三相電力は、同じ周波数をもつ3つの電圧が、位相で ずつずれた交流方式です。平衡系では、この位相差によって負荷に供給される合計電力が時間的に一定になり、これが三相電力が送電網、工場、モーターで広く使われる大きな理由です。
宿題を解いたり銘板を読んだりするときに重要なのは、たいてい次の点です。位相差の意味を理解すること、線間値と相値を区別すること、そして近道の電力公式は系が平衡しているときだけ使うことです。
三相電力とは何か
3つの正弦波電圧を考えてみましょう。どれも同じ形ですが、それぞれが周期の3分の1ずつずれています。
振幅が等しく、位相差が正確に であれば、この組は平衡しているといいます。この平衡条件があるからこそ、標準的な三相の公式はシンプルで実用的になります。
この の位相差は適当に決まっているわけではありません。3つの波形を1周期の中に均等に配置することで、ある相が下がっているときに別の相が上がるようになります。平衡負荷では、その結果として単相系よりも合成された電力供給がずっと安定します。
三相電力が役立つ理由
単相電源では、供給される電力は各周期の中で増減します。これに対して平衡三相電源では、位相のずれた3つの相でその役割を分担するため、正弦波定常状態の平衡負荷では合計の供給電力が一定になります。
これは特にモーターで重要です。三相モーターは回転磁界を自然に作り出せるため、同程度の単相モーターに比べて、より滑らかなトルクと簡単な動作が得られます。
線間電圧と相電圧
三相の問題では、線間値と相値を行き来することがよくあります。ここで多くのミスが起こるので、計算の前に量をはっきり定義しておきましょう。
平衡したY結線では、
また、
ここで は線間電圧、 は1相にかかる電圧です。これらの関係は、平衡したY結線に特有のものです。Δ結線では、電圧と電流の関係は異なります。
三相電力の基本公式
平衡三相負荷の有効電力は
で表されます。ここで、 は線間電圧、 は線電流、 は力率です。
皮相電力が必要なら、
を使います。
無効電力には、
を使います。
これらのコンパクトな公式は、正弦波定常状態にある平衡三相系を前提としています。負荷が不平衡なら、通常は1つの近道公式に頼るのではなく、各相ごとに計算する必要があります。
計算例:平衡系の有効電力
平衡三相負荷に、線間電圧 が加えられているとします。線電流は 、力率は です。
平衡系の有効電力の公式を使います。
値を代入すると、
したがって、この負荷が消費する電力はおよそ
です。
これが線間値を使う公式の大きな利点です。平衡系であれば、合計の有効電力を直接求められます。問題で相ごとの量を求めるよう指定されていない限り、各相の電力を別々に計算する必要はありません。
三相電力の問題でよくあるミス
-
線間値と相値を混同すること。Y結線では線間電圧は相電圧の 倍ですが、線電流は相電流に等しくなります。Δ結線ではこの関係が変わります。
-
負荷が平衡しているか確認せずに を使うこと。この近道は、すべての三相回路にそのまま使える一般公式ではありません。
-
力率を無視すること。負荷が純抵抗でない限り、電圧と電流だけでは有効電力は求まりません。
-
3つの相を無関係な単相回路として扱うこと。一定の位相差こそが、この方式に実用上の利点を与えている要素です。
三相電力はどこで使われるか
三相電力は、発電、送電、産業用配電で標準的に使われています。また、大型モーター、ポンプ、コンプレッサー、工作機械が使われる場所でも一般的です。
多くの家庭では最終的な引き込みは単相ですが、その背後にある大きな電力系統は三相の発電と配電を中心に構成されています。これは、電力を効率よく送れ、重い回転機器にも適しているためです。
類題に挑戦してみよう
線間電圧、電流、または力率を変えて、この例を自分でも解いてみましょう。さらに一歩進めたいなら、同じ負荷を単相電源と三相電源で比べてみて、電力供給やモーターの動作がどう違うかを確認してみてください。