確率の公式で最初に押さえたいのは4つです。等しく起こりやすい結果を数えるなら基本公式、「少なくとも1回」なら余事象、「 または 」なら加法公式、「 かつ 」なら乗法公式を考えます。大事なのは式そのものより、どの条件で使えるかです。
まず土台になるのは、全ての結果が同様に確からしいときの基本公式です。
この条件がないのに公式だけを当てはめると、答えの意味がずれます。
確率とは何かを短くつかむ
確率は、ある事象がどのくらい起こりやすいかを表す数です。通常は から の間で表します。
は「起こらない」、 は「必ず起こる」という意味です。たとえば公平なコインを1回投げるとき、表が出る確率は です。結果が2通りあり、その2通りが同じ起こりやすさだからです。
ここで大事なのは、結果が本当に同様に確からしいかどうかです。この条件がないときは、基本公式をそのまま使えません。
確率の公式はこの4つを使い分ける
1. 基本公式: 同様に確からしい結果を数える
全ての結果が同様に確からしいとき、
を使います。
たとえば、公平な6面体のサイコロを1回投げて偶数が出る確率は
です。偶数は の3通りあるからです。
2. 余事象の公式: 「少なくとも1回」に強い
求めたい事象を直接数えにくいときは、起こらない場合を先に考えると楽になります。
言い換えると、
です。「少なくとも1回」「1回も起こらない」といった表現では特によく使います。
3. 加法公式: 「 または 」で重なりを引く
「 または 」の確率は、
です。最後に を引くのは、重なっている部分を二重に数えないためです。
もし と が同時に起こらない事象なら、 なので
と簡単になります。
4. 乗法公式: 「 かつ 」で独立かを確認する
「 かつ 」の確率では、2つの事象が独立かどうかを確認します。
独立なら、
です。
一方で、後の結果が前の結果に影響されるなら、一般には
を使います。つまり、何でも機械的に掛け算するのではなく、独立かどうかを先に見る必要があります。
例題: サイコロを2回投げて少なくとも1回 が出る確率
公平な6面体のサイコロを2回投げるとします。少なくとも1回 が出る確率を求めます。
この問題は、直接数えるよりも「2回とも が出ない」確率を先に求めるほうが簡単です。
1回で が出ない確率は
です。
2回の試行は独立なので、2回とも が出ない確率は
となります。
求めたいのはその余事象なので、
です。
この例のポイントは2つです。「少なくとも1回」は余事象で考えると速いこと、そして2回の試行が独立だからこそ を掛けられることです。
よくある間違いを先に知っておく
基本公式を条件なしで使う
基本公式
は便利ですが、全ての結果の起こりやすさが同じときに限って直接使えます。
「または」をただ足してしまう
と に重なりがあるのに単純に足すと、同じ結果を2回数えてしまいます。重なりがあるなら を引く必要があります。
「独立」と「同時に起こらない」を混同する
独立は「片方が起きても、もう片方の確率が変わらない」ことです。同時に起こらないこととは意味が違います。この2つを混同すると、加法公式も乗法公式も使い分けられません。
答えの範囲を見直さない
確率は必ず 以上 以下です。計算結果がこの範囲から外れたら、どこかで数え方か公式の選び方を間違えています。
確率の公式はどんな場面で使うか
学校の問題では、コイン、サイコロ、カード、くじ、袋からの取り出しでよく使います。学習が進むと、条件付き確率や期待値の理解にもつながります。
実生活でも、天気予報、検査、品質管理のように不確かさを数字で考える場面で土台になります。ただし、どの公式を使えるかは状況の条件しだいです。
次に自分で試す
標準的なトランプ1組から1枚引くとき、「ハートまたはキング」を引く確率を考えてみてください。足し算だけでよいのか、重なりを引く必要があるのかを自分で判断できれば、加法公式の使いどころがかなりはっきりします。
次の一歩として、似た問題を自分で1問だけ作り、「または」「かつ」「少なくとも1回」のどれに当たるかを先に言葉で決めてから計算してみてください。