根軌跡は、ゲインが変化したときに閉ループ極がどこへ動きうるかを見るための制御系の手法です。標準的な連続時間の負帰還では、そのゲインは通常 K0K \ge 0 と書かれ、図は複素 ss 平面上に描かれます。

これが重要なのは、極の位置がシステムの振る舞いと結びついているからです。連続時間の線形システムでは、左半平面にある極は安定なモードに対応するため、根軌跡を使うと、ゲインの変更が安定性を改善するのか悪化させるのかを素早く判断できます。

開ループ伝達要素を KG(s)H(s)K G(s)H(s) と書くと、閉ループ極は次の解です。

1+KG(s)H(s)=01 + K G(s)H(s) = 0

したがって、根軌跡とは、KK が変化するときの閉ループ極の位置全体の集合です。

根軌跡図が示すもの

この図が示しているのは、任意の点ではありません。ある特定のフィードバックモデルと、あるゲイン範囲に対して取りうる閉ループ極の位置を示しています。

直感の大部分は、次の2つの事実でつかめます。

  • 枝は K=0K = 0 のとき開ループ極から始まる。
  • 枝は開ループ零点で終わるか、KK \to \infty で無限遠へ向かう。

すると実用上の問いは単純です。ゲインを上げると、極はどこへ行くのか、ということです。

学生が根軌跡を使う理由

根軌跡は、極の動きを表す図だと考えるとわかりやすいです。KK の値ごとに毎回まったく新しい問題を解いているわけではありません。ゲインが連続的に変わるときに、極がたどる経路を追跡しているのです。

だからこそ、この方法は設計で役に立ちます。多くのゲインを1つずつ別々に試す代わりに、1枚の図で全体の傾向を見られます。

例題:L(s)=Ks(s+2)L(s) = \frac{K}{s(s+2)} の根軌跡

次の開ループ伝達要素を考えます。

L(s)=Ks(s+2)L(s) = \frac{K}{s(s+2)}

ここで単位負帰還を用います。閉ループの特性方程式は

1+Ks(s+2)=01 + \frac{K}{s(s+2)} = 0

です。両辺に s(s+2)s(s+2) を掛けると、

s(s+2)+K=0s(s+2) + K = 0

したがって、

s2+2s+K=0s^2 + 2s + K = 0

となります。では、閉ループ極を解きます。

s=2±44K2=1±1Ks = \frac{-2 \pm \sqrt{4 - 4K}}{2} = -1 \pm \sqrt{1-K}

この式だけで、根軌跡の主な振る舞いがすでにわかります。

K=0K = 0 のとき、極は s=0s = 0s=2s = -2 にあります。これらは開ループ極なので、根軌跡の出発点です。

0<K<10 < K < 1 のとき、2つの極はどちらも実軸上にとどまります。

s=1±1Ks = -1 \pm \sqrt{1-K}

KK が増えるにつれて、これらの極は実軸上を互いに近づくように動きます。

K=1K = 1 のとき、2つの極は

s=1s = -1

で一致します。

K>1K > 1 では、平方根の中身が負になるので、極は複素共役の組になります。

s=1±iK1s = -1 \pm i\sqrt{K-1}

このとき実部は 1-1 に固定され、極は上下方向に動きます。

これで全体像がひと目でわかります。

  • 枝は 002-2 から始まる。
  • それらは 1-1 で合流する。
  • その後、複素共役の組として実軸を離れる。
  • 有限な零点はないので、枝は無限遠へ向かう。

この例では、すべての K>0K > 0 に対して実部が負のままなので、この閉ループ系は正のゲインの範囲で常に左半平面内にとどまります。ただし、この結論はこの具体例と連続時間という設定に依存します。

根軌跡でよくあるミス

開ループ極と閉ループ極を混同する

根軌跡は閉ループの特性方程式から得られます。開ループ極と零点はスケッチの手がかりになりますが、根軌跡そのものが示しているのは、閉ループ極が動きうる位置です。

フィードバックの符号を忘れる

上の標準形では負帰還を使い、通常は K0K \ge 0 を考えます。フィードバックの符号やゲイン範囲が変われば、根軌跡も変わります。

設定を明示せずに安定性を読む

連続時間システムでは、左半平面の極は漸近安定を表します。離散時間システムでは安定領域が異なるため、同じ見た目のルールをそのまま使うことはできません。

時間応答のグラフのように扱う

根軌跡が教えてくれるのは極の位置です。オーバーシュート、整定時間、応答の大きさを直接与えるわけではありません。そうした量を知るには、極の位置を具体的なモデルや近似と結びつける必要があります。

根軌跡法が使われる場面

根軌跡は、ゲインを調整し、その調整によって線形フィードバック系の極の位置がどう変わるかを理解したいときに使われます。

これは制御設計の入門でよく出てきます。特に、極を安定な領域に保つゲインや、応答をより速くしたり遅くしたりする方向へ極を移したいときに重要です。ソフトウェアが図を自動で描いてくれる場合でも、この考え方は大切です。なぜなら、その図が実際に何を意味しているのかを理解できるからです。

根軌跡の問題を始めるときのポイント

何かをスケッチする前に、次の問いに答えてください。

  1. 特性方程式は何か。
  2. 開ループ極と零点はどこにあるか。
  3. K0K \ge 0 の標準的な負帰還の設定を使っているか。

この3点があいまいだと、図を誤読しやすくなります。

自分でもやってみよう

次の式でも同じ手順を試してみてください。

L(s)=Ks(s+1)L(s) = \frac{K}{s(s+1)}

閉ループの特性方程式を書き、極を解き、KK が増えると何が起こるかを追ってみましょう。2つの枝がどこから始まり、いつ純粋な実数ではなくなるかを見抜ければ、根軌跡の基本はつかめています。

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