ピタゴラスの定理は、直角三角形の3辺の関係を表す公式です。三平方の定理とも呼ばれます。直角をはさむ2辺を aa, bb、直角の向かい側の斜辺を cc とすると、

a2+b2=c2a^2 + b^2 = c^2

が成り立ちます。まず押さえるべき点は1つで、この式が使えるのは直角三角形だけです。

公式の意味をすぐつかむ

この定理は、「短い2辺の平方の和が、斜辺の平方に等しい」という関係です。長さをそのまま足すのではなく、22 乗した値を比べています。

各辺の上に正方形を作ると、小さい2つの正方形の面積の和が、大きい1つの正方形の面積にちょうど一致します。a2+b2=c2a^2 + b^2 = c^2 は、その面積の関係を式にしたものです。

学校数学では、辺の長さが 33, 44, 55 なら

32+42=9+16=25=523^2 + 4^2 = 9 + 16 = 25 = 5^2

となるので、直角三角形だと判断できます。これはピタゴラスの定理の逆を使っています。3344 を足して 77 にする話ではありません。

ピタゴラスの定理の使い方

使い方は2通りに分けると分かりやすいです。

1. 斜辺を求める

直角をはさむ2辺が分かっているなら、

c=a2+b2c = \sqrt{a^2 + b^2}

で斜辺を求められます。

2. 片方の直角辺を求める

斜辺ともう一方の直角辺が分かっているなら、式を移項して

a=c2b2a = \sqrt{c^2 - b^2}

のように求めます。ただし、斜辺 cc は他の辺より長くないといけません。

例題で流れを見る

直角をはさむ2辺が 66 cm と 88 cm のとき、斜辺を求めます。

公式に代入すると、

c=62+82c = \sqrt{6^2 + 8^2}

です。計算すると

c=36+64=100=10c = \sqrt{36 + 64} = \sqrt{100} = 10

なので、斜辺は 1010 cm です。

この例で多いミスは、6+8=146+8=14 としてしまうことです。足すのは辺の長さではなく、平方した値です。

証明は面積で見ると短い

証明はいくつもありますが、面積を使う考え方が比較的見通しがよいです。

1辺が a+ba+b の大きな正方形を考え、その中に合同な直角三角形を4つ並べます。並べ方によって、中央にできる図形の面積を2通りに表せます。

大きな正方形の面積は

(a+b)2(a+b)^2

です。一方で、それは「4つの三角形の面積」と「中央の正方形の面積」の和でもあります。三角形1つの面積は ab2\frac{ab}{2} なので、

(a+b)2=4ab2+c2(a+b)^2 = 4 \cdot \frac{ab}{2} + c^2

となります。右辺を整理すると

a2+2ab+b2=2ab+c2a^2 + 2ab + b^2 = 2ab + c^2

なので、

a2+b2=c2a^2 + b^2 = c^2

が出ます。

よくある間違いと直し方

直角三角形でないのに使う

ピタゴラスの定理は直角三角形に限って成り立ちます。直角があるという条件を先に確認してください。

どの辺が斜辺かを取り違える

斜辺は直角の向かい側にある、いちばん長い辺です。ここを間違えると c2b2c^2 - b^2 の形も崩れます。

長さと平方を混同する

a2+b2=c2a^2 + b^2 = c^2 であって、a+b=ca+b=c ではありません。式の形をそのまま覚えるより、「正方形の面積の関係」と理解しておくと混乱しにくいです。

ルートを簡単にしない

たとえば 72\sqrt{72} はそのままでも間違いではありませんが、必要なら

72=62\sqrt{72} = 6\sqrt{2}

のように整理します。問題の指定が整数か、既約な根号形かも確認してください。

どんな場面で使うか

学校の幾何だけでなく、座標平面での距離、長方形の対角線、坂道やはしごの長さ、建築や測量の基本計算でも現れます。直角が隠れている場面では、かなり高い確率で候補になります。

座標で2点間の距離を求める公式も、結局は横の差と縦の差でできる直角三角形にこの定理を使っています。

覚えておくと楽になる数の組

3,4,53,4,55,12,135,12,13 のように、きれいな整数で成り立つ組があります。計算の見当をつけるときに便利ですが、全部を暗記しなくても本質は公式の使い方です。

次に試すなら

まずは「斜辺が 1313、片方の直角辺が 55 のとき、もう一方の辺を求める」問題を自分で解いてみてください。そのあと、座標平面の2点間の距離にも同じ考え方がつながるかを見ると、定理の使いどころがかなりはっきりします。

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