微分とは、導関数を求めることです。導関数は、ある点で関数がどれくらいの速さで変化しているかを表すので、微積分では接線の傾きや変化率を考えるときに使われます。

どの公式を使うべきかを最も速く判断するには、まず式の形を見ることが大切です。x5x^5 のようなべきなのか、x3+2xx^3 + 2x のような和なのか、x2exx^2 e^x のような積なのか、あるいは (3x+1)4(3x+1)^4 のように関数の中に別の関数が入っているのかを確認します。使う微分公式は、その構造によって決まります。

どの微分公式を使うべき?

まず、式のいちばん外側の形に注目します。

  • 式が xx の単独のべきなら、べき乗の微分法を使います。
  • 項が足し算や引き算でつながっているなら、項ごとに微分します。
  • 変化する2つの式が掛け合わされているなら、積の微分法を使います。
  • 変化する式を別の変化する式で割っているなら、商の微分法を使います。
  • ある関数が別の関数の中に入っているなら、連鎖律を使います。

多くの問題では、複数の公式を組み合わせて使います。その場合は、まず外側の構造に合う公式を選びます。

主な微分公式

定数の微分法

cc が定数なら、

ddx(c)=0\frac{d}{dx}(c) = 0

xx が変わっても、固定された数は変化しません。

べき乗の微分法

nn が実数なら、

ddx(xn)=nxn1\frac{d}{dx}(x^n) = nx^{n-1}

例:ddx(x4)=4x3\frac{d}{dx}(x^4) = 4x^3

定数倍の微分法

cc が定数で、ff が微分可能なら、

ddx[cf(x)]=cf(x)\frac{d}{dx}[cf(x)] = c f'(x)

定数は前にそのまま残ります。

和と差の微分法

ffgg が微分可能なら、

ddx[f(x)±g(x)]=f(x)±g(x)\frac{d}{dx}[f(x) \pm g(x)] = f'(x) \pm g'(x)

各項を別々に微分し、プラスやマイナスの符号はそのまま保ちます。

積の微分法

ffgg が微分可能なら、

ddx[f(x)g(x)]=f(x)g(x)+f(x)g(x)\frac{d}{dx}[f(x)g(x)] = f'(x)g(x) + f(x)g'(x)

両方の因子が xx に依存しているときに使います。

商の微分法

ffgg が微分可能で、g(x)0g(x) \ne 0 なら、

ddx[f(x)g(x)]=f(x)g(x)f(x)g(x)[g(x)]2\frac{d}{dx}\left[\frac{f(x)}{g(x)}\right] = \frac{f'(x)g(x) - f(x)g'(x)}{[g(x)]^2}

g(x)0g(x) \ne 0 という条件は重要です。0で割ることは定義されていないからです。

連鎖律

y=f(g(x))y = f(g(x)) で、必要な範囲で両方の関数が微分可能なら、

ddxf(g(x))=f(g(x))g(x)\frac{d}{dx}f(g(x)) = f'(g(x)) \cdot g'(x)

ある関数が別の関数の内側に入っているときに使います。

なぜ式の構造が微分で重要なのか

微分公式は、よくある式の形に対する近道です。式が単純なら、1つの公式だけで十分なことが多いです。いくつかの部分からできているなら、公式を組み合わせます。

そのため、多くの学生は微分を始める前の段階で間違えます。最も大事な技能は、先に代数計算をすることではありません。計算に入る前に、外側の構造を見抜くことです。

微分の例:積の微分法と連鎖律を一緒に使う

次の導関数を求めます。

y=x2(3x+1)4y = x^2(3x+1)^4

外側の構造は積なので、まず積の微分法から始めます。次のようにおきます。

f(x)=x2andg(x)=(3x+1)4f(x) = x^2 \quad \text{and} \quad g(x) = (3x+1)^4

すると、

y=f(x)g(x)+f(x)g(x)y' = f'(x)g(x) + f(x)g'(x)

まず1つ目の因子を微分します。

f(x)=2xf'(x) = 2x

次に g(x)=(3x+1)4g(x) = (3x+1)^4 を微分します。ここでは内側の式が単なる xx ではなく 3x+13x+1 なので、連鎖律が必要です。

g(x)=4(3x+1)33=12(3x+1)3g'(x) = 4(3x+1)^3 \cdot 3 = 12(3x+1)^3

2つの結果を代入すると、

y=2x(3x+1)4+x212(3x+1)3y' = 2x(3x+1)^4 + x^2 \cdot 12(3x+1)^3

これで、すでに正しい導関数です。因数分解した形にしたいなら、

y=2x(3x+1)3[(3x+1)+6x]y' = 2x(3x+1)^3[(3x+1) + 6x] y=2x(3x+1)3(9x+1)y' = 2x(3x+1)^3(9x+1)

重要なのは因数分解ではありません。式全体は積であり、そのうちの1つの因子にはさらに連鎖律が必要だと気づくことです。

よくある微分の間違い

  1. 実際には積や商なのに、式全体にべき乗の微分法を使ってしまう。
  2. 連鎖律で内側の導関数を忘れる。(3x+1)4(3x+1)^4 の完全な導関数は 4(3x+1)334(3x+1)^3 \cdot 3 です。
  3. 積を、それぞれの導関数の積として微分してしまう。一般に、[f(x)g(x)]f(x)g(x)[f(x)g(x)]' \ne f'(x)g'(x) です。
  4. 条件を見落とす。商の微分法では、分母が 0 でないことが必要です。

微分公式はいつ使われるのか

微分公式は、ある量が別の量に対して変化するあらゆる場面で現れます。微積分では、接線の傾き、最適化、グラフの概形を調べるときに使われます。

物理では、導関数は速度や加速度のような量を表します。経済学や工学では、限界変化や変化率が必要なときに使われます。

似た微分問題に挑戦してみよう

y=(x3+1)(2x5)2y = (x^3 + 1)(2x - 5)^2 を微分し、最初にどの公式を使うべきかを考えてみましょう。答えの中で積の微分法の2項が抜けていたり、(2x5)2(2x - 5)^2 の内側の導関数が入っていなかったりするなら、整理する前にもう一度、外側の構造を確認してください。

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