キルヒホッフの電流則(KCL)は、ある節点に電荷がたまっていない限り、その節点に流れ込む電流の総和は流れ出る電流の総和に等しい、という法則です。回路の形で書けば、接合点における電流の代数和はゼロになります。

これはしばしば次のように書かれます。

I=0\sum I = 0

これは、1つの符号規約を選び、それを一貫して使う場合の表し方です。

キルヒホッフの電流則の意味

KCLは、電荷保存則を回路で表したものです。節点に正味の電荷が蓄えられていないなら、その点に1秒あたりに到着する電荷は、同じだけその点から出ていかなければなりません。

このため、KCLはしばしば接合則とも呼ばれます。これは枝が交わる点に適用される法則であり、閉じたループ全体に対する法則ではありません。

平たく言えば、節点では電流を分けたり、まとめたり、向きを変えたりできますが、何もないところから余分な電流を生み出すことはできません。

KCLの式と符号規約

KCLの書き方には、等価な2つの方法があります。

Iin=Iout\sum I_{in} = \sum I_{out}

または

I=0\sum I = 0

問題を解くときには、2つ目の形のほうが扱いやすいことがよくあります。たとえば、節点に流れ込む電流を正、流れ出る電流を負として扱えば、すべての枝電流を1本の式にまとめられます。

ただし条件があります。このよく使われる節点方程式は、集中定数回路の解析で、その節点に電荷がほとんど蓄積しないとみなせるときの通常の形です。

例題:未知の枝電流を求める

左から 8 mA8\ \mathrm{mA}、下から 1 mA1\ \mathrm{mA} が1つの節点に流れ込むとします。同じ節点からは、1本の枝に 3 mA3\ \mathrm{mA}、もう1本の枝に IxI_x が流れ出ています。IxI_x を求めなさい。

流入電流を正、流出電流を負とすると、KCLは次のように書けます。

8+13Ix=08 + 1 - 3 - I_x = 0

これを整理すると、

6Ix=06 - I_x = 0 Ix=6 mAI_x = 6\ \mathrm{mA}

したがって、未知の枝には節点から離れる向きに 6 mA6\ \mathrm{mA} の電流が流れています。もし IxI_x の向きを逆に仮定していたなら、答えは代わりに 6 mA-6\ \mathrm{mA} になっていたはずです。この負の符号は、実際の電流の向きが仮定と逆であることを示すだけです。

これがKCLの基本的な流れです。向きを決め、1本の節点方程式を書き、解き、最後に結果の符号を解釈します。

KCLでよくある間違い

符号規約を混ぜる

ある項では流入電流を正としているのに、途中から流出電流も正としてしまってはいけません。そうするなら式全体を書き直す必要があります。KCLの間違いの多くは、単なる符号ミスです。

負の答えを読み違える

電流が節点から出ると仮定して計算し、結果が負になったとしても、それは計算が間違っているという意味ではありません。実際の電流が逆向きに流れていることを意味します。

KCLの前提条件を忘れる

KCLは、集中定数回路モデルで節点に正味の電荷がたまらないことを前提にしています。通常の回路問題ではこれが標準的な仮定ですが、その条件を意識しておくことは大切です。

ループ則が必要な場面でKCLを使う

KCLは節点に関する法則です。閉じた経路に沿った電圧の上昇や降下を関係づけたいなら、それは節点則ではなくループ則です。

すべての枝電流が等しいと思い込む

つり合う必要があるのは節点での電流の総和だけです。KCLは、すべての枝電流が同じ値になるとは言っていません。

キルヒホッフの電流則が使われる場面

KCLは、回路に接合点があり、枝電流どうしの関係を求めたいときに使われます。節点電圧法、分流の考え方、トランジスタのバイアス回路、電力分配回路などの基礎になります。

実際には、KCLだけでは各枝の値をすべて決められないため、通常はオームの法則 V=IRV = IR のような素子の関係式と組み合わせて使います。

KCLの式をすばやく確認する方法

回路を解いたあと、ある節点に流れ込む電流を足し合わせ、流れ出る電流の総和と比べてみましょう。両者が一致しないなら、立式か符号規約のどこかに誤りがあります。

似たKCLの問題に挑戦してみよう

例題を少し変えて、流入電流を1本だけ、流出電流を2本にしてみましょう。あるいは、未知電流が流れ出るのではなく流れ込むと仮定して、符号がどう変わるかを確かめてみてください。手計算のあとで簡単に確認したいなら、GPAI Solverで自分なりの問題を試してみましょう。

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