微分方程式の解き方は、まず式の型を見ることです。微分方程式は関数 とその微分 を含む方程式で、答えは数ではなく関数になります。最初に学ぶことが多い変数分離形なら、 と を分けて積分する流れで解けます。
このページでは、微分方程式とは何かを短く確認したあと、変数分離形の解き方を1問で見ます。あわせて、初学者がつまずきやすいミスも先に押さえます。
微分方程式とは何か
たとえば
や
のように、未知の関数 とその導関数 を含む式が微分方程式です。
ここで求めたいのは数ではなく、条件を満たす関数 です。たとえば
は を満たす解です。初期条件があれば、 が決まって1つの具体的な解になります。
解き方の最初の判断は型
微分方程式は、いつも同じ手順では解けません。最初に見るべきなのは、式がどの型かです。ここを飛ばすと、合わない解法を当てて計算が止まりやすくなります。
このページで扱うのは変数分離形です。これは
のように、 に関する部分と に関する部分を分けやすい形です。分けられるなら、
の形にして、両辺を積分します。
ただし、 で割るなら になる場合を別に確認する必要があります。ここを飛ばすと、定数解を落とすことがあります。
変数分離形の解き方 5ステップ
変数分離形では、流れはかなりはっきりしています。
- の形かを確認する
- を含む部分と を含む部分を分ける
- 両辺を積分する
- 必要なら指数や対数を整理して を表す
- 初期条件があれば積分定数を決める
計算の速さより、「どこで割ったか」と「その変形がどんな条件で正しいか」を意識するほうが大切です。
例題:
次の初期値問題を考えます。
右辺が なので、これは変数分離形です。初期値が なので、少なくとも の近くでは と見て進められます。その範囲で で割ると、
となるので、変数を分けて
と書けます。両辺を積分すると、
です。これを指数関数で直すと、
となります。定数の符号もまとめて吸収すれば、
と書けます。ここで初期条件 を使うと、
なので、
です。
この例で見るべき点は、計算の形そのものよりも「分離できるか」と「途中で で割ってよい条件は何か」です。なお、この方程式では も解ですが、初期条件 には合いません。
よくあるミス
- 変数分離形ではない式に、同じ手順をそのまま使うこと。
- 両辺を積分したあとで積分定数 を落とすこと。
- から を直すときに、絶対値や定数の吸収を雑に処理すること。
- や で割ったあと、その量が になる可能性を確認しないこと。
- 初期条件を最後まで使わず、一般解のままで止めること。
特に4つ目は、計算自体はきれいでも答えを落とす原因になります。割り算をしたら、「その量が の場合は別に解を持たないか」を最後に見直すのが安全です。
微分方程式が使われる場面
微分方程式は、変化の法則がわかっていて、その変化から元の関数を求めたいときに出てきます。数学の授業だけでなく、速度から位置を求める問題、増減のモデル、電流や濃度の変化を追う問題でも基本の考え方は同じです。
ただし、すべての微分方程式が変数分離で解けるわけではありません。一次線形微分方程式、同次形、2階の微分方程式など、型が変われば道具も変わります。だから最初の一歩は、計算より先に「どの型か」を見ることです。
次に試す1問
まずは
を同じ流れで解いてみてください。 を左、 を右に分けて積分し、最後に初期条件で定数を決めれば進められます。
似た問題を自分でもう1問解くときは、「どこで割ったか」と「そのとき落ちる解がないか」まで確認してみてください。微分方程式の解き方は、この確認まで含めて身につきます。