電子親和力とは、中性の気体原子が電子を1個受け取って気体陰イオンになるときのエネルギー変化です。平たく言えば、気相中で孤立した原子が余分な電子を1個受け入れやすいかどうかを表します。
1つだけ条件を覚えるなら、ここが重要です。電子親和力は気体原子に対して定義されるのであって、すでに結合の中や溶液中、固体中にある原子に対して定義されるものではありません。
基本の過程は次のとおりです。
この過程でエネルギーが放出されるなら、第1電子親和力は有利です。放出されたエネルギーを正の値で表す表もあれば、過程そのもののエネルギー変化を負の値で表す表もあります。だからこそ、このテーマでは符号の約束がとても重要になります。
電子親和力が測っているもの
電子親和力は、気相中の1個の中性原子に電子を加えることに関する量です。実際の反応では結合、溶媒、格子エネルギーなどの影響も受けるため、あらゆる実在の反応で何が起こるかを直接示すものではありません。
また、電子親和力は似た概念と混同しやすいです。電子親和力は孤立した原子に電子を加えることに関する量です。結合中で原子が共有電子をどれだけ強く引きつけるかを表す電気陰性度とは同じではありません。
符号の約束が逆に見える理由
教科書やデータ表によって、異なる符号の約束が使われています。
電子親和力を放出エネルギーとして示す表では、より有利な値ほど正に大きく見えます。過程そのもののエネルギー変化として示す表では、より有利な値ほど負に大きく見えます。数値を比較する前に、使っている資料がどちらの約束を採用しているかを確認してください。
第1電子親和力と第2電子親和力は同じではない
第1電子親和力は、中性原子に電子を1個加える場合です。
第2電子親和力は、陰イオンにさらに電子を1個加える場合です。
この2つは似た段階ではありません。第2段階は、すでに負に帯電した種が入ってくる電子を反発するため、ふつうはずっと不利になります。
例題:塩素
塩素は代表的な例です。中性の塩素原子は、通常、電子を1個受け取るとエネルギーを放出します。
なぜ有利なのでしょうか。塩素原子の価電子配置は なので、電子を1個受け取ると になります。これによって 副殻が満たされ、孤立した陰イオンは中性原子だけから予想するより低いエネルギーになります。
これは、塩素があらゆる実際の化学環境で電子を受け取るという意味ではありません。あくまで、気相中で孤立した原子については、その1電子付加がエネルギー的に有利だという意味です。
周期表における電子親和力の傾向
一般に、第1電子親和力は同一周期で左から右へ行くほど有利になる傾向があります。同一族で下へ行くと不利になることが多いですが、パターンは完全になめらかではありません。
この傾向はあくまで目安です。原子の大きさ、副殻構造、電子間反発によってパターンは変わることがあります。代表的な例として、塩素の第1電子親和力はフッ素よりわずかに有利で、フッ素は同じ族で塩素の上にあるにもかかわらず、このような例外が見られます。
学生がよくする間違い
電子親和力と電気陰性度を混同する
電子親和力は、孤立した原子が電子を受け取るときのエネルギー変化です。電気陰性度は、結合中で原子が共有電子を引きつける傾向です。関連はありますが、答えている問いは異なります。
イオン化エネルギーと混同する
イオン化エネルギーは、電子を取り去るのに必要なエネルギーです。
電子親和力はその逆向きで、電子を取り去るのではなく加えます。
符号の約束を無視する
ある資料では有利な電子親和力を正で示し、別の資料では負で示すことがあります。その場合、同じ化学を表していても数値が矛盾して見えることがあります。表が符号をどう定義しているかを必ず確認してください。
第2電子も同じように振る舞うと思い込む
中性原子に電子を加えることと、陰イオンに電子を加えることは同等ではありません。孤立した種では、第2の付加は通常ずっと不利です。
電子親和力が役立つ場面
電子親和力は、周期的傾向を比べるとき、ある原子が他より陰イオンを作りやすい理由を説明するとき、またこの概念を電気陰性度やイオン化エネルギーと区別するときに役立ちます。
特に化学の初学者にとって有用です。すべての原子が完全な傾向に従うと決めつけずに、直感を育てる助けになるからです。
理解をすばやく確認する方法
次の2つを自分に問いかけてください。
- 中性の気体原子が電子を1個受け取る話をしているか。
- 使っている資料は、放出エネルギーの値を使っているのか、それとも符号付きのエネルギー変化の値を使っているのか。
この2点がはっきりすれば、この概念はかなり理解しやすくなります。
似た比較をやってみよう
塩素とナトリウムの第1電子親和力を比べてみてください。この対比は、周期的傾向と、有利な第1電子親和力の意味の両方を確かめるのにちょうどよい次の一歩です。