ベルヌーイの式は、流れている流体において圧力・速さ・高さがどのように結びついているかを表します。入門でよく使われる形では、
となり、流体を非圧縮性とみなせて粘性による損失が無視できる定常流では、同じ流線に沿って一定です。基本的な考え方は単純で、ある項が増えれば、全体を一定に保つために少なくとも他のどれかの項が減らなければなりません。
ベルヌーイの式の意味
式
において、 は流体の圧力、 は速さに対応する単位体積あたりの運動エネルギーの項、 は高さに対応する単位体積あたりの重力による位置エネルギーの項です。
これは、圧力がいつでもそのまま速さに変わるという意味ではありません。これら3つの量が1つのエネルギー収支で結びついているという意味であり、実際にどの量の増減が見えるかは、その状況で何が一定に保たれているかによって決まります。
ベルヌーイの基本形を使える条件
授業でよく出てくるベルヌーイの式の基本形は、どんな場合にも使えるわけではありません。特に次の条件が成り立つときに信頼しやすくなります。
- 流れが定常である
- 流体の密度がほぼ一定である
- 粘性による損失が無視できるほど小さい
- 同じ流線上の2点を比べている
これらの条件が大きく崩れると、基本形では実際の様子を正しく表せないことがあります。たとえば実際の管内流れでは、粘性によってエネルギーが失われることが多いため、高さや速さが変わらなくても圧力が下がることがあります。
流れが速いと圧力が低くなることがある理由
よくある例は、細くなる水平な管を流れる場合です。細い部分で流体の速さが増し、高さがほとんど変わらないなら、高さの項はほぼ変化しません。
すると、増えた運動エネルギーの項はどこかから来なければなりません。単純なベルヌーイモデルでは、それは圧力の項が小さくなることでまかなわれます。だから同じ流線上の例では、流れが速いことと圧力が低いことが一緒に現れることがよくあります。
ただし、条件が重要です。これを「どんな流体でも速いほど必ず圧力が低い」という規則にしてはいけません。
計算例:水平な管での圧力低下
水が水平な管を流れているとします。点1での速さは 、圧力は です。管が細くなっている点2では、速さが です。水の密度は とします。
管は水平なので、2点の高さは同じとみなせます。したがって の項は打ち消し合います。
ここに値を代入すると、
となります。したがって、管の中で流れが速い部分のほうが圧力は低くなります。これは典型的なベルヌーイの結果ですが、ここで成り立つのは、同じ流線上・同じ高さ・定常流・損失が無視できる、というモデルの条件に合っているからです。
ベルヌーイの式でよくある間違い
万能な法則として扱う
この形のベルヌーイの式は、前提条件をもつモデルです。粘性、乱流、圧縮性、ポンプ、あるいは大きなエネルギー損失が重要なら、より注意深い解析が必要です。
高さの項を忘れる
一方の点がもう一方より高い場合、 の項が大きく効くことがあります。学生は圧力と速さだけに注目して、高さの役割を見落としがちです。
比べる点を間違える
基本形は通常、同じ流線に沿って適用します。流れの形を無視した点の比較をすると、結論が正しくないことがあります。
「速いほど必ず圧力が低い」と言う
その言い方が成り立つのは、ベルヌーイのつり合いの他の条件もそろっている特定の状況だけです。あらゆる流体運動に当てはまる一般論ではありません。
ベルヌーイの式が使われる場面
ベルヌーイの式は、圧力・速さ・高さの関係をすばやく見積もる最初のモデルを与えるため、流体力学、水力学、基礎的な空気力学で使われます。ベンチュリ計、ピトー管による測定、タンク排水の見積もり、理想化した管内流れの問題などで目にするでしょう。
実際には、現実の系が基本形だけでは十分に理想的でない場合、技術者はまずベルヌーイの式から出発し、その後に補正項や損失項を加えることがよくあります。
似たベルヌーイの問題を試してみる
例を少し変えて、点2が点1より 高い場合を考えてみましょう。あるいは高さは同じままで、一方の点の速さだけを変えてみてもかまいません。もう一度解いて、どの項がその変化を受け持つのかを確かめてみてください。そのあと別のケースも試したければ、ソルバーで自分なりの設定を入力し、結果と比べてみましょう。