積和の公式は、三角関数の積を和または差に書き換える公式です。式変形、積分、波の合成の見通しをよくしたいときによく使います。

まずは4つの基本形だけ押さえれば十分です。

sin⁡Acos⁡B=12{sin⁡(A+B)+sin⁡(A−B)}\sin A \cos B = \frac{1}{2}\{\sin(A+B)+\sin(A-B)\} cos⁡Asin⁡B=12{sin⁡(A+B)−sin⁡(A−B)}\cos A \sin B = \frac{1}{2}\{\sin(A+B)-\sin(A-B)\} cos⁡Acos⁡B=12{cos⁡(A+B)+cos⁡(A−B)}\cos A \cos B = \frac{1}{2}\{\cos(A+B)+\cos(A-B)\} sin⁡Asin⁡B=12{cos⁡(A−B)−cos⁡(A+B)}\sin A \sin B = \frac{1}{2}\{\cos(A-B)-\cos(A+B)\}

何をしている公式か

見るべき点は、掛け算を足し算と引き算に直していることです。積のままだと扱いにくい式でも、和や差になると加法定理や積分の基本形につなげやすくなります。

たとえば sin⁡Acos⁡B\sin A \cos B はそのままだと1つの角ではありませんが、積和の公式を使うと (A+B)(A+B) と (A−B)(A-B) の2つの角の正弦に分かれます。式の構造が見えやすくなるのが利点です。

1つの例で見る

sin⁡5xcos⁡3x\sin 5x \cos 3x

を変形してみます。sin⁡Acos⁡B\sin A \cos B の形なので、

sin⁡5xcos⁡3x=12{sin⁡(5x+3x)+sin⁡(5x−3x)}\sin 5x \cos 3x = \frac{1}{2}\{\sin(5x+3x)+\sin(5x-3x)\} =12{sin⁡8x+sin⁡2x}= \frac{1}{2}\{\sin 8x+\sin 2x\}

これで積が和に変わりました。積分したい場面なら、この形のほうがそのまま項別に扱えます。

加法定理との関係

積和の公式は、加法定理から導けます。たとえば

sin⁡(A+B)=sin⁡Acos⁡B+cos⁡Asin⁡B\sin(A+B)=\sin A \cos B+\cos A \sin B sin⁡(A−B)=sin⁡Acos⁡B−cos⁡Asin⁡B\sin(A-B)=\sin A \cos B-\cos A \sin B

を足すと、

sin⁡(A+B)+sin⁡(A−B)=2sin⁡Acos⁡B\sin(A+B)+\sin(A-B)=2\sin A \cos B

となるので、

sin⁡Acos⁡B=12{sin⁡(A+B)+sin⁡(A−B)}\sin A \cos B = \frac{1}{2}\{\sin(A+B)+\sin(A-B)\}

が得られます。他の積和公式も同じ考え方で出せます。

よくある間違い

  1. sin⁡Asin⁡B\sin A \sin B の符号を逆にすること。正しくは 12{cos⁡(A−B)−cos⁡(A+B)}\frac{1}{2}\{\cos(A-B)-\cos(A+B)\} です。
  2. cos⁡Asin⁡B\cos A \sin B と sin⁡Acos⁡B\sin A \cos B を同じ式だと思うこと。順序が変わると A−BA-B の項の符号も変わります。
  3. A−BA-B を B−AB-A に入れ替えて、そのまま符号を直さないこと。特に正弦では sin⁡(B−A)=−sin⁡(A−B)\sin(B-A)=-\sin(A-B) に注意が必要です。
  4. 角度の単位を途中で混ぜること。度数法で始めたのか、弧度法で始めたのかは一貫している必要があります。

いつ使うか

積和の公式は、次のような場面で便利です。

  1. 三角関数の式を見やすく整理したいとき
  2. sin⁡axcos⁡bx\sin ax \cos bx や cos⁡axcos⁡bx\cos ax \cos bx を積分したいとき
  3. 振動や波で、異なる角周波数の項を和の形で見たいとき
  4. 加法定理や和積の公式と行き来しながら式変形したいとき

覚え方のコツ

丸暗記だけに頼るより、まず sin⁡(A+B)\sin(A+B) と sin⁡(A−B)\sin(A-B) を足し引きして導けることを知っておくほうが安定します。特に sin⁡Acos⁡B\sin A \cos B を基準にすると、残りの公式の形も整理しやすくなります。

試してみる

次は cos⁡7xcos⁡2x\cos 7x \cos 2x を積和の公式で和に直してみてください。1問だけでも自分で変形すると、どの公式を選ぶべきかがかなりはっきりします。

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