レイノルズ数は無次元量で、流体の流れにおいて粘性と比べて慣性がどれだけ強く効くかを判断するのに役立ちます。実際には、ある条件のもとで流れがなめらかに保たれるか、それともより乱れやすくなるかを考えるときに、学生がよく出会う量です。
多くの問題では、よく使われる形は
です。ここで、 は流体密度、 は代表流速、 は代表長さ、 は動粘度ではなく粘性係数(粘度係数)、 は動粘度です。
大まかな解釈は単純です。レイノルズ数が小さいと粘性の影響が流れのパターンに強く現れ、レイノルズ数が大きいと慣性の影響がより強くなります。ただし、どんな形状でも1つの数だけで層流か乱流かが必ず決まるわけではありません。
レイノルズ数が教えてくれること
レイノルズ数は、慣性の効果と粘性の効果の比として説明されることがよくあります。これをうまく使うために、完全な導出を知っている必要はありません。大切なのは、この比較が何を意味しているかという考え方です。
粘性が支配的なら、流体は急な速度差に抗しやすく、流れはふつうよりなめらかで整ったものになります。慣性が支配的なら、流れは乱れをすぐにならしてしまうよりも、そのまま進み続けやすくなります。
そのため、レイノルズ数は、ある特定の条件のもとで流れが層流、遷移流、乱流のどれになりそうかを最初に見積もる指標として使われます。
どのレイノルズ数の式を使うか
記号 は、いつも同じ物理量を表すわけではありません。流れの問題に合ったものを選ぶ必要があります。
円管内の流れでは、通常は管径 を使うので、
となります。
ほかの状況では、代表長さは翼弦長、等価直径、水力直径、球の直径、あるいはその問題に特有の別の尺度になることがあります。代表長さを間違えると、求めたレイノルズ数は思っている意味を持たなくなります。
等価な形として を見ることもあります。どちらの式も意味は同じです。与えられている流体データに合うほうを使ってください。
管内流れにおけるレイノルズ数の例
なめらかな円管を水が流れていて、次の条件だとします。
- 平均流速
- 管径
- 動粘度
円管では、次を使います。
値を代入すると、
となります。
したがって、レイノルズ数はおよそ です。
なめらかな円管内の内部流れでは、よく使われる目安として次があります。
- 層流: おおよそ
- 遷移流: おおよそ
- 乱流: 多くの場合
この特定の管内流れの条件では、 なので乱流になりやすいことを示しています。ただし、これらのしきい値はあらゆる流れの問題に共通する普遍定数ではありません。したがって、境界層、物体まわりの流れ、非円形ダクトなどにそのまま機械的に当てはめるべきではありません。
レイノルズ数でよくある間違い
- レイノルズ数を、どんな形状にも使える乱流のオン・オフ判定だと考えてしまうこと。解釈は流れの設定に依存します。
- 代表長さを間違えること。管内流れでは管径が一般的ですが、ほかの問題では別の尺度を使います。
- 粘性が流体の種類や温度で変わることを忘れること。同じ形状と速度でも、流体物性が変わればレイノルズ数は変わります。
- レイノルズ数が高ければ、何があっても乱流になると考えること。実際には、流入条件、表面粗さ、乱れなども重要です。
レイノルズ数はどこで使われるか
レイノルズ数は、異なる大きさや速度の流れを同じ基準で比較するのに役立つため、流体力学のさまざまな場面で現れます。管内流れ、自動車や航空機まわりの流れ、模型実験、熱伝達の相関式、抗力解析などで使われます。
また、力学的相似を考えるうえでも中心的な量です。2つの系でレイノルズ数が同程度で、さらに必要なほかの条件もそろっていれば、実際の大きさが大きく違っていても、似た流れのふるまいを示すことがあります。
似たレイノルズ数の問題をやってみよう
1つの条件だけを変えて、自分で試してみましょう。たとえば管径を2倍にする、あるいは粘度を半分にして、計算する前に がどう変わるか予想してみてください。さらに一歩進めたいなら、流体そのものを変え、新しい粘度によって解釈がどう変わるかも確かめてみましょう。