静電気とは、一定の電流として流れ続けるのではなく、物体にたまった電荷のことです。風船が壁にくっつく理由、乾燥機の中で衣類がパチパチする理由、じゅうたんの上を歩いたあとに火花を感じる理由は、静電気で説明できます。
日常的な固体では、電子がある物質から別の物質へ移動すると考えるモデルがよく使われます。物体が電子を受け取ると負に帯電します。電子を失うと正に帯電します。
静電気はどのようにたまるのか
接触と分離
静電気の多くの例は、2つの物質が接触してから離れるときに始まります。その過程で、一方の表面から他方の表面へ電子が移ることがあります。こすることで接触が増えるため効果は強まりやすくなりますが、電荷が何もないところから生まれるわけではありません。
伝導
帯電した物体が別の物体に触れると、直接接触によって電荷が移動することがあります。その後、2つの物体で電荷が分かち合われることがありますが、結果は物質の性質や、どちらかの物体が接地されているかどうかに依存します。
誘導
近くにある帯電体は、触れなくても別の物体の内部の電荷配置を変えることがあります。誘導だけでは、ふつうは電荷の分離が起こるだけで、永久的な正味の電荷は生じません。適切な条件で接地を組み合わせると、誘導によって物体に正味の電荷を残せることがあります。
静電気に対するクーロンの法則
静電気は、静止した電荷を扱う静電気学の一部です。基本となる力の法則がクーロンの法則です。
真空中の2つの点電荷に対して、
ここで、 は力の大きさ、 と は電荷、 は距離、 です。
この式で求まるのは力の大きさです。向きは電荷の符号で決まります。
- 同符号の電荷どうしは反発する
- 異符号の電荷どうしは引き合う
クーロンの法則は、電荷を点電荷として扱えるときに直接使えます。風船や壁のような実際の物体では、電荷は表面に広がっているため、正確な力はもっと複雑です。それでも、この法則は重要な傾向を示します。電荷が大きいほど力は強くなり、距離が2倍になると力は4分の1になります。
計算例:2つの電荷の間にはたらく力
2つの小さな帯電した球があり、その電荷が次のように与えられているとします。
力の大きさを求め、それが引力か斥力かを判断しましょう。
まずクーロンの法則を書きます。
値を代入すると、
電荷を掛け合わせると、
距離を2乗すると、
これより力は、
したがって、力の大きさは約 です。電荷の符号が反対なので、この力は引力です。
ここでの重要なポイントは、逆二乗の関係です。電荷が同じままで距離が2倍になると、力は4分の1になります。
帯電した風船が壁にくっつく理由
風船を髪の毛や布でこすると、電荷が風船に移ることがあります。その帯電した風船を壁に近づけると、壁の内部の電荷がわずかに移動します。この分極によって、壁全体は電気的に中性のままでも、全体として引力が生じることがあります。
この例から、日常の静電気は、孤立した2つの点電荷だけの問題ではなく、電荷の移動と電荷の再配置の両方が関係していることがわかります。
静電気でよくある間違い
- こすると電荷が何もないところから生まれると言ってしまうこと。実際には、たいてい物質間で電荷が移動しやすくなるだけです。
- 日常的な固体では、通常は電子が動く電荷であることを忘れること。
- あらゆる実在の物体を点電荷のようにみなしてクーロンの法則を使うこと。
- ナノクーロンやセンチメートルをSI単位に直すときに、単位変換を無視すること。
- 誘導だけで必ず永久的な正味の電荷が残ると思い込むこと。通常は接地も必要です。
静電気はどこで使われているか
静電気は、複写機、レーザープリンター、電気集じん機、粉体塗装、いくつかの工業的な分離プロセスで重要です。また、電子機器の取り扱いでも重要で、静電気放電は火花が小さくて気づかない場合でも、敏感な部品を損傷させることがあります。
湿度も重要です。空気が乾燥していると、電荷は表面により長く残りやすいため、静電気の効果は気づきやすくなります。
似たクーロンの法則の問題に挑戦しよう
計算例と同じ電荷を使い、距離だけを から に変えてみましょう。電卓を使う前に新しい力を求め、逆二乗の結果が直感と合うかどうかを確かめてください。