積和の公式は、三角関数の積を和または差に書き換える公式です。式変形、積分、波の合成の見通しをよくしたいときによく使います。
まずは4つの基本形だけ押さえれば十分です。
sinAcosB=21{sin(A+B)+sin(A−B)}
cosAsinB=21{sin(A+B)−sin(A−B)}
cosAcosB=21{cos(A+B)+cos(A−B)}
sinAsinB=21{cos(A−B)−cos(A+B)}
何をしている公式か
見るべき点は、掛け算を足し算と引き算に直していることです。積のままだと扱いにくい式でも、和や差になると加法定理や積分の基本形につなげやすくなります。
たとえば sinAcosB はそのままだと1つの角ではありませんが、積和の公式を使うと (A+B) と (A−B) の2つの角の正弦に分かれます。式の構造が見えやすくなるのが利点です。
1つの例で見る
sin5xcos3x
を変形してみます。sinAcosB の形なので、
sin5xcos3x=21{sin(5x+3x)+sin(5x−3x)}
=21{sin8x+sin2x}
これで積が和に変わりました。積分したい場面なら、この形のほうがそのまま項別に扱えます。
加法定理との関係
積和の公式は、加法定理から導けます。たとえば
sin(A+B)=sinAcosB+cosAsinB
sin(A−B)=sinAcosB−cosAsinB
を足すと、
sin(A+B)+sin(A−B)=2sinAcosB
となるので、
sinAcosB=21{sin(A+B)+sin(A−B)}
が得られます。他の積和公式も同じ考え方で出せます。
よくある間違い
- sinAsinB の符号を逆にすること。正しくは 21{cos(A−B)−cos(A+B)} です。
- cosAsinB と sinAcosB を同じ式だと思うこと。順序が変わると A−B の項の符号も変わります。
- A−B を B−A に入れ替えて、そのまま符号を直さないこと。特に正弦では sin(B−A)=−sin(A−B) に注意が必要です。
- 角度の単位を途中で混ぜること。度数法で始めたのか、弧度法で始めたのかは一貫している必要があります。
いつ使うか
積和の公式は、次のような場面で便利です。
- 三角関数の式を見やすく整理したいとき
- sinaxcosbx や cosaxcosbx を積分したいとき
- 振動や波で、異なる角周波数の項を和の形で見たいとき
- 加法定理や和積の公式と行き来しながら式変形したいとき
覚え方のコツ
丸暗記だけに頼るより、まず sin(A+B) と sin(A−B) を足し引きして導けることを知っておくほうが安定します。特に sinAcosB を基準にすると、残りの公式の形も整理しやすくなります。
試してみる
次は cos7xcos2x を積和の公式で和に直してみてください。1問だけでも自分で変形すると、どの公式を選ぶべきかがかなりはっきりします。