三角関数は、角度を使って辺の比を読むための道具です。まず押さえるのは sin⁡\sin、cos⁡\cos、tan⁡\tan の 3 つで、直角三角形の長さを求める問題で最初に使います。

直角三角形で角 θ\theta が鋭角なら、意味は次の 3 つです。

sin⁡θ=向かい側斜辺,cos⁡θ=隣辺斜辺,tan⁡θ=向かい側隣辺\sin \theta = \frac{\text{向かい側}}{\text{斜辺}}, \qquad \cos \theta = \frac{\text{隣辺}}{\text{斜辺}}, \qquad \tan \theta = \frac{\text{向かい側}}{\text{隣辺}}

大事なのは、三角関数が長さそのものではなく「長さどうしの比」を見ていることです。同じ角なら三角形の大きさが変わっても、この比は変わりません。

三角関数とは何を表すのか

sin⁡θ\sin \theta は「向かい側が斜辺の何倍か」、cos⁡θ\cos \theta は「隣辺が斜辺の何倍か」、tan⁡θ\tan \theta は「向かい側が隣辺の何倍か」を表します。つまり、角度が決まると辺の比も決まる、というのが三角関数の核です。

ここで間違えやすいのは、向かい側と隣辺が図に固定された名前ではないことです。どの角を θ\theta と見るかで、向かい側と隣辺は入れ替わります。

sin cos tan でまず覚える公式

入門でよく使う公式は多くありません。まずは次の 3 つを確実に使えるようにすると十分です。

tan⁡θ=sin⁡θcos⁡θ(cos⁡θ≠0)\tan \theta = \frac{\sin \theta}{\cos \theta} \qquad (\cos \theta \ne 0) sin⁡2θ+cos⁡2θ=1\sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1 1+tan⁡2θ=1cos⁡2θ(cos⁡θ≠0)1 + \tan^2 \theta = \frac{1}{\cos^2 \theta} \qquad (\cos \theta \ne 0)

2 つ目の式は最重要です。3 つ目は、tan⁡θ=sin⁡θcos⁡θ\tan \theta = \frac{\sin \theta}{\cos \theta} を使って sin⁡2θ+cos⁡2θ=1\sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1 を変形した形なので、cos⁡θ=0\cos \theta = 0 のときはそのまま使えません。

よく使う角度の値を先に押さえる

0∘0^\circ、30∘30^\circ、45∘45^\circ、60∘60^\circ、90∘90^\circ は頻出です。ここは表で見ておくと速いです。

角度 sin⁡θ\sin \theta cos⁡θ\cos \theta tan⁡θ\tan \theta
0∘0^\circ 00 11 00
30∘30^\circ {1}{2}\frac\{1\}\{2\} \frac\{\sqrt\{3\}}\{2\} \frac\{\sqrt\{3\}}\{3\}
45∘45^\circ \frac\{\sqrt\{2\}}\{2\} \frac\{\sqrt\{2\}}\{2\} 11
60∘60^\circ \frac\{\sqrt\{3\}}\{2\} {1}{2}\frac\{1\}\{2\} {3}\sqrt\{3\}
90∘90^\circ 11 00 定義されない

この表で特に大事なのは、tan⁡θ\tan \theta がいつでも使えるわけではないことです。90∘90^\circ では cos⁡θ=0\cos \theta = 0 になり、tan⁡θ=sin⁡θcos⁡θ\tan \theta = \frac{\sin \theta}{\cos \theta} の分母が 00 になるので定義されません。

例題で sin cos tan の使い分けを見る

斜辺が 1010、隣辺が 88 の直角三角形で、角 θ\theta をその隣辺に接する鋭角とします。sin⁡θ\sin \theta、cos⁡θ\cos \theta、tan⁡θ\tan \theta を求めます。

まず、足りない辺を出します。ピタゴラスの定理より

向かい側2=102−82=100−64=36\text{向かい側}^2 = 10^2 - 8^2 = 100 - 64 = 36

なので、向かい側は 66 です。ここまで出れば、あとは定義にそのまま入れます。

sin⁡θ=610=35,cos⁡θ=810=45,tan⁡θ=68=34\sin \theta = \frac{6}{10} = \frac{3}{5}, \qquad \cos \theta = \frac{8}{10} = \frac{4}{5}, \qquad \tan \theta = \frac{6}{8} = \frac{3}{4}

この例で大事なのは、計算より順番です。角を決める、辺の名前を決める、足りない辺を出す、必要な比を選ぶ。この流れで考えると、三角関数の問題はかなり整理しやすくなります。

三角関数でよくある間違い

向かい側と隣辺を図の固定名だと思う

向かい側と隣辺は、必ず基準の角に対して決まります。同じ図でも角を変えれば意味が変わるので、公式より先に角を確認するのが安全です。

tan⁡θ\tan \theta をいつでも使えると思う

tan⁡θ=sin⁡θcos⁡θ\tan \theta = \frac{\sin \theta}{\cos \theta} は便利ですが、cos⁡θ≠0\cos \theta \ne 0 が条件です。たとえば 90∘90^\circ では分母が 00 になるので、tan⁡θ\tan \theta は定義されません。

度数法とラジアンを混同する

電卓を使うときは、角度が 30∘30^\circ のような度数法なのか、π/6\pi/6 のようなラジアンなのかを確認します。モードがずれると、計算自体が合っていても答えはずれます。

直角三角形の定義をそのまま広い角に使う

辺の比としての定義は、まず直角三角形で学びます。90∘90^\circ を超える角や負の角を扱うときは、単位円での見方に切り替える必要があります。

三角関数はどんなときに使うか

学校数学では、直角三角形の辺を求める問題、単位円、三角関数のグラフ、恒等式の変形でよく出てきます。物理では波や振動、工学では回転や傾きの計算にもつながります。

つまり三角関数は、角度の情報を数として扱うための基本言語です。直角三角形の比として意味をつかんでおくと、その先の内容にも入りやすくなります。

次に試すなら

斜辺を 1313、隣辺を 55 に変えて、向かい側、sin⁡θ\sin \theta、cos⁡θ\cos \theta、tan⁡θ\tan \theta を同じ順番で求めてみてください。1 問だけ自分で解くと、公式の意味がかなり定着します。

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