運動量は、物体の運動を止めたり向きを変えたりするのがどれだけ難しいかを表します。初等的な物理では、線運動量は

p=mv\vec{p} = m\vec{v}

で表されます。つまり、運動量は質量・速さ・向きに依存します。速度はベクトルなので、運動量もベクトルです。

1つだけ覚えるなら、これです。質量が大きいほど、または速さが大きいほど運動量は大きくなり、運動量を変えるには力積が必要です。

p=mvp = mv の意味

質量が一定で、相対論的な速さより十分遅く動く1つの物体では、運動量の大きさは

p=mvp = mv

です。SI単位は kgm/skg \cdot m/s です。

これは日常的な力学の問題で使う標準的な公式です。速さが光速に近い場合には、この古典的な形だけでは不十分です。

運動量の問題で向きが重要な理由

運動量は単なる「質量×速さ」ではありません。質量と速度の積なので、向きがそのまま含まれます。

つまり、2つの物体が同じ大きさの運動量をもっていても、運動量ベクトルの向きが反対なら打ち消し合うことがあります。たとえば、東向きに 3 kgm/s3\ kg \cdot m/s と西向きに 3 kgm/s3\ kg \cdot m/s は、系全体では強め合いません。打ち消し合います。

このため、運動量は衝突や反動の問題で特に役立ちます。

運動量が保存されるとき

ある系に対して、注目する時間内の外力による合力積が 0、または無視できるとき、その系の運動量は保存されます。教科書の多くの衝突問題では、これを孤立系としてモデル化します。

この条件のもとでは、

pinitial=pfinal\vec{p}_{\text{initial}} = \vec{p}_{\text{final}}

が成り立ちます。

これは系全体についての主張であって、各物体がそれぞれ自分の運動量を変えないという意味ではありません。衝突中には、ある物体が運動量を失い、別の物体がそれを得ることがあります。一定に保たれるのは、系全体の総運動量です。

力積が運動量をどう変えるか

運動量を変える量が力積です。一般に、

J=Δp\vec{J} = \Delta \vec{p}

であり、時間間隔 Δt\Delta t のあいだ一定の合力がはたらくなら、

J=FnetΔt\vec{J} = \vec{F}_{\text{net}} \Delta t

です。

これらを組み合わせると、よく使う力積と運動量の関係

FnetΔt=Δp\vec{F}_{\text{net}} \Delta t = \Delta \vec{p}

が得られます。

ある系に対する外力による合力積がおよそ 0 なら、その系の総運動量は一定のままです。だからこそ、衝突中の力が複雑でも、短時間の衝突は運動量保存で解けることが多いのです。

例題:2台の台車がくっつく

右向きに 3.0 m/s3.0\ \mathrm{m/s} で動く 2.0 kg2.0\ \mathrm{kg} の台車が、摩擦の小さいレール上で静止している 1.0 kg1.0\ \mathrm{kg} の台車に衝突します。衝突後、2台はくっついて動きます。最終的な速度を求めましょう。

レールの摩擦が小さいので、短い衝突時間のあいだの外力による力積は無視できると考えます。したがって、2台の台車を1つの系として運動量保存を使えます。

初めの運動量は

pinitial=(2.0)(3.0)+(1.0)(0)=6.0 kgm/sp_{\text{initial}} = (2.0)(3.0) + (1.0)(0) = 6.0\ \mathrm{kg \cdot m/s}

です。

衝突後は2台が一緒に動くので、合計質量は

2.0+1.0=3.0 kg2.0 + 1.0 = 3.0\ \mathrm{kg}

です。

最終速度を vfv_f とすると、

pfinal=(3.0)vfp_{\text{final}} = (3.0)v_f

となります。

初めと後の運動量を等しくすると、

6.0=3.0vf6.0 = 3.0v_f

したがって、

vf=2.0 m/sv_f = 2.0\ \mathrm{m/s}

です。

つまり、くっついた台車は右向きに 2.0 m/s2.0\ \mathrm{m/s} で動きます。

大事なのは、衝突中に各台車の運動量は変わっても、2台の台車からなる系全体の総運動量は変わらないという点です。

よくある間違い

運動量をスカラーとして扱う

符号やベクトル成分は重要です。座標系を先に定めて一貫して使わない限り、左向きと右向きをどちらも正として扱うことはできません。

系を確認せずに保存則を使う

運動量保存は、選んだ系について成り立つものです。その時間内にその系へ強い外力による力積が加わるなら、その系の総運動量は一定でなくてもかまいません。

運動量保存と運動エネルギー保存を混同する

台車の例のような完全非弾性衝突では、運動量は保存されても運動エネルギーは保存されません。これは別の考え方です。

p=mvp = mv が成り立つ条件を忘れる

この式は線運動量の古典的な表式です。日常的な問題では基本として正しいですが、相対論的な速さには使えません。

運動量が現れる場面

運動量は、衝突、爆発、反動、ロケットの運動、衝撃安全、スポーツの力学などに現れます。エンジニアはエアバッグやクラッシャブルゾーンを考えるときに力積の考え方を使います。停止時間を長くすると、同じ運動量変化を生じさせるのに必要な平均の力を小さくできるからです。

速い相互作用を理解したいなら、運動量はしばしば最も見通しのよい出発点になります。衝突中の力は複雑でも、総運動量で見ると単純に扱えることが多いからです。

似た問題に挑戦してみよう

台車の質量や初速度を変えて、計算する前に最終的な向きを予想してみましょう。次のよい練習としては、2台目の台車を静止ではなく左向きに動かしてみることです。

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