干渉と回折は同じものではありません。干渉は、異なるコヒーレントな経路から来た波が重なり合うときに起こる現象です。回折は、波が開口部を通過したり端を回り込んだりするときに広がる現象です。ヤングの二重スリット実験では、スクリーン上の縞は干渉によって生じますが、全体の模様は各スリットでの回折によって形づくられることがあります。

1つだけ覚えるなら、こう考えてください。細かい明暗の縞を決めるのが干渉で、光がどれくらい広がるかを決めるのが回折です。

二重スリット実験での干渉とは

二重スリット干渉で重要なのは、スクリーン上の同じ点に到達する2つの波の光路差 Δ\Delta です。

2つの波が同位相で到達すると強め合って明線になります。半周期ずれて到達すると打ち消し合って暗線になります。

コヒーレントな光では、明線は

Δ=mλ\Delta = m\lambda

のときに現れ、暗線は

Δ=(m+12)λ\Delta = \left(m + \frac{1}{2}\right)\lambda

のときに現れます。

ここで m=0,1,2,m = 0, 1, 2, \dotsλ\lambda は波長です。これらの条件は、2つのスリットがコヒーレントな波源として働く場合にのみ成り立ちます。

回折とは

回折は、波が有限の幅をもつ開口部を通過したあとに広がる現象です。一般に、開口部が狭いほど広がりは目立ちやすくなります。

aa単スリットでは、暗線の極小は次を満たす角度で現れます。

asinθ=mλ,m=1,2,3,a \sin \theta = m\lambda, \qquad m = 1, 2, 3, \dots

この式で極小の位置はわかります。ただし、その間の各角度での明るさすべてを与えるわけではありません。

干渉と回折が同時に現れるしくみ

ヤングの実験では、距離 dd だけ離れた2本の近接したスリットを光が通り、そこから距離 LL 離れたスクリーンで観測します。

LdL \gg d で、観測角が小さいとき、中央の明線から測った mm 番目の明線の位置は近似的に

ymmλLdy_m \approx \frac{m\lambda L}{d}

となります。

したがって、隣り合う明線どうしの間隔は近似的に

ΔyλLd\Delta y \approx \frac{\lambda L}{d}

です。

これは二重スリットの縞間隔の標準的な式です。この式から、主な依存関係がはっきりわかります。

  • λ\lambda が大きいほど縞間隔は広くなる
  • LL が大きいほど縞間隔は広くなる
  • dd が大きいほど縞間隔は狭くなる

各スリットにも有限の幅がある場合、細かい干渉縞は通常、より広い回折の包絡線の中に現れます。実際の模様で両方の効果が同時に見えることが多いのはこのためです。

計算例:縞間隔を求める

波長 λ=600 nm\lambda = 600\ \mathrm{nm} の単色光が、間隔 d=0.50 mmd = 0.50\ \mathrm{mm} の2つのスリットを通るとします。スクリーンまでの距離は L=2.0 mL = 2.0\ \mathrm{m} です。

小角近似の式

ΔyλLd\Delta y \approx \frac{\lambda L}{d}

を使います。

値を SI 単位で代入すると、

λ=6.0×107 m,d=5.0×104 m,L=2.0 m\lambda = 6.0 \times 10^{-7}\ \mathrm{m}, \qquad d = 5.0 \times 10^{-4}\ \mathrm{m}, \qquad L = 2.0\ \mathrm{m}

です。

したがって、

Δy(6.0×107)(2.0)5.0×104=2.4×103 m\Delta y \approx \frac{(6.0 \times 10^{-7})(2.0)}{5.0 \times 10^{-4}} = 2.4 \times 10^{-3}\ \mathrm{m}

となります。

よって、縞間隔は

Δy2.4 mm\Delta y \approx 2.4\ \mathrm{mm}

です。

つまり、隣り合う明線の間隔は約 2.4 mm2.4\ \mathrm{mm} です。この結果は小角近似を使っているので、模様の中心付近で最も信頼できます。

干渉と回折の問題でよくある間違い

完全に別の現象として扱う

干渉と回折は異なる概念ですが、実際のスリット実験では同じ模様の中に両方が現れることがあります。

条件を確かめずに縞の式を使う

ymmλL/dy_m \approx m\lambda L/d は近似式です。スクリーンが十分遠く、角度が小さいことを前提にしています。

スリット幅とスリット間隔を混同する

二重スリットの問題では、dd は通常スリット間隔です。単スリット回折では、aa はスリット幅です。

すべての暗線が完全にゼロになると思い込む

理想モデルではある点で完全な打ち消しが起こりますが、実際の実験ではコヒーレンスの不足、有限のスリット幅、位置合わせのずれなどにより、極小が完全なゼロにならないことがあります。

この考え方が使われる場面

干渉と回折は、分光法、回折格子、光学機器、画像形成で重要です。同じ考え方は、波の重ね合わせと広がりが起こる条件なら、音波、水面波、量子の物質波にも現れます。

ヤングの実験が今でも重要なのは、2つの役割を分けて考えやすいからです。光路差が縞模様を決め、開口の大きさが広がり方を決めます。

似た場合を試してみる

波長とスクリーンまでの距離を同じにして、スリット間隔 dd を2倍にしてみましょう。ΔyλL/d\Delta y \approx \lambda L / d では dd が大きくなると Δy\Delta y は小さくなるので、縞はより密になります。別の数値で自分なりに試したいなら、GPAI Solver で似た設定を調べてみてください。

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