磁場とは、磁石、運動する電荷、電流が、その周囲の空間でほかの運動する電荷や磁性体にどのような影響を与えるかを表すものです。記号は で、単位はテスラ です。
重要なのは向きがあることです。磁場はベクトル場なので、各点で大きさと向きの両方をもちます。右手の法則は、単純な場合にその向きをすばやく求めるための代表的な方法です。
磁場とは何を意味するか
磁場は、運動する電荷や電流の流れる導線がどのような力を受けるかを決める、電磁気的な環境の一部だと考えることができます。
電荷 が速さ で、磁場となす角が の向きに運動しているとき、磁力の大きさは
となります。この条件は重要です。電荷が動いていなければ、磁力の成分は 0 です。磁場とちょうど平行または反平行に動く場合も、 なので磁力は 0 になります。
磁場は何から生じるか
初等物理でよく扱う発生源は、電流、運動する電荷、永久磁石です。電流の流れるコイルは磁場をつくり、棒磁石も同様に磁場をつくります。
より完全な電磁気学では、時間的に変化する電場も磁場を生み出します。これは電磁波、変圧器、マクスウェル方程式で重要ですが、入門段階の問題では電流や単純な磁石に注目することが多いです。
覚えておきたい重要な性質
磁場はベクトルなので、向きは付け足しではなく答えの一部です。
磁場は重ね合わせで加わります。2つの発生源が同じ点に磁場をつくるとき、合成磁場はそれらのベクトル和です。
磁力線は見やすくするための図示であり、実在するひものようなものではありません。どの点でも、磁場の向きは磁力線の接線方向です。
標準的な入門的扱いでは、磁力線は電場のように電荷で始まったり終わったりせず、閉じたループをつくります。
直線電流に対する右手の法則
慣用電流が流れる直線導線では、右手の親指を電流の向きに向けます。すると、残りの指が丸まる向きが、導線のまわりを回る磁場の向きです。
これは右手の法則の中でも特に便利な形で、余分な計算をしなくても向きをすばやく求められます。
ただし、電流の定義には注意が必要です。この法則で使うのは慣用電流で、正電荷が動く向きを表します。金属導線の中では、電子はその逆向きに移動します。
例題:長い直線導線のまわりの磁場
長い直線導線に、上向きの一定電流が流れているとします。導線の右側にある点での磁場の向きを求めたいとします。
右手の法則を使います。右手の親指を電流と同じく上向きにします。指は導線のまわりに巻きつくように曲がります。導線の右側の点では、磁場は紙面の奥向きです。
磁場の大きさも必要なら、よく使われる特別な場合の公式は
です。
この公式は、真空または空気中で、一定電流が流れる十分に長い直線導線について、導線から距離 の点で成り立つ近似式です。ここで は真空の透磁率です。
たとえば、、 のとき、
となります。
したがって、その点での磁場は、大きさが 、向きが紙面の奥向きです。
この例から、磁場の答えには 2 つの要素があることがわかります。大きさは公式から、向きは右手の法則から求めます。
よくある間違い
- 磁場をスカラー量のように扱い、大きさだけを答えてしまう。
- 右手の法則で使うのが電子の流れではなく、慣用電流であることを忘れる。
- 導線が十分に長い直線でないのに、どんな形の導線にも を使ってしまう。
- 磁場は常に電荷を押すと思い込む。静止した電荷には磁力ははたらかない。
- 磁場の向きと、運動する電荷に加わる力の向きを混同する。
この考え方が使われる場面
磁場は、モーター、発電機、変圧器、MRI装置、スピーカー、方位磁針、荷電粒子の運動などで使われます。
また、回路や電磁気学の多くの考え方の土台にもなっています。電流が磁場をつくることがわかると、インダクタ、電磁石、そして電磁誘導でなぜ変化する場が重要なのかを説明できます。
似た場合を試してみよう
同じ導線を使って、今度は点を導線の右側ではなく左側に置いて考えてみましょう。電流と距離は同じままです。まず右手の法則で向きを求め、そのあと大きさが変わるかどうかを確かめてみてください。