pHスケールは、水溶液がどれくらい酸性または塩基性かを表します。初等化学では、一般に次のように書かれます。
ここで、 は1リットルあたりのモル数で表したヒドロニウムイオン濃度です。pHが低いほど酸性が強くなります。pHが高いほど塩基性が強くなります。
pHを理解するうえで大切なのは、これは線形の尺度ではないという点です。pHが1変化すると、 は10倍変化します。つまり、pH 3はpH 4より少しだけ酸性が強いのではなく、ずっと強い酸性です。
pHスケールが表すもの
水中では、酸はヒドロニウムイオン濃度を増加させ、塩基はそれを減少させます。pHは の常用対数にマイナスを付けたものなので、ヒドロニウムイオンが多いほどpHは低くなります。
多くの教科書では、略記として が使われます。水溶液では、酸性種をより正確に表すには を使うほうが適切です。
学校で扱う多くの問題では、pHは0から14のスケールで示されます。
- 7未満:酸性
- 7付近:中性
- 7より大きい:塩基性
このルールは、 付近の希薄な水溶液に対する授業用の目安として有用です。あらゆる温度や濃度にそのまま当てはまる普遍的なルールではありません。
pHの計算方法
ヒドロニウムイオン濃度がわかっているなら、定義をそのまま使います。
先に水酸化物イオン濃度がわかっているなら、まずpOHを求めます。
その後、約 の希薄な水溶液では、次を使います。
この最後の式は温度に依存するので、使うときは条件を明記しましょう。
計算例: の溶液のpHを求める
まず定義を書きます。
濃度を代入します。
なので、
したがって、この溶液は酸性です。
この例は、pHスケールの考え方も示しています。pH 3の溶液は、pH 4の溶液よりヒドロニウムイオン濃度が10倍高く、pH 5の溶液より100倍高くなります。
なぜ最初は直感に反して感じるのか
pHの値を、等間隔に並んだ数値のように読んでしまうことがよくあります。しかし実際にはそうではありません。対数によって、大きな濃度変化が小さな数の差に圧縮されています。
そのため、2単位の変化は 倍、3単位の変化は 倍になります。
この点を意識すると、pHの比較はずっと解釈しやすくなります。
よくある間違い
pHを線形スケールだと考える
pH 2とpH 3の差は、20 cmと21 cmの差のようなものではありません。これはヒドロニウムイオン濃度が10倍違うことを表しています。
中性は常にpH 7だと思い込む
これは 付近の純水に対する標準的な授業上の値です。正確な中性のpHは温度によって変化します。
酸の強さとpHを混同する
同じ条件なら、強酸は弱酸よりもより完全に電離します。しかし、pHは濃度にも依存します。希薄な強酸のほうが、より濃い弱酸より高いpHを示すこともあります。
適用条件を無視してpHの式を使う
上の単純な式は、初学者向けの水溶液の化学で最も信頼できます。より厳密な扱いでは、化学者は単純な濃度ではなく活量を用います。
pHスケールが使われる場面
pHスケールは、水を含む系で酸性や塩基性を手早く知りたいときに使われます。代表的な例として、酸塩基滴定、水質、土壌化学、食品化学、生体液などがあります。
また、学生が別々に学びがちな化学の考え方、つまり濃度、対数、酸と塩基、水中の平衡を結びつけてくれる点でも有用です。
自分でもやってみよう
と のpHを計算してみましょう。そのあと、数値だけでなく言葉でも2つの溶液を比較してみてください。そうするのが、対数スケールを実感としてつかむ最も速い方法です。