浸透と拡散は関係のある現象ですが、同じものではありません。拡散とは、ある物質が高濃度の場所から低濃度の場所へ正味で移動することです。浸透とは、膜の両側で溶質濃度が異なり、しかも膜がすべての溶質を同じようには通さないときに、選択的透過膜を通って水が正味で移動することです。

手早く区別したいなら、こう考えると便利です。拡散は多くの粒子について使える概念で、膜は必須ではありません。浸透は水についてだけ使う言葉であり、膜の条件が不可欠です。

拡散とは何か

液体や気体の中の粒子は、常にランダムに動いています。ある場所に別の場所より多くの物質が集まっていると、そのランダムな運動によって、高濃度から低濃度へ正味で広がっていきます。

そのため、食紅は水の中で広がり、酸素は肺の空気から血液中へ移動できます。重要なのは、濃度勾配に従った正味の移動という点です。

拡散には、必ずしも生体のしくみや膜は必要ありません。自由に動ける粒子があれば起こります。

浸透が異なる理由

浸透も、正味の移動という大きな考え方は同じです。しかし、注目する物質はであり、さらに選択的透過膜が必要です。

膜が重要なのは、水は通しても少なくとも一部の溶質は通しにくいからです。生物基礎レベルでは、「膜がその溶質よりも水をずっと通しやすいなら、水は溶質濃度が高い側へ移動しやすい」と考えると役立ちます。

この言い方は大切です。浸透は単に「水が広がること」ではありません。どの物質が膜を通れ、どの物質が通れないかによって決まる、膜に関する現象なのです。

例題:細胞を食塩水に入れるとどうなるか

細胞を、細胞内の液体よりも溶質濃度が高い食塩水に入れたとします。さらに、膜は塩よりも水をずっと通しやすいとします。

この場合、水は浸透によって細胞の外へ移動します。すると細胞は縮みます。生物学では、この外液を高張液と呼びます。これは、細胞より有効な溶質濃度が高いことを意味します。

ここで拡散と比べてみましょう。もし酸素濃度が細胞の外のほうが内側より高ければ、酸素は同時に細胞の中へ拡散できます。つまり、1つの状況で両方の過程が起こることはありますが、それぞれが表している移動の種類は異なります。

この違いを簡潔に言うと、浸透は膜を通る水の移動を追い、拡散はそれぞれの粒子が自分の濃度勾配に従って移動することを追う、ということです。

浸透と拡散でよくある間違い

まったく同じ意味の言葉として扱う

この近道は混乱のもとです。拡散のほうが広い概念です。浸透は、水に限定され、しかも選択的透過膜に依存する現象です。

浸透で膜の透過性を無視する

浸透の向きは、膜が何を通すかに左右されます。溶質も簡単に通れるなら、「水は濃いほうへ移動する」という単純なルールだけでは、結果を十分に予測できないことがあります。

分子が依然としてランダムに動いていることを忘れる

拡散でも浸透でも、分子はさまざまな方向に動いています。大事なのは、すべての分子が一方向に動くことではなく、正味の移動です。

平衡になると運動が止まると考える

平衡に達しても、分子の運動は止まりません。そうではなく、一方向への正味の変化がなくなるのです。

浸透と拡散が使われる場面

これらの考え方は、細胞生物学、生理学、医学で中心的な役割をもちます。気体交換、栄養の取り込み、腎臓のはたらき、体液バランス、そして細胞がさまざまな溶液中で膨らんだり縮んだりする理由を説明するのに役立ちます。

また、実験室の外でも重要です。食品を塩水に漬けること、組織の保存、乾燥果物の再水和、生理食塩水の利用などにも、同じ輸送の考え方が関わっています。

似たケースで考えてみよう

物質輸送の問題を見たら、まず3つを確認しましょう。何が移動しているのか、選択的透過膜はあるのか、そしてどの濃度勾配が重要なのかです。これで、その過程が拡散なのか浸透なのか、あるいは両方なのかをたいてい判断できます。

今度は、自分で純水中の細胞、等張液中の細胞、より濃い食塩水中の細胞を考えてみましょう。水が中へ入るのか、外へ出るのか、それとも正味では移動しないのかを予想し、答え合わせの前に理由も説明してみてください。

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