場合が同じ値になることもあります。
似た絶対値の問題に挑戦
を解いてみましょう。これは「 からの距離が 」と読めます。そこから対応する2つの場合を書いてください。解けたら、両方の答えを元の方程式に代入して確かめてみましょう。