グリーン関数は、境界条件や初期条件が固定された線形微分方程式を、ソース項つきで解くための標準的な道具です。平たく言えば、 に単位点源を置いたときに系がどう応答するかを表します。
線形作用素 に対して、グリーン関数 は次の点源問題で定義されます。
ここで変数は であり、最終的な解が満たすのと同じ境界条件または初期条件を課します。 はディラックのデルタで、 に集中した単位ソースを表す分布です。
このようなグリーン関数が存在し、問題が線形であれば、
の解はしばしば
と書けます。これが基本的な考え方です。まず点源に対する応答を一度だけ求め、その点応答を重ね合わせて一般のソース に対応します。
グリーン関数の意味
デルタ源が入っていることが、この定義を役立つものにしています。いきなり元の方程式全体を解くのではなく、まずは最も集中した入力に対する応答を考えるわけです。
したがって は、「 に単位インパルスを加えたとき、 でどんな影響が出るか」と読めます。より複雑なソース は、点源の連続的な重ね合わせとして扱います。この手順が成り立つのは、問題が線形だからです。
なぜ境界条件で答えが変わるのか
グリーン関数は、微分作用素だけで決まるわけではありません。問題全体、つまり条件も含めて決まります。
たとえば、区間 上の作用素 に対して、 を課した場合のグリーン関数は、同じ作用素でもノイマン境界条件を課した場合とは異なります。方程式の形が同じでも、許される解が変わるので、核も変わります。
これはとてもよくある間違いです。条件が最初から問題文に含まれていない限り、「その方程式のグリーン関数」が1つだけあるわけではありません。
計算例: のディリクレ問題
次の境界値問題を考えます。
条件は
です。
この特定の問題に対するグリーン関数は
となります。これは について連続で、 と で 0 になり、さらに1階微分は で正しい跳びを持ちます。この跳びが、方程式 におけるデルタ源を生みます。
いったんこの核がわかれば、この同じ境界値問題に対するどんなソース項にも同じ公式が使えます。
簡単なソース項として
を選びます。すると
各部分を計算すると、
これらを足して
を得ます。
すぐに確かめられます。
したがって
また境界値は
です。
この例を見ると利点がはっきりわかります。新しい が出るたびに方法を作り直す必要はなく、同じ核を使って積分だけを変えればよいのです。
グリーン関数でよくある間違い
- 非線形問題でも同じようにグリーン関数が使えると思ってしまうこと。重ね合わせの段階は線形性に依存します。
- 境界条件や初期条件が定義の一部であることを忘れること。
- 核はいつでも対称だと思い込むこと。対称性には、適切な自己共役性などの追加の構造が必要なことが多いです。
- グリーン関数と基本解を混同すること。密接に関係していますが、常に同じものではありません。
- その問題で本当にグリーン関数が存在するか確かめずに、積分公式を使ってしまうこと。
グリーン関数はどこで使われるか
グリーン関数は、ソース項によって駆動される線形の常微分方程式や偏微分方程式で現れます。静電気、拡散、波動、量子力学、弾性体などでよく使われます。
線形時不変な設定では、インパルス応答とも深く関係しています。分野によって言い方は変わりますが、考え方は似ています。まず1つの集中した入力への応答を理解し、そこから一般の入力への応答を組み立てるのです。
覚え方の近道
厳密な定義を忘れてしまったら、次の形で覚えておけば十分です。
そして、全体の解は、その点源応答を領域全体で足し合わせることで得られます。それを実際に行っているのが積分です。
似たソース項で試してみる
境界条件はそのままにして、 を に置き換えてみましょう。核は同じで、最後の積分だけが変わります。
これは次の一歩としてちょうどよい練習です。動く部分が2つあることをきれいに分けて見られるからです。グリーン関数は問題設定に属し、ソース項は場合ごとに変わります。さらに進みたければ、別のソースで自分でも試し、得られた積分が境界条件を満たすか確認してみてください。