空間図形では、空間内の点・直線・平面を扱います。多くの問題で大切な考え方はシンプルです。直線は1点と方向で決まり、平面は方程式または法線ベクトルで決まり、方向余弦はその直線が座標軸に対してどの向きを向いているかを表します。
有向直線が正の x 軸、y 軸、z 軸となす角をそれぞれ α, β, γ とすると、その方向余弦は
l=cosα,m=cosβ,n=cosγ
であり、
l2+m2+n2=1
を満たします。
要点をひとことで言うと、直線は「点+方向」、平面は「平らな条件」、方向余弦はその方向を正規化した表し方です。
空間図形における直線と平面の方程式
直線が (x1,y1,z1) を通り、方向比が (a,b,c) であるとき、便利な表し方の1つは
x=x1+at,y=y1+bt,z=z1+ct
です。
ここで t は媒介変数です。
また、a, b, c がいずれも 0 でなければ、同じ直線を対称形で
ax−x1=by−y1=cz−z1
と書くこともできます。
ただし、方向比のどれか1つが 0 のときは、この形の扱いに注意が必要です。
平面はしばしば
ax+by+cz+d=0
と表されます。
ここで (a,b,c) は平面の法線ベクトルです。これは平面がどちらを向いているかを示すものであり、平面内にある方向を表すベクトルではありません。
方向比と方向余弦の違い
方向比は、倍率を除いて方向だけを表します。たとえば、(2,−1,2) と (4,−2,4) は同じ向きを表しています。
方向比 (a,b,c) を方向余弦に変換するには、その方向ベクトルの長さで割ります。
l=a2+b2+c2a,m=a2+b2+c2b,n=a2+b2+c2c
これは (a,b,c)=(0,0,0) のときにだけ意味をもちます。
例題:方向余弦と直線と平面の交点を求める
直線が
P(1,2,0)
を通り、方向比が
(2,−1,2)
であるとします。
また、平面が
x+y+z=6
であるとします。
まず、直線を媒介変数表示で書くと
x=1+2t,y=2−t,z=2t
となります。
次に、方向余弦を求めます。方向比ベクトルの長さは
22+(−1)2+22=9=3
です。
したがって、方向余弦は
l=32,m=−31,n=32
です。
実際に、
(32)2+(−31)2+(32)2=1
となり、確かめられます。
次に、直線と平面の交点を求めます。直線の式を x+y+z=6 に代入すると、
(1+2t)+(2−t)+2t=6
3+3t=6
t=1
となります。
よって、交点は
(x,y,z)=(3,1,2)
です。
この例題では、主要な考え方が1か所にまとまっています。点 P は直線の基準となる点であり、方向比は直線がどのように進むかを示し、方向余弦は同じ方向を単位化して表したものです。そして、平面の方程式を使うことで交点を求められます。
よくあるミス
方向比を正規化されたものとして扱ってしまう
(2,−1,2) と (32,−31,32) は同じ方向を表しますが、正規化されているのは後者だけです。l2+m2+n2=1 という関係は、方向余弦に対して成り立つものであり、任意の方向比に対して成り立つわけではありません。
分母が 0 のときに対称形をそのまま使う
方向比の1つが 0 の場合、対称形は特別な扱いが必要です。そのようなときは、媒介変数表示のほうが安全です。
平面の法線と直線の方向を混同する
ax+by+cz+d=0 において、(a,b,c) は平面に垂直なベクトルです。一般には、平面内にある方向ベクトルではありません。
公式が使える条件を忘れる
(a,b,c) から方向余弦を求める公式は、方向ベクトルが 0 ベクトルでないときにしか使えません。0 ベクトルは直線の方向を定めません。
空間図形はどこで使われるか
この考え方は、空間内で位置や向きが重要になる場面で使われます。学校数学では、座標幾何やベクトルの問題でよく現れます。応用では、グラフィックス、ロボティクス、ナビゲーション、力学などで、運動・交点・向きを3次元で表したいときに同じ考え方が使われます。
類題に挑戦してみよう
直線はそのままで、平面だけを
x+y+z=9
に変えてみましょう。
新しい t の値と、新しい交点を求めてください。自分で解いたあとに答えを確かめたい場合は、GPAI Solver で似た空間図形の問題に挑戦してみてください。