ガウスの法則は、任意の閉曲面を通る正味の電気束が、その曲面に包まれた電荷を ε0\varepsilon_0 で割ったものに等しいと述べます。SI単位系では、

EdA=Qencε0\oint \mathbf{E} \cdot d\mathbf{A} = \frac{Q_{\mathrm{enc}}}{\varepsilon_0}

となります。ここで QencQ_{\mathrm{enc}} は、その曲面の内側にある全電荷です。この法則は常に成り立ちますが、対称性によって束積分を EE の簡単な式にできるときに特に有用です。

電気束を直感的に理解する

電気束は、ある面をどれだけ電場が貫いているかを表す量です。寄与するのは、面に垂直な E\mathbf{E} の成分だけです。

dΦE=EdAd\Phi_E = \mathbf{E} \cdot d\mathbf{A}

電場が面に平行なら、その場所での束はゼロです。面を外向きに貫けば寄与は正、内向きなら負になります。

ガウスの法則では、面は球、円筒、箱のような閉曲面でなければなりません。開いた1枚の面だけでは不十分です。

ガウスの法則が言っていること、言っていないこと

ガウスの法則は、各点での電場が包まれた電荷だけで決まるとは言っていません。言っているのは、閉曲面を通る正味の束 が包まれた電荷で決まるということです。

この違いは重要です。曲面の外側にある電荷は、曲面上の各点での電場を変えることがありますが、その閉曲面を通る正味の束への総寄与はゼロです。

電場を求めるのにガウスの法則が役立つ場合

ガウスの法則が最も強力なのは、うまく選んだガウス面上での電場について、対称性から単純なことが言える場合です。

典型的な場合は次の3つです。

  1. 点電荷や一様に帯電した球のような球対称
  2. 理想的な無限長線電荷のような円筒対称
  3. 理想的な無限平面電荷のような平面対称

このような場合、選んだ面上で EE の大きさが一定で、dAd\mathbf{A} との向きの関係も単純なので、しばしば EE を積分の外に出せます。

電荷分布にそのような対称性がない場合でも、ガウスの法則自体は正しいままです。ただし、通常は EE を直接は求められません。

例題:点電荷の電場

半径 rr の仮想的な球の中心に点電荷 qq があるとします。この状況は球対称なので、電場は半径方向を向き、その球面上のどこでも大きさは同じです。

球面では面積ベクトル dAd\mathbf{A} は外向きの半径方向を向くので、曲面上のどこでも E\mathbf{E}dAd\mathbf{A} と平行です。そのため内積は簡単になり、

EdA=EdA=E(4πr2)\oint \mathbf{E} \cdot d\mathbf{A} = E \oint dA = E(4\pi r^2)

となります。包まれた電荷は単に qq なので、ガウスの法則から

E(4πr2)=qε0E(4\pi r^2) = \frac{q}{\varepsilon_0}

を得ます。

これを EE について解くと、

E=14πε0qr2E = \frac{1}{4\pi \varepsilon_0}\frac{q}{r^2}

となります。これはよく知られた点電荷の電場です。重要なのは、球面上で電場の大きさがどこでも同じだと対称性から分かったからこそ、ガウスの法則を簡単に使えたという点です。

なぜ結果が 1/r21/r^2 に比例するのか

球の半径を2倍にすると、表面積は4倍になります。同じ包まれた電荷が4倍の面積に広がるので、電場は 44 分の1に下がります。

この面積の議論が、点電荷の電場が 1/r21/r^2 に比例する理由です。

よくあるミス

束と電場を混同する

束は電場そのものではありません。束は面積分なので、ある点で電場が強いからといって、正味の束が自動的に大きいとは限りません。

開いた面を使う

この形のガウスの法則には閉曲面が必要です。円板や平らな面の一部分だけでは電荷を包みません。

対称性の条件を忘れる

学生はしばしば EA=Qenc/ε0EA = Q_{\mathrm{enc}}/\varepsilon_0 を早まって書いてしまいます。この近道が使えるのは、選んだ面上で電場の大きさが一定で、E\mathbf{E}dAd\mathbf{A} のなす角が一定、または簡単に扱える場合だけです。

包まれた電荷がゼロなら電場もゼロだと思う

Qenc=0Q_{\mathrm{enc}} = 0 なら、正味の束はゼロです。しかし、曲面の外側に電荷が存在することがあるので、曲面上の電場はゼロとは限りません。

ガウスの法則はどこで使われるか

ガウスの法則は、対称性の高い電荷分布の電場を導くとき、静電平衡にある導体を解析するとき、そしてマクスウェル方程式で電荷密度と電場のふるまいを結びつけるときに使われます。

初学者向けの授業では、実用上の大きな利点は速さです。対称性が強いと、長い電場計算を短い議論に置き換えられます。

ガウスの法則の微分形

真空中では、ガウスの法則は局所的に

E=ρε0\nabla \cdot \mathbf{E} = \frac{\rho}{\varepsilon_0}

とも書けます。ここで ρ\rho は体積電荷密度です。この形は、電荷が電場の発散の源になっていることを表します。

最初に学ぶ多くの問題では、ガウス面と対称性に直接つながる積分形から始めるほうが適しています。

類題に挑戦してみよう

同じ球対称の議論を、一様に帯電した球殻について試してみましょう。まず球殻の外側、次に内側で考えます。次の例では、対称性、包まれた電荷、距離の役割がさらに明確に見えてきます。

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