等比数列の和の公式は、同じ比で増えたり減ったりする数列の合計をすばやく出すための公式です。初項を a、公比を r、項数を n とすると、まず覚える形は次のとおりです。
Sn=1−ra(1−rn)(r=1)
公比が 1 のときは分母が 0 になるので、この公式はそのまま使えません。その場合は全部の項が a なので、
Sn=na(r=1)
です。
無限に続く場合は別で、無限等比級数の和
S∞=1−ra
が使えるのは ∣r∣<1 のときだけです。ここが最も混同しやすい点です。
まず押さえる考え方
等比数列は、前の項にいつも同じ数を掛けて次の項を作る数列です。たとえば 3,6,12,24,… は毎回 2 倍しているので、公比は r=2 です。
和の公式が便利なのは、全部を1つずつ足さなくても、初項、公比、項数だけで合計を出せるからです。特に項数が多いときに効果があります。
公式はどう見ればよいか
有限和の公式
Sn=1−ra(1−rn)
は、最後の項までまとめて処理した形です。別の教科書では
Sn=r−1a(rn−1)
と書かれることもありますが、これは同じ式です。分子と分母に −1 を掛けただけです。
簡単な導き方
和を
Sn=a+ar+ar2+⋯+arn−1
とおきます。ここで両辺を r 倍すると、
rSn=ar+ar2+ar3+⋯+arn
となります。上の2式を引くと、途中の項がほとんど消えて
Sn−rSn=a−arn
つまり
(1−r)Sn=a(1−rn)
です。したがって r=1 なら
Sn=1−ra(1−rn)
が出ます。
例題
等比数列
3, 6, 12, 24, 48
の和を求めます。
この数列では、初項は a=3、公比は r=2、項数は n=5 です。公式に代入すると
S5=1−23(1−25)
です。25=32 なので、
S5=−13(1−32)=−13(−31)=93
となります。
実際に 3+6+12+24+48 と足しても 93 になるので、答えは確かです。項数がもっと多いときほど、公式のありがたさがよくわかります。
よくある間違い
r=1 なのにそのまま公式を使う
r=1 では分母の 1−r が 0 になります。このときは Sn=na に切り替えます。
等差数列と混同する
毎回同じ数を足しているなら等差数列です。等比数列は、毎回同じ数を掛けているかどうかで見分けます。
無限和の公式を条件なしで使う
S∞=1−ra
は便利ですが、∣r∣<1 が必要です。たとえば r=2 なら項はどんどん大きくなるので、無限和は有限な値に落ち着きません。
どんなときに使うか
等比数列の和は、倍率で変化する場面でよく出てきます。たとえば、毎年同じ割合で増える金額、毎回半分になる量、反射や減衰のように一定倍率で小さくなる現象です。
高校数学では数列分野の基本として出てきますし、微積分で無限級数を学ぶ前の土台にもなります。
次にやると定着しやすいこと
初項を 5、公比を 21、項数を 6 に変えて、自分で和を求めてみてください。有限和を出したあと、同じ初項と公比で無限和も考えると、∣r∣<1 という条件の意味がかなりはっきりします。