2×22 \times 2 行列の逆行列を求めるには、まず行列式 adbcad - bc を計算します。その値が 0 でなければ、対角成分を入れ替え、非対角成分の符号を変え、行列式で割ります。そうして得られるのが逆行列です。

逆行列とは、ある行列のはたらきを打ち消す行列のことです。AA が逆行列をもち、それを A1A^{-1} と書くと、

AA1=A1A=IAA^{-1} = A^{-1}A = I

となります。ここで II は単位行列です。簡単に言えば、AA を掛けると何か変換が起こり、A1A^{-1} を掛けるとそれを元に戻します。

2×22 \times 2 行列では、逆行列が存在するかどうかの判定はとても簡単です。行列式が 0 でないときに限って、逆行列が存在します。

逆行列の意味

行列を、ベクトルを変換する機械だと考えてみましょう。逆行列は、その出力から元の入力を取り戻す機械です。

だからこそ、連立方程式を解くときに逆行列は重要です。もし

Ax=bAx = b

で、AA が可逆なら、

x=A1bx = A^{-1}b

となります。これは A1A^{-1} が存在するときにだけ使えます。

2×22 \times 2 行列の逆行列の求め方

次の行列

A=[abcd],A = \begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix},

の行列式は

det(A)=adbc\det(A) = ad - bc

です。

もし adbc=0ad - bc = 0 なら、そこで終了です。その行列は特異行列であり、逆行列をもちません。

もし adbc0ad - bc \ne 0 なら、

A1=1adbc[dbca]A^{-1} = \frac{1}{ad - bc} \begin{bmatrix} d & -b \\ -c & a \end{bmatrix}

となります。

この公式が使えるのは 2×22 \times 2 行列だけです。より大きい行列では、拡大行列 [AI][A \mid I] に対して行基本変形を行う方法がよく使われます。

計算例:逆行列を求めて確かめる

次のようにします。

A=[4726]A = \begin{bmatrix} 4 & 7 \\ 2 & 6 \end{bmatrix}

まず行列式を計算します。

det(A)=(4)(6)(7)(2)=2414=10\det(A) = (4)(6) - (7)(2) = 24 - 14 = 10

10010 \ne 0 なので、逆行列は存在します。

次に公式を使います。対角成分 4466 を入れ替え、7722 の符号を変え、1010 で割ります。

A1=110[6724]A^{-1} = \frac{1}{10} \begin{bmatrix} 6 & -7 \\ -2 & 4 \end{bmatrix}

したがって、

A1=[3/57/101/52/5]A^{-1} = \begin{bmatrix} 3/5 & -7/10 \\ -1/5 & 2/5 \end{bmatrix}

です。

元に戻して掛け算し、確かめてみます。

[4726][3/57/101/52/5]=[1001]\begin{bmatrix} 4 & 7 \\ 2 & 6 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 3/5 & -7/10 \\ -1/5 & 2/5 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{bmatrix}

この確認は大切です。積が単位行列になるときにだけ、その行列は逆行列といえます。

逆行列を求めるときによくある間違い

  • 正方行列でないものに、通常の逆行列の公式を使おうとする。
  • adbc=0ad - bc = 0 かどうかを確認せずに計算を進めてしまう。
  • 対角成分の入れ替えや非対角成分の符号変更をせず、ただ行列式で割ってしまう。
  • 非対角成分の符号を間違える。
  • 各成分の逆数を取れば逆行列になると思ってしまう。

逆行列はいつ使うのか

逆行列は、線形変換を元に戻したいときや、ただ一つの解をもつ連立一次方程式を解きたいときに現れます。座標変換の問題や、応用数学、物理、工学、コンピュータグラフィックスの多くの場面でも使われます。

実際には、毎回逆行列を完全に計算する代わりに、行基本変形や行列分解で連立方程式を解くことがよくあります。それでも逆行列を理解することは、線形代数を理解するうえで役立ちます。なぜなら、どんな変換が元に戻せるのかがわかるからです。

似た問題に挑戦してみよう

次の行列の逆行列を求めてみましょう。

[5131]\begin{bmatrix} 5 & 1 \\ 3 & 1 \end{bmatrix}

まず行列式を確認してください。そのあとで 2×22 \times 2 の公式を使い、最後に掛け戻して II になるか確かめましょう。

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