光電効果とは、入射する光の1光子あたりのエネルギーが十分大きいときに、物質から電子が放出される現象です。初等的な物理のモデルでは、まず1個の光子がその物質の仕事関数 を超えられるかを考えます。超えられれば電子は放出される可能性があり、超えられなければ光電子は生じません。
中心となる式は、アインシュタインの光電方程式です。
ここで、 はプランク定数、 は光の振動数、 は仕事関数、 は放出された電子の最大運動エネルギーです。しきい条件は
です。この1つの不等式が本質を表しています。つまり、各光子のエネルギーがしきい値未満なら、光を明るくするだけでは不十分です。
光電効果が意味すること
アインシュタインの光電方程式は、1個の光子と1個の放出電子に対するエネルギー収支を表しています。光子のエネルギーの一部は仕事関数を乗り越えるために使われ、残りが電子の最大運動エネルギーになります。
だからこそ、振動数がとても重要です。同じ物質なら、振動数が高いほど1光子あたりのエネルギーは大きくなります。一方、光の強度は別の話で、主に到達する光子の数を変えるのであって、各光子のエネルギーそのものは変えません。
しきい周波数を簡単に説明すると
どの物質にも、しきい周波数 があり、これは
で定義されます。
もし なら、初等モデルでは光子のエネルギーが足りず、電子を放出できません。 なら、放出が可能になります。
このことが、光電効果が歴史的に非常に重要だった理由です。「もっと強い光を当てればよい」という考えが、いつでも正しいわけではないと示したからです。最初に重要なのは、1光子あたりのエネルギーです。
なぜ明るさより振動数が重要なのか
同じ金属を使い、振動数は変えずに光だけを明るくしたとします。すると、1秒あたりに入射する光子の数は増えるので、放出される電子の数は増えるかもしれません。しかし、各光子のエネルギーは同じままなので、ビームを明るくしただけでは は増えません。
最大運動エネルギーを大きくしたいなら、各光子がより大きなエネルギーをもつように、振動数を上げる必要があります。
アインシュタインの式を使った例題
ある金属の仕事関数が 、入射光の光子エネルギーが だとします。
まず、しきい条件を確認します。
したがって、電子は放出されます。
次に、アインシュタインの式を使います。
最もエネルギーの大きい放出電子の運動エネルギーは です。
問題で阻止電位 も求めるように言われた場合は、
を使います。ただし、これは阻止電位の条件、つまり逆向きの電圧を調整して最も速い電子がちょうど止まる場合に限ります。電子ボルト単位で考えると、この場合は です。
光電効果の問題でよくあるミス
光が明るいほど電子も速くなると思ってしまう
それだけではそうなりません。同じ物質で、しきい値を超える同じ振動数なら、強度が大きいほど通常は放出電子の数が増えるだけで、 が大きくなるわけではありません。
しきい条件を確認する前に式を使ってしまう
が意味をもつのは、光子エネルギーが仕事関数に達していることを確認した後です。もし なら、初等モデルでは光電子は放出されません。
光子のエネルギーと光全体のエネルギーを混同する
しきい条件に関係するのは、1光子あたりのエネルギーです。光全体としては強くても、各光子がしきい値未満なら電子は放出されません。
が最大値であることを忘れる
放出される電子がすべて同じ運動エネルギーをもつわけではありません。この式が与えるのは、分布の中で最大の運動エネルギーです。
光電効果はどこで使われるか
光電効果は、入射した光子を放出電子に変換して光を検出する装置で重要です。代表例として、真空光電管や光電子増倍管があります。
また、放出された電子を測定して電子構造や結合エネルギーを調べる光電子分光でも重要です。物理学の歴史においても、光電効果は光の量子論を支持する最も明確な初期の証拠の1つです。
いつ光電効果のモデルを使うべきか
光が物質に当たり、その表面から電子が放出される問題では、光電効果のモデルを使います。最初に確認すべきなのは、光子エネルギーが仕事関数に達しているかどうかです。
一方で、問題の中心が屈折、干渉、あるいは通常の回路のふるまいであるなら、このモデルはおそらく適切ではありません。典型的な手がかりは、「金属表面に光を当てると電子が放出される」といった表現です。
類題に挑戦してみよう
仕事関数を同じ のままにして、光子エネルギーを に変えた場合を考えてみましょう。このとき有用な問いは「 はいくらか」ではなく、「そもそも電子放出は起こるか」です。この習慣をつけると、光電効果の問題で最も多いミスを防げます。