シュレーディンガー方程式は、非相対論的量子力学で量子状態がどのように変化するかを表す方程式です。波動関数 とポテンシャルエネルギー がわかれば、この方程式によって がどう時間発展するか、またどのエネルギー状態が許されるかがわかります。
3次元の1粒子について、時間依存シュレーディンガー方程式は通常次のように書かれます。
ここで は粒子の質量、 はポテンシャルエネルギー、 は換算プランク定数です。これは非相対論的なモデルが適切なとき、つまり相対論的効果が十分小さく無視できるときの標準的な出発点です。
シュレーディンガー方程式の意味
この方程式は、2つの考え方を結びつけています。1つは波動関数が時間とともにどう変化するか、もう1つは系のエネルギーがその波動関数にどう作用するかです。 の項は運動エネルギーに対応し、 はポテンシャルエネルギーを表します。
を、水面の高さのような古典的な波として読んではいけません。標準的な解釈では、観測可能な量は であり、正規化した後に確率密度を与えます。
ここが古典力学からの重要な転換点です。この方程式は通常、粒子のただ1つの正確な軌道を予測するわけではありません。代わりに、系の確率構造がどう変化するかを予測します。
時間に依存しない形が使えるとき
時間依存シュレーディンガー方程式が一般形です。もう1つの形が現れるのは、ポテンシャルが時間に依存せず、しかも一定のエネルギーをもつ定常状態を求めるときだけです。
1次元では、その時間に依存しない形は次の通りです。
これは別の法則ではありません。これらの条件のもとで、時間依存方程式から得られる特別な場合です。ポテンシャルが時間とともに変化するなら、このより簡単な形で全体の状況を記述できるとは期待できません。
計算例:1次元の箱の中の粒子
標準的な例として、粒子が と の間に閉じ込められ、ポテンシャルエネルギーが
で与えられる場合を考えます。
箱の中ではポテンシャルがゼロなので、時間に依存しない方程式は
となります。
壁の位置では、波動関数はゼロでなければなりません。
この境界条件によって、数学的には可能な解の大部分が除かれ、特定の定常状態だけが残ります。
そして、許されるエネルギーは
です。
ここで覚えておきたい主なポイントはこれです。方程式だけでは十分ではなく、境界条件も重要です。両方を合わせることで、エネルギーはあらゆる値をとれるのではなく、離散的な値の集合だけが許されます。
箱が大きくなると、 なので許されるエネルギーは小さくなります。箱が小さくなると、エネルギー準位の間隔はより広がります。
この例で量子力学が腑に落ちる理由
箱の中の粒子モデルは単純ですが、量子力学の1つの考え方をすぐにはっきり示してくれます。閉じ込めによって、エネルギーが量子化されることがあるのです。この同じパターンは、原子、量子井戸、そのほかの束縛系でも広く現れます。
また、この例は境界条件が単なる細部ではないことも示しています。量子力学では、物理的な設定と許される波動関数は強く結びついています。
よくあるシュレーディンガー方程式の誤解
- そのものを確率だと考えてしまうこと。標準的な解釈では、確率密度は正規化後の です。
- 時間に依存しない方程式が常に使えるかのように扱うこと。これは、時間に依存しないポテンシャルをもつ定常状態の問題でのみ適切な道具です。
- この方程式が正確な古典的軌道を与えると期待すること。一般には、時間発展するのは波動関数であって、1本の経路ではありません。
- 境界条件によって、物理的に許される解が変わることを忘れてしまうこと。
シュレーディンガー方程式はどこで使われるか
この方程式は、原子物理学、分子物理学、トンネル効果の問題、半導体モデル、そして量子化学の多くの分野で使われます。どの場合も、具体的なポテンシャルや系の詳細は異なりますが、中心となる枠組みは同じです。
速度が非常に大きい場合や相対論的効果が重要になる場合、シュレーディンガー方程式は完全なモデルではありません。その領域では、より高度な方程式が必要になります。
似た変化を試してみよう
同じ箱を考えたまま、 を に置き換えてみてください。あまり計算をしなくても、 と近いエネルギー準位どうしの間隔がどうなるか予想してみましょう。そのあとで比較すると役立つのが wave equation です。どちらの方程式も微分方程式を物理的制約と結びつけていますが、その結びつき方は異なります。