仕事関数とは、物質の表面から電子を取り出すのに必要な最小のエネルギーです。光電効果の問題では と書かれ、電子放出に必要なしきい光子エネルギーを決めます。手早く考えるなら、「1個の光子が少なくとも を与えられるか」です。
答えがノーなら、基本モデルでは電子は放出されません。答えがイエスなら放出が起こり、余ったエネルギーは放出された電子の運動エネルギーになります。
仕事関数を一言でいうと
光電効果は、次のエネルギー判定で決まります。
ここで はプランク定数、 は光の振動数です。この条件が意味するのは、放出が決まるのは光全体の明るさではなく、各光子のエネルギーだということです。
実際に放出が起これば、アインシュタインの光電方程式から最大運動エネルギーは
となります。
しきい周波数は仕事関数からどう決まるか
ある物質では、仕事関数によってしきい周波数 が決まります。
これは、基本モデルで光電子を生じさせることができる最も低い振動数です。 なら、各光子のエネルギーが足りません。 なら、放出が可能になります。
だからこそ、しきい値未満のケースでは強度だけを上げても解決しません。低エネルギーの光子をいくら増やしても、1個の電子に必要なエネルギー条件は満たせないからです。
計算例:この光で電子は飛び出すか?
ある金属の仕事関数が だとします。
まず、 はふつう SI 単位で与えられるので、仕事関数をジュールに直します。
次に、しきい周波数を求めます。
ここで、入射光の振動数が だとします。この振動数はしきい値を上回っているので、電子放出は可能です。
対応する光子エネルギーは
したがって、最大運動エネルギーは
ここで大事なのは、考える順序です。
- まず、その光がしきい値を超えているかを確認する。
- そのあとで仕事関数を引く。
仕事関数が意味しないこと
仕事関数は、光のビーム全体がもつ総エネルギーではありません。また、多数の光子の平均エネルギーでもありません。これは、その表面から1個の電子が飛び出すのに必要な最小エネルギーです。
また、どの物質でも同じ値になるわけではありません。物質ごとに の値は異なるので、同じ光でも、ある表面では電子を放出できても別の表面ではできないことがあります。
光電効果の問題でよくあるミス
明るさが決め手だと考える
明るさが主に変えるのは、1秒あたりに到着する光子の数です。しきい条件を決めるのは各光子のエネルギーであり、それは振動数で決まります。
しきい値を確認する前に を使う
なら、基本モデルでは光電子は出ません。正しい結論は「放出なし」であって、負の運動エネルギーではありません。
物質の違いを忘れる
しきい周波数は普遍定数ではありません。仕事関数が物質ごとに異なるため、値も変わります。
単位を確認せずに混ぜる
を で使うなら、 もジュールでなければなりません。エネルギーを電子ボルトのまま使うなら、計算全体で単位がそろっていることを確認してください。
仕事関数を使う場面
仕事関数は、光が表面から電子を放出できるかどうかを問う問題で現れます。光電効果、阻止電位の問題、この文脈で光が離散的な光子としてふるまう理由を学ぶ初歩的な説明で中心的な役割をもちます。
「金属表面に光を当てると電子が放出される」といった表現が出てきたら要注意です。たいていは、まず と を比べるのが最初の一歩です。
もう1つ試してみよう
同じ金属で、振動数を にした場合も考えてみましょう。これはしきい周波数より低いので、結果は光電子は放出されない、です。
別のケースも試したいなら、物質の仕事関数か光の振動数のどちらかを変えて、同じ2段階の確認を繰り返してください。まずしきい値、次に運動エネルギーです。