微分方程式とは、未知関数とその1つ以上の導関数の関係を表す方程式です。やさしく言えば、ある量がどう変化するかを示し、そこから元の関数そのものを求める問題です。
そのため、微分方程式は運動、個体数の増加、冷却、電気回路など、さまざまなモデルに現れます。重要な情報が変化率として与えられるとき、微分方程式はその問題を表す自然な方法になることが多いです。
微分方程式が表す意味
簡単な例として、次があります。
これは、 の変化率が常にそのときの の値の3倍であることを意味します。 が正なら増加します。 が負なら、さらに小さい方向へ進みます。 なら、変化率も です。
未知なのは1つの数ではありません。条件を満たす関数全体 が未知なのです。
微分方程式の主な種類
常微分方程式と偏微分方程式
常微分方程式(ODE)は、1つの変数に関する導関数を使います。たとえば、
は、 が だけに依存しているので ODE です。
偏微分方程式(PDE)は、未知関数が複数の変数に依存するため、偏導関数を使います。熱方程式は代表的な例です。
学び始めたばかりなら、通常は ODE から入るのがよい出発点です。
階数
微分方程式の階数とは、式に現れる導関数のうち最も高い階のものを指します。
- 1階:
- 2階:
階数は重要です。というのも、通常はそれによって、1つの特定の解を決めるのに何個の条件が必要かがわかるからです。
線形と非線形
未知関数とその導関数がすべて1次で現れ、互いに掛け合わされていないとき、その方程式は線形です。たとえば、
は線形ですが、
は非線形です。
この違いは重要です。線形方程式には、標準的な解法がより多く用意されていることが多いからです。
初期条件と境界条件が重要な理由
微分方程式は、1つだけでなく多くの解をもつことがよくあります。どの解を選ぶかを決めるのが追加の情報です。
初期条件は、ある1点での関数の値、または場合によってはその導関数の値を与えます。たとえば、 は1本の特定の解曲線を選び出します。
境界条件は、1つまたは複数の端点での情報を与えます。これは、区間や領域上で定義される物理や工学の問題でよく現れます。
例題: を のもとで解く
次を解きます。
これは1階の ODE です。また、 の項と の項を別々の辺に分けられるので、変数分離形でもあります。
である解については、 で割ると
となり、これを
と書けます。
次に、両辺を積分します。
したがって、
両辺の指数をとると、
符号を定数に吸収して書き直すと、
ここで初期条件を使います。
したがって、条件を満たす解は
です。
実際に直接確かめることもできます。
よって、この解は微分方程式と条件の両方を満たしています。
ここで1つ注意があります。 で割る操作は を仮定しています。定数解 も の解ですが、 を満たさないので、この初期値問題の解ではありません。
基本的な解法と使いどころ
方程式の形によって、使うべき解法は異なります。解法は好みで決めるのではなく、方程式の構造によって決まります。
- 変数分離法は、方程式を の形に並べ替えられるときに使えます。
- 積分因子法は、 の形をした1階線形方程式に使います。
- 特性方程式は、 のような線形定数係数方程式の一部で標準的に使われる方法です。
- 数値解法は、正確な式を求めるのが難しい、または不可能なときに使います。
安全な進め方は、まず分類し、そのあとで形に合った方法を選ぶことです。
微分方程式でよくある間違い
よくある間違いの1つは、分類する前に解き始めてしまうことです。方程式が変数分離形なのか、線形なのか、高階なのかに気づかないと、誤った方法を選びやすくなります。
もう1つの間違いは、条件を落としてしまうことです。微分方程式を解くと通常は関数の族が得られますが、実際の答えを決めるのは初期条件や境界条件です。
3つ目の間違いは、条件を明示せずに式で割ることです。例題では、 で割るのは である区間でのみ正当化されるので、零解を別に考える必要があります。
微分方程式はどこで使われるか
微分方程式は、時間、空間、またはその両方にわたる変化に依存するモデルで使われます。
- 物理では、運動、振動、重力、熱の流れを表します。
- 生物では、個体数の変化、広がり、反応速度をモデル化します。
- 工学では、回路、制御系、信号のふるまいに現れます。
- 経済では、成長や時間に伴う調整を表すことがあります。
高度な方程式を手で解けなくても、この考え方自体から得られるものはあります。基本的な分類だけでも、どのような種類のモデルを見ているのか理解する助けになります。
似た問題に挑戦してみよう
次の問題で自分でも試してみましょう。
まず分類し、変数分離法で解き、そのあとで答えを微分して確かめてみてください。さらに一歩進めたいなら、 と比べて、なぜ解法が変わるのかに注目してみましょう。