微積分における極限とは、入力がある点に近づくときに、関数がどの値に近づくかを表すものです。直接代入ではうまくいかないとき、特に穴のあるグラフ、跳び、あるいは 0/00/0 になる式の近くで極限を使います。

記号では、

limxaf(x)=L\lim_{x \to a} f(x) = L

は、xxaa の近くに動くとき、f(x)f(x) の値が LL の近くに動くことを意味します。

大事なのは、極限が見ているのは x=ax=a での値そのものではなく、その近くでの振る舞いだということです。その点で関数の値が別の数でも、あるいは未定義でも、極限は存在することがあります。

極限の定義:到達ではなく近づくこと

「極限」という言葉が表しているのは、到達することではなく近づくことです。もし

limx2f(x)=5\lim_{x \to 2} f(x) = 5

なら、それは自動的に f(2)=5f(2) = 5 を意味するわけではありません。xx が両側から 22 に近づくとき、f(x)f(x)55 に近づくという意味です。

だからこそ、極限は区分的な関数、有理式、穴のあるグラフで重要になります。その点自体に問題があっても、その近くで関数が何をしているかを説明できるからです。

安全に使える極限の法則

より簡単な極限が存在するとき、それらを組み合わせて複雑な極限を求めることができます。

もし

limxaf(x)=Landlimxag(x)=M,\lim_{x \to a} f(x) = L \qquad \text{and} \qquad \lim_{x \to a} g(x) = M,

なら、次が成り立ちます。

limxa(f(x)+g(x))=L+M\lim_{x \to a} \left(f(x) + g(x)\right) = L + M limxa(cf(x))=cL\lim_{x \to a} \left(c f(x)\right) = cL limxa(f(x)g(x))=LM\lim_{x \to a} \left(f(x)g(x)\right) = LM limxaf(x)g(x)=LMif M0\lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \frac{L}{M} \qquad \text{if } M \ne 0

M0M \ne 0 という条件は重要です。分母の極限が 00 なら、商の法則をそのまま使うことはできません。

多項式やよく知られた多くの関数では、調べている点で連続なので、直接代入で極限を求められます。

基本的な極限の求め方

基本的な極限の問題は、たいてい次の順番で考えます。

  1. まず直接代入する。
  2. 普通の実数が出れば、それが極限である。
  3. 0/00/0 のような不定形が出たら、先に式を簡単にする。
  4. 左右で振る舞いが違いそうなら、片側極限を比べる。

片側極限の記号は次のように書きます。

limxaf(x)andlimxa+f(x)\lim_{x \to a^-} f(x) \qquad \text{and} \qquad \lim_{x \to a^+} f(x)

極限全体が存在するのは、左右の片側極限がどちらも存在し、しかも等しいときだけです。

例題:0/00/0 になる極限

次を求めます。

limx1x21x1\lim_{x \to 1} \frac{x^2 - 1}{x - 1}

直接代入すると、

12111=00\frac{1^2 - 1}{1 - 1} = \frac{0}{0}

となります。

これは答えではありません。直接代入だけでは問題が終わらないことを示しているだけです。

分子を因数分解すると、

x21=(x1)(x+1)x^2 - 1 = (x - 1)(x + 1)

です。x1x \ne 1 のとき、

x21x1=(x1)(x+1)x1=x+1\frac{x^2 - 1}{x - 1} = \frac{(x - 1)(x + 1)}{x - 1} = x + 1

となります。

これで極限は簡単になります。

limx1(x+1)=2\lim_{x \to 1} (x + 1) = 2

したがって、

limx1x21x1=2\lim_{x \to 1} \frac{x^2 - 1}{x - 1} = 2

です。

もとの関数は x=1x = 1 で定義されていませんが、近くの値が 22 に近づくので、極限は存在します。これは除去可能不連続の典型的な例です。

極限を求めるときによくある間違い

  1. 0/00/0 を最終的な値だと思ってしまうこと。これは答えではなく、注意が必要なサインです。
  2. 極限は必ず f(a)f(a) に等しいと思い込むこと。それが成り立つのは、関数が aa で連続なときだけです。
  3. 分母の極限が 00 なのに商の法則を使うこと。この場合は条件を満たしていません。
  4. 左右からの振る舞いを無視すること。左右で違う値に近づくなら、極限は存在しません。
  5. 条件を確認せずに因子を約分すること。例題では x1x-1 を約分できるのは x1x \ne 1 のときだけですが、極限では近くの点を見ればよいのでそれで十分です。

微積分で極限が使われる場面

極限は、微積分のいくつかの中心的な考え方の出発点です。極限は次のような場面で使われます。

  1. 導関数を定義する
  2. 連続性を説明する
  3. 漸近線や端点の近くでの振る舞いを調べる
  4. 式がその点で直接は定義されていないときに、近くでの簡単化を正当化する

この先、微分、積分、無限数列、級数へ進むと、極限はそのすべての土台となる言葉になります。

次に進む前の簡単な確認

極限を解いたあとには、ひとつだけ確認してみてください。近くの値は本当に両側からその答えに向かっているでしょうか。

この短い確認で、特に区分的な関数や有理式での多くのミスを防げます。

似た極限をやってみよう

次を試してみましょう。

limx3x29x3\lim_{x \to 3} \frac{x^2 - 9}{x - 3}

同じ流れで考えます。代入して、0/00/0 に気づき、因数分解し、簡単にして、もう一度代入します。次の一歩に進みたいなら、今度は自分で区分的な関数の例を作って、左極限と右極限が一致するか確かめてみましょう。

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