2×2 行列の逆行列を求めるには、まず行列式 ad−bc を計算します。その値が 0 でなければ、対角成分を入れ替え、非対角成分の符号を変え、行列式で割ります。そうして得られるのが逆行列です。
逆行列とは、ある行列のはたらきを打ち消す行列のことです。A が逆行列をもち、それを A−1 と書くと、
AA−1=A−1A=I
となります。ここで I は単位行列です。簡単に言えば、A を掛けると何か変換が起こり、A−1 を掛けるとそれを元に戻します。
2×2 行列では、逆行列が存在するかどうかの判定はとても簡単です。行列式が 0 でないときに限って、逆行列が存在します。
逆行列の意味
行列を、ベクトルを変換する機械だと考えてみましょう。逆行列は、その出力から元の入力を取り戻す機械です。
だからこそ、連立方程式を解くときに逆行列は重要です。もし
Ax=b
で、A が可逆なら、
x=A−1b
となります。これは A−1 が存在するときにだけ使えます。
2×2 行列の逆行列の求め方
次の行列
A=[acbd],
の行列式は
det(A)=ad−bc
です。
もし ad−bc=0 なら、そこで終了です。その行列は特異行列であり、逆行列をもちません。
もし ad−bc=0 なら、
A−1=ad−bc1[d−c−ba]
となります。
この公式が使えるのは 2×2 行列だけです。より大きい行列では、拡大行列 [A∣I] に対して行基本変形を行う方法がよく使われます。
計算例:逆行列を求めて確かめる
次のようにします。
A=[4276]
まず行列式を計算します。
det(A)=(4)(6)−(7)(2)=24−14=10
10=0 なので、逆行列は存在します。
次に公式を使います。対角成分 4 と 6 を入れ替え、7 と 2 の符号を変え、10 で割ります。
A−1=101[6−2−74]
したがって、
A−1=[3/5−1/5−7/102/5]
です。
元に戻して掛け算し、確かめてみます。
[4276][3/5−1/5−7/102/5]=[1001]
この確認は大切です。積が単位行列になるときにだけ、その行列は逆行列といえます。
逆行列を求めるときによくある間違い
- 正方行列でないものに、通常の逆行列の公式を使おうとする。
- ad−bc=0 かどうかを確認せずに計算を進めてしまう。
- 対角成分の入れ替えや非対角成分の符号変更をせず、ただ行列式で割ってしまう。
- 非対角成分の符号を間違える。
- 各成分の逆数を取れば逆行列になると思ってしまう。
逆行列はいつ使うのか
逆行列は、線形変換を元に戻したいときや、ただ一つの解をもつ連立一次方程式を解きたいときに現れます。座標変換の問題や、応用数学、物理、工学、コンピュータグラフィックスの多くの場面でも使われます。
実際には、毎回逆行列を完全に計算する代わりに、行基本変形や行列分解で連立方程式を解くことがよくあります。それでも逆行列を理解することは、線形代数を理解するうえで役立ちます。なぜなら、どんな変換が元に戻せるのかがわかるからです。
似た問題に挑戦してみよう
次の行列の逆行列を求めてみましょう。
[5311]
まず行列式を確認してください。そのあとで 2×2 の公式を使い、最後に掛け戻して I になるか確かめましょう。